文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として、下記のとおり掲げております。
① 我々は、エプコグループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求します。
② エプコグループの存在目的は、社会問題を解決し、国民生活に貢献することです。
③ エプコグループは、世界の人々の住まい、暮らしを支えるインフラ企業を目指します。
[行動規範]お客様からパートナーと認められる思考と行動をする。
[提供価値]社会問題を解決するサービス・技術を提供する。
[企業像] 人々の暮らしを支える強固な社会インフラ企業を目指す。
[経営目標]エプコのサービスを世界の人々の住まいや暮らしにインサイドさせる。
当社グループは、これからの社会課題の解決に貢献することを目指して、「中期経営計画(2025年~2027年度)~変化への挑戦(第1フェーズ)~」を2025年2月13日に発表しました。当該計画における基本方針及びセグメント別の事業方針は下記のとおりです。
<中期経営計画(2025年~2027年度)の基本方針>
① 再エネ領域においては再エネ設備の普及拡大を通じて売上を増加させる。
② 住宅領域においてはDXによる生産性向上を図り利益率を向上させる。
③ 新規事業領域においては第3の事業の柱を創出し、第2フェーズの収益源に育てる。
<セグメント別の事業方針>
中期経営計画(2025年~2027年度)における定量目標は下記のとおりです。
再エネ領域で事業を拡大し、住宅領域で業務変革を実現することで、売上高の拡大及び利益率の拡大を目指す。
<セグメント別売上高目標>
<セグメント別経常利益率目標>
<セグメント別経常利益目標>
(4) 会社の経営環境及び対処すべき課題
1.当社グループを取り巻く外部環境
2024年は、国内外の経済が回復基調を維持する一方、世界的な金融政策の変動や地政学リスクが懸念された一年でした。特に、米国の金利政策、中国経済の減速、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、さらには中東情勢の緊迫化が世界経済に影響を及ぼしています。また、日本国内では円安の進行や物価高の影響が依然として続き、雇用・賃金環境の改善が見られるものの、企業や消費者の経済活動には依然として不透明感が残る状況です。
当社グループの主力市場である日本の新築住宅市場では、少子高齢化や建築資材価格の高止まりが影響し、2024年1~12月の持家の新設住宅着工戸数は前年同期比▲2.8%の21.8万戸と低調に推移しました。一方、省エネルギー住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)への需要は引き続き拡大し、住宅ニーズの構造変化が進んでいます。
地球温暖化の影響により、異常気象や自然災害の発生頻度が高まっており、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの重要性が一層増しています。日本政府は「グリーントランスフォーメーション(GX)」の推進を掲げており、昨年末に公表された第7次エネルギー基本計画(原案)では再生可能エネルギーの構成割合を40~50%程度に引き上げる方針が示されました。再生可能エネルギーの普及に向けた政策の推進が期待され、本年4月から始まる東京都での太陽光発電設備の設置義務化に加え、住宅の省エネ化を支援する「GX志向型補助金」(令和6年度補正予算案)が昨年11月に閣議決定、再エネ設備の普及施策が東京都から全国へと拡大しています。
このように、2025年の市場環境も大きな変革の時期にあり、当社としても最新の動向を注視しながら、柔軟に対応してまいります。
2.再エネサービスの業況と対策
再エネサービスでは、再生可能エネルギーの普及を促進するために、太陽光発電システムや蓄電池、EV充電器等の再エネ設備の設置工事を中心とする様々なサービスを提供しており、東京電力エナジーパートナー株式会社と当社との合弁で設立したTEPCOホームテック株式会社(以下、TEPCOホームテック)、当社100%子会社である株式会社ENE's(以下、ENE’s)が事業の中心となります。
脱炭素社会の実現に向けた取り組みは、国内外で加速しており、TEPCOホームテックが手掛ける再エネサービス、とりわけ住宅設備の定額利用サービス「エネカリ」は、大手不動産・分譲住宅会社からの受託が急拡大しています。東京都の太陽光発電設備の設置義務化や、再エネ設備の導入を支援する補助金・助成金制度の拡充など、自治体の施策が強化されており、TEPCOホームテックのさらなる成長が見込まれます。
TEPCOホームテックの戦略的施工会社である当社子会社のENE'sにおきましても、TEPCOホームテックの事業拡大に伴い受注量が増加しているとともに、EV充電器の普及加速によってEV充電器設置工事の実績が広がっております。これらの再エネ設備工事の更なる受注拡大に向けて、拠点や人員の拡充、施工効率の向上、M&Aを含めた他社との業務・資本提携を進めてまいります。
3.メンテナンスサービスの業況と対策
メンテナンスサービスは、住宅のアフターメンテナンス全般に関わるハウスマネジメントサービスであり、既存住宅を対象としている積み上げ式のストック型ビジネスであることから、業績は安定して推移しております。2022年には、石川県金沢市に新たなメンテナンスサービス拠点として「金沢オペレーションセンター」を設立し、事業継続体制の強化を図りました。これにより、沖縄・東京・金沢の3拠点において、より安定したサービスの提供が可能となっております。
新設住宅着工戸数の減少が続く中、当社グループの主要顧客である大手住宅会社は既存顧客との関係性を活かしたリフォーム需要の創出に活路を見出そうとしております。そのために当社としても住宅履歴データを活用した分析・営業提案に注力し、メンテナンスからリフォームへの好循環を図るインサイドセールスサービスを推進してまいります。また、音声解析・データ分析・AIなどの最新技術を積極的に導入し、サービスの付加価値向上やオペレーターの生産性向上を実現してまいります。
メンテナンスサービスでは、住宅会社向け業務に加え、TEPCOホームテックなどのエネルギー企業からの業務委託も増加しています。再エネサービスの成長と連動し、さらなる受託拡大が見込まれるため、今後も再エネ領域のメンテナンスサービスに一層注力していく方針です。また、当社独自のノウハウを活用し、新事業として火災保険関連事業やデータ活用事業にも取り組んでまいります。
4.設計サービスの業況と対策
住宅領域の設備設計サービスを取り巻く経営環境は、ますます厳しさを増しています。住宅産業は、人口減少という構造的課題を抱えており、中長期的に新設住宅着工戸数の減少が避けられない状況にあります。
こうした事業環境の変化に対応するため、当社グループでは「D-TECH2.0プロジェクト」と称する既存業務のDXおよび中国・吉林CADセンターへの業務移管を通じた大幅な生産性向上施策に注力し、現行の3分の1の人員で既存業務を安定的に運営することを目指してまいります。これにより持続的な利益率向上を実現していくとともに、人材のポートフォリオ転換を行い、成長市場である再エネ領域での設計・施工・メンテナンス業務や、新規事業へと人材を適切に配置していく方針です。
再エネ領域の設備設計サービスでは、太陽光パネルの割付図作成やEV充電器の申請図面作成など、再エネ設備の設計業務を手掛けています。これらのエネルギー企業向けの設計業務の需要が拡大していることから、専門人材を早期に育成するなど体制を強化してまいります。また、住宅会社におけるCADの3次元化やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の本格普及にはもう少し時間を要すると見込まれますが、非住宅分野ではすでにBIMの普及が進んでおり、当社もこの分野でBIMサービスの展開を加速させてまいります。
当社グループは、中期経営計画の実現に向け「変化への挑戦」をスローガンに「脱炭素×建築DX」を推進し、社会課題の解決に貢献してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、設立より30年以上にわたって住宅のライフサイクル全般に関わる領域で事業成長を果たしてまいりました。当社が2002年に上場して以来、増収増配を継続し成長を続けておりますが、当社グループの持続的成長を支えているのは、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)を根幹に位置付け、サステナビリティを重視した事業運営であります。
地球温暖化による影響は年々深刻化しており、それに伴う自然災害が国内外で増加している中、持続可能な社会の実現に向けた事業活動を行うことの重要性が一層高まっております。
そうした中、当社グループは、持続可能な社会の実現を果たすために、パーパス(存在意義)として「HCDs(Housing Carbon Neutrality Digital Solutions)」を新たに掲げて、当社グループの事業活動を通して「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」ことを目指しております。
パーパス:住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える

(2)ガバナンス及びリスク管理
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、サステナビリティに関するグループ方針や目標の策定、各事業会社・事業部の取り組み状況の進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。
<サステナビリティ推進体制図>

②リスク管理
当社グループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。
リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することにより、持続的な成長につながると考えています。
また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。「総合リスク対策委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。
当社グループは、「総合リスク対策委員会」で特定したリスクのうち、サステナビリティに係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業会社・事業部と共有化を図っています。
各事業会社・事業部ではサステナビリティの取組みを実行計画に落とし込み、「サステナビリティ委員会」で各実行計画の進捗確認を行っています。
その内容について、「総合リスク対策委員会」及び「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。
<リスク管理プロセス>

<リスク管理体制>
(3)気候変動への対応
当社グループは、気候変動に関するリスク及び機会を重要な経営課題のーつと認識しており、2022年3月「TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明いたしました。TCFD提言への賛同を機に、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取組みを進めてまいります。
①戦略
異なるシナリオ(平均気温上昇1.5℃、4℃)における財務的影響及び事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。
事業/財務影響評価
大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される
気候変動に関するリスクは、当社グループ経営に少なからずマイナスの影響を与えうると想定されるものの、当社グループの事業は情報システムを活用したソフトサービスが中心で、温室効果ガスの排出量が少ない事業であること、また、多様な事業からなる事業ポートフォリオによりリスク対応が可能であることから、グループ全体に与える財務的なネガティブリスクは限定的と分析しております。
むしろ、多様な技術・事業によって、気候変動に関する新たな事業機会を獲得できるポテンシャルがあると認識しており、財務的な影響としてはネガティブリスクよりも事業機会の獲得に伴うポジティブな影響の方が大きいと捉えております。
当社グループにおける気候変動に関するリスクと機会の一覧については、下記のとおりです。
■リスク
表1 気候変動リスクに関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
■機会
表2 気候変動機会に関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
※ なお、当社グループにおける気候変動リスク及び機会に重要な影響を与える項目のひとつとして、我が国における長期的な電源構成に関する政策方針が挙げられます。この度の開示においては、2021年10月に公表された第6次エネルギー基本計画における電源構成を前提に検討しておりますが、今後、再生可能エネルギーや原子力発電の活用について様々な議論がなされることが予想されるため、今後ともエネルギー政策動向について注視してまいります。
②指標と目標
当社グループにおけるScope1・2の温室効果ガス(以下、GHG)排出量実績は、下表のとおりです。
(※)上記排出量は、マーケット基準(Scope2を算定する際に、電力会社やメニューごとのGHG排出係数を用いる方法)にて算出しております。GHG排出原単位は、連結売上高1億円当たりのGHG排出量(Scope1・2の合計)です。
(※)電気事業者別排出係数に関しては、算定方法変更に伴い環境省による公表が遅れたため、昨年度の数値を用いて試算しております。
<過去3年間のGHG排出量実績推移>

<GHG排出量に関する当社グループの分析>
1.2024年度の排出量(Scope1)が前期比で減少しているのは、Scope1排出の大半を占める子会社のENE‘s社において、効率的な施工管理体制を構築したことで、社用車での移動距離が削減されたことによるものであります。
2.一方、排出量(Scope2)排出量に関しては金沢オペレーションセンター増床に伴う電気使用量の増加等により、5%程上昇しております。
3.この結果、2024年度における連結売上高当たりのGHG排出量は前期比で減少しております。
<GHG排出量に関する当社グループの目標>
前述した実績の推移を踏まえて、当社グループは今後の取組みとして下記の事項を進めてまいります。
1.Scope1・2におけるGHG排出量については、デジタル化による業務効率向上を推進することで、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、GHG排出量の削減を行う上では、連結売上高当たりの排出量(GHG排出量原単位)をKPIとして設定し、定量的な管理を実施する方針です。
2.当社グループにおけるGHG排出量を削減するにあたり、再生可能エネルギーの調達やJクレジットの導入についても併せて検討いたします。
3.当社グループにおけるGHG排出量の削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献するサービスを提供することで取引先企業におけるGHG排出量を削減することについても注力してまいります。
(4)人的資本に対する取組み
① 経営戦略と連動した人材戦略
エプコグループは、「住まいと暮らし、環境を支える」をミッションに掲げ、住宅のライフサイクル全般に関わる3つのサービス(設計、メンテナンス及び再エネサービス)を提供しております。
当該サービスはいずれもソフトサービスが中心であり、資本集約型産業ではなく知識・労働集約型産業であることから、当社グループにおけるもっとも重要な価値創造の源泉は人的資本であります。
当社グループの主たる事業領域である住宅・建設業界は、日本をはじめとする先進国で少子高齢化が進む中、デジタル技術を活用したイノベーションによる生産性向上及び世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すことが求められております。当社グループが持続的に企業価値を向上させるためには、社会的なニーズに応える経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行することが不可欠と捉えております。
また、当社グループは2025年2月に「中期経営計画(2025-2027)~変化への挑戦(第1フェーズ)~」を策定いたしました。本中期経営計画では、再エネ領域において再エネ設備の普及拡大で売上を増加させ、住宅領域においてDXによる生産性向上で利益率を向上させることを目指しております。また、第2フェーズ(2028年~2030年)にむけて、第3の事業の柱を創出し、①住宅領域、②再エネ領域、③新規事業領域の3本柱で事業成長を果たしてまいります。この計画を達成するための人材戦略として、先に掲げた3つの事業領域での人材ポートフォリオの転換とダイバーシティ・イノベーションに取り組んでまいります。
<人的資本に関する取り組みの全体像>経営戦略と人材戦略の連動

② 人材登用方針
a.エプコグループが求める人材像
当社グループは「住まいと暮らし、環境を支える」という当社グループのミッションおよび中期経営計画の実現に向け、下記に掲げる当社グループが求める人材像を定義しております。
(エプコグループが求める人材像)
1.当社グループ中期経営計画の実現に向けリーダーシップを発揮できる人材
2.主体的に学び、専門性を身に着け、新しいことに挑戦できる人材
3.常識を疑い、革新を起こせる人材
このような人材を確保し、登用するために「人材ポートフォリオの転換」、「ダイバーシティ・イノベーション」を実行し、持続的な企業成長に繋げてまいります。
b.人材ポートフォリオの転換
当社グループは中期経営計画に基づき、成長事業への人材シフトを行ってまいります。事業領域別の注力テーマと施策は以下の通りです。
(再エネ領域)
再エネサービスにおけるエプコグループ各社のさらなる連携強化を目的として、2025年より再エネ事業本部を新設しました。また、通常の配置転換に加え、グループ会社への出向公募制度を活用し、エプコグループで働く従業員に等しく成長領域である再エネ領域での就業機会を提供しております。今後も計画的に再エネ領域に携わる人員転換を図ってまいります。
(住宅領域)
住宅領域においては、DXによる労働生産性の革新的な向上を目指してまいります。祖業である設計サービスにおいては、「D-TECH2.0プロジェクト」を始動し、既存業務を3分の1の人員で遂行することを目標とし、業務自動化・自動作図/検図・クラウド化を進めることで省力化・効率化を図ります。それに伴いより専門性の高い人材を育成し、業務の高度化を進めるとともに成長分野(再エネ、BIM、火災保険関連、施工技術者等)への人材配転を行ってまいります。また、メンテナンスサービスにおいては、既存のメンテナンス業務の効率化をDXで実現し、既存業務人員については、より付加価値の高い業務設計や家歴データ活用ができるプロフェッショナル人材として育成することと、新規事業領域(再エネ、火災保険関連等)へのシフトを実現してまいります。
(新規事業領域)
当社グループは、エネルギー領域、住宅領域に加えて、新規事業領域で第3の事業の柱を創出するため、火災保険関連事業、非住宅BIM事業、データ活用事業などの新サービスを検討しております。特に火災保険関連事業においては、各事業部門から横断的にメンバーを募り、新サービスの立ち上げに向けたプロジェクトを開始しております。今後はプロジェクトの進行に合わせて、対象者に対する教育研修の実施や損害保険登録鑑定人などの資格取得の推進を図り人員を配置していく方針です。
c.ダイバーシティ・イノベーションの推進
当社グループの組織の特徴は、①男女比率がほぼ同数であること、②外国籍社員比率が27%と高い水準であることが挙げられます。一方で、当社の組織は、①コールセンターや再エネ施工技術者の不足、②子育て世代が最大限に活躍できる環境整備、③抜本的な業務改革を先導する高度専門技術者の確保、④カルチャー・トランスフォーメーションの中心となる新卒・若手人材の確保などの課題を抱えております。この当社グループの組織の特徴を活かしつつ、抱える課題を解決するためには、多様な国籍・人種・性別・価値観・働き方にとらわれず、幅広くご参加頂くことが必要不可欠と考えており、当社グループとして、多様な人材を登用し活躍する体制を整備してまいります。
<当社グループのダイバーシティ・イノベーション全体像>

(グローバルな人材活用)
当社グループは、2000年代初頭より中国での事業展開を開始し、現在では設計サービスにおける生産設計拠点である東北部の吉林省吉林市を中心にグループ全体で182名の社員が外国籍であり、エプコグループ全体に占める外国籍従業員比率は約27%であることから、今後もグローバルに活躍する人材を積極的に登用する方針です。特に、新卒採用においては、留学生を中心とした海外出身の学生を積極的に採用することで、海外との連携を深めていく方針です。
また、当社グループの再エネサービスにおいては、施工人材が不足しており、採用競争が激化していることから、外国籍人材を施工技術者として育成し、事業成長に応じたキャパシティ確保に努めてまいります。
さらに、当社の設計サービスおよび情報システム管掌の執行役員として外国籍(中国)の人材を登用しており、従業員だけでなく経営管理職においても国籍・人種を問わず優秀な人材を登用してまいります。
(高度専門技術者の確保)
当社グループは、特に住宅領域における抜本的な業務改革を推し進め、利益率の向上を図るために、これまで以上にDXを進めていく方針であり、IT分野における高度技術者の確保が急務となっております。このような人材に参画いただくために、テレワーク活用等の柔軟な働き方を前提とし、オフィスから遠方に居住する方々に対しても採用活動を行ってまいります。
(聴覚障碍者の積極的採用)
当社のメンテナンスサービスにおいて、また、コールセンター業界全体としても、人材不足が常態化した課題です。それに対する解決策として、デジタルツールをフル活用し、音声でのやり取りを必要としない「日本一静かなコールセンター」を目指しており、聴覚に不安を覚える方が安心して無理なく働ける職場づくりに取り組んでいます。聴覚障碍者の方を積極的に採用し、10名程度を目標に採用活動を行っており、人員を増やしながらメンテナンス業務の抜本的変革を実現してまいります。
(従業員(男性・女性)の雇用状況)
当社グループでは、女性が仕事と家庭を両立しつつ、その個性と能力が十分に発揮できる職場環境をつくることは企業に求められる基本的役割の一つであると考えています。
また、当社グループは業務の特性上、男性・女性を問わず活躍できる環境であることから、従業員における男性・女性比率は概ね同数の人員構成であります。
今後は、特に子育て世代に対する支援を手厚く提供することで、事業領域を問わず様々な挑戦を後押しし、人材の流動性を高めることで人材ポートフォリオの転換および管理職への抜擢を図ってまいります。
③ 人材育成方針
当社グループの中期経営計画の実現に向け、当社グループの求める人材像およびスキルセットに基づき、以下のような教育プログラムを提供してまいります。
<当社グループの人材育成 全体像>

(当社で活躍するためのベーススキルに関する育成項目)
当社グループにて採用・育成した人材が持てる能力を最大限に発揮するためには、信頼関係に基づき、より良い職場環境づくりに継続して取り組む組織風土が重要であると考えております。
当社グループでは、「エプコグループ行動規範」において不正や法令違反等の行為を許さない経営メッセージを伝えるとともに、全ての役職員を対象としてコンプライアンス研修を定期的に実施することで、健全な組織風土の理解浸透に取り組んでおります。
また、従業員の成長度合いに合わせた階層別の研修を実施しています。当社グループでは階層毎にテーマを定め、業務上で必要なスキルだけではなく、企業運営において守るべき労働関連法規をはじめとする法令、組織運営に欠かせない人材マネジメント、コンプライアンス・リスク管理を基本とし、そのうえで特に注力するテーマとして、当社グループにおける次世代上級管理職候補であるチームリーダーに対する研修を充実させることと、次期経営者候補である上級管理職に対するアセスメントおよび教育プログラムを導入することに注力してまいります。
<階層別の成長度合いと主な研修内容>

(事業領域別のスキルに関する育成項目)
当社グループでは、事業領域毎に求められるスキルセットを定義し、それに応じた教育プログラムや資格取得支援策を実施しております。特に、エネルギー領域においては電気に関わる各種取得支援を実施しており、電気主任技術者、電気工事士第2種、電気工事施工管理技術者の取得を推奨しております。
また、住宅領域は前述したようなDXによる効率化・省力化が重要テーマとなるため、ITに関わる教育プログラムを充実させております。2024年度の取組みとして、Eラーニングを導入した全従業員のITスキル底上げを行っており、今後は勉強会の実施と組み合わせて、ITパスポート取得によるリテラシー向上、上級システム資格を取得する従業員の数も計画的に増やしてまいります。
新規事業領域においては、新たな事業の開発から実行・運用までの一連のプロセスに対応可能な人材を育てるべく、専門性の強化に力を入れております。例えば、損害保険鑑定人、BIM利用技術者、BIMプロフェッショナルプラクティショナーといった資格取得に挑戦する社員を発掘し、取得に向けたサポートを行ってまいります。
今後も、従業員個々人の能力・スキル・キャリアビジョンに応じた柔軟な学びを提供することで、従業員がより一層、個々人が持つ能力を最大限に発揮できる体制を整備してまいります。
④ 社内環境整備方針
当社グループは、社員一人ひとりの活躍を企業の持続的な成長の原動力ととらえ、個々人が能力を最大限に発揮できるよう、業務内容やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にする取り組みを推進しております。
(エンゲージメントサーベイの実施)
当社グループは、当社グループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求することを経営理念として掲げており、社員の能力を最大限発揮できる環境を整備することを重視しております。そこで、従業員からの声を幅広く聞くための仕組みとして、エンゲージメントサーベイを年に2回実施しております。
当該サーベイの結果は、人事制度の改定や職場の環境改善、従業員の異動等に活かしております。このほか、サーベイ結果に基づき、業務を円滑に遂行するためには社員同士の相互理解や交流機会を促すことも有益であるとの考えから、公認部活動制度の新設や地域イベントへの参加など社内コミュニケーション活性化に向けた取組みも実施しております。
(柔軟な働き方を可能にする人事制度)
当社グループは育児・介護と仕事を両立したい社員、傷病や遠隔地に居住している等の事情のある社員にもできる限り多様な働き方を提供したいと考えており、テレワーク、時短勤務といった働き方を選択可能にしています。
上記のような事情がない従業員に対しても、「テレワーク50」という制度を実験的に設けており、年間50日までテレワークを行うことができます。
また、当社グループでは産休・育休制度を整備し、復職支援も積極的に実施しており、実績として過去10年間(2015~2024年)における産休・育休取得者は延べ83名(復職率は83.1%)となります。
さらに、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が出来るよう時間単位での年次有給取得も可能としております。
今後はこれらの取組みに加え、女性活躍の推進、子育て世代への支援強化、介護と仕事を両立する社員への支援体制の整備などの各種取組みを加速させてまいります。
(健康経営)
当社グループは従業員一人一人が心身ともに健康な状態(ストレスに適切に対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、かつ組織貢献が出来る状態)を維持するために社員の健康管理や健康増進の取り組みを積極的に推進し、2021年度に健康保険組合東京連合会より健康優良企業認定「銀の認定証」を取得しております。今後「金の認定証」取得を目指してまいります。
(快適な職場づくりへの取り組み)
当社グループのオフィスは従業員同士のコミュニケーションを促進し、快適かつ効率的に就業できる環境を重視しております。拠点ごとに開放的なオープンスペースを用意し、休憩室としての用途に加え、社内イベントにも活用しております。

⑤ 指標と目標
人的資本経営推進においては、テーマごとに2025年3月末時点における状態目標を定義しております。
(人材登用に関する指標と目標)
人材登用のテーマにおいては、チームリーダー以上の女性管理職の登用率を25%にすることを目標としています。
当社グループの男女比率はほぼ同数であるにもかかわらず、チームリーダー以上の管理職に占める女性割合は22.8%に留まっており、優秀な女性従業員の管理職登用割合を高めることは、当社グループの生産性向上に貢献すると考えております。
当該目標の達成に向けては、働き続けたい女性が家庭と仕事を両立し、意欲的にキャリア形成が出来る仕組みを整えることが重要であると捉えております。そこで、2023年度より女性社員が集い、意見発信を行う場として女性活躍推進活動「ルミライズ」を立ち上げ、1か月に1回、定期的な活動を行っております。
<取組み事例> 女性活躍推進に向けた、従業員と経営者によるタウンホールミーティングの開催
2024年実施、従業員の66.5%が働く沖縄に焦点を当て、従業員が抱える様々な働きづらさや会社に期待することについて、当社経営陣や社外有識者を交えて対話。

(人材育成に関する指標と目標)
人材育成のテーマにおいては、リーダー研修受講率100%を目標としてまいります。
当社グループでは再エネサービスに経営資源を集中させる中で、グループ会社の業務領域が拡大しており、これらを担う管理職人材の育成が急務となっております。そのため、チームリーダーをはじめとした管理職候補者を対象にしたリーダー研修を確実に行い、今後は次世代幹部育成に向けた上級管理職育成プログラムを充実させ、実施してまいります。
(社内環境整備に関する指標と目標)
社内環境整備のテーマにおいては、健康診断有所見50%以下を目標としてまいります。
当社従業員の平均年齢が41.6歳に達する中で、従業員と組織の活性化により業績向上を図るためには、従業員の健康維持は重要な経営テーマであると認識しております。健康経営の推進に向けて、定期的な健康セミナーやウェルネスイベントの計画等を実施してまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意下さい。
(1)住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの事業は主たる得意先が住宅会社であることから、住宅市場の動向が当社グループの受託状況に影響を及ぼします。住宅市場は、景気、金利、地価等の動向、雇用環境、税制及び補助金等、様々な変動による影響を受けます。特に、大幅な金利上昇、雇用環境の変化等により、施主様の住宅購買意欲が減退し、当社の得意先である住宅会社の受注が大幅に減少した場合、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制に関するリスク
当社グループの得意先・取引先は、主に住宅・建設業界の事業者が中心であり、建築基準法、建築士法、電気事業法、特定商取引法など関連する各種法令により規制を受けております。これらの法規制は当社の業務を直接的に規制するものではありませんが、当社が取引を行うに当たり当該法規制を把握することが必要であります。
そのため、将来においてこれらの法的規制の強化や新たな規制の制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性や、これらの規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)知的財産権に関するリスク
当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。しかしながら、将来の当社の事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社の事業が差し止められたり、損害賠償など金銭的な負担を余儀なくされた場合、または第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払いが発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)海外における事業リスク
当社グループにおける中国の子会社である艾博科建築設備設計 (吉林)有限公司は、日本の得意先向けに設計図面を作図する生産拠点(CADセンター)として重要な位置を占めております。また、中国及びその他海外市場での事業拡大を図るべく、様々な取組みを進める方針です。
海外事業の展開にあたっては、①当社グループにとって悪影響を及ぼす法律の改正、規制の強化、②テロ・戦争の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、③物価水準の上昇による現地人件費等の増加、等のリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)外国為替相場の変動に関するリスク
当社グループにおいては、外貨建(人民元及び香港ドル)取引による収入及び支出が発生しており、またそれに伴う外貨建て資産及び負債を有しております。外国為替相場の変動による影響を極力低減するため、必要な範囲で為替予約取引を利用したリスクヘッジを実施しておりますが、外国為替相場が急激に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材の確保に関するリスク
当社グループの設計サービス及びメンテナンスサービスは日本(東京・沖縄・石川)及び中国(吉林)にて多数のオペレーターを抱える労働集約的な事業であることから、人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループでは、新卒・中途採用共に多様な採用活動を実施し、人材の確保に努めると共に、入社後は各階層及び各職種に応じた教育研修の整備に努めておりますが、必要な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本(東京・沖縄・石川)及び中国(吉林)において人件費が上昇した場合、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは業務の生産性向上を目的として業務プロセスの見直し及び作業の自動化や効率化を実現する情報システムの開発を継続的に実施しております。しかしながら、当社グループの対応よりも急激に人件費が上昇した場合、当社の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)新規事業への参入に関するリスク
当社グループは、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、日本国内及び海外において新規事業の創出と育成を積極的に推進する方針です。しかしながら、新規事業を開始した際には、その事業固有のリスク要因が加わると共に、新規事業を遂行していく過程では、急激な事業環境の変化をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当初の事業計画を達成できない場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(8)持分法投資損益による業績変動に関するリスク
当社グループでは、戦略的業務提携の一環として大手企業との間で合弁事業を行っており、現在の持分法適用会社としては、TEPCOホームテック株式会社、班皓艾博科新能源設計(深圳)有限公司、広東聯塑艾博科住宅設備設計服務有限公司、深圳艾科築業工程技術有限公司、MEDX株式会社の5社があります。各社は各々の事業に関する方針のもとで経営を行っており、これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(9)情報システムに関するリスク
当社グループのサービスは、インターネット接続環境及び社内外のコンピューターネットワーク等のインフラが良好に稼動することに依存しております。事業の安定的な運用のために、システムの重要度に応じて、コンピュータ機器・通信回線の二重化やバックアップ取得等の安全対策を実施し、またネットワーク機器の導入やウィルス対応などの各種セキュリティ対策を行っております。また、当社の情報資産を安全に管理するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を整備しており、国際規格であるISO/IEC 27001:2022 (JIS Q 27001:2023)の認証を取得しております。
しかしながら、機器やソフトウエアの不具合、人為的ミス、回線障害、コンピュータウィルス、クラッカー等による悪意の妨害行為、あるいは、停電、自然災害によるシステム障害など、その障害等の程度によっては当社の対策が有効に機能しない可能性があり、その場合には、当社グループの業務運営、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報管理に関するリスク
当社グループでは、事業の性質上、得意先から多数の施主様の個人情報をお預かりし、その情報を得意先と共有し、有効活用することで事業運営を行っております。個人情報の漏洩や不正使用を防止するため、安全対策に関するルールを定め、適正な情報管理を行うための体制を整え、全社員を対象とした教育・研修を継続的に実施することにより、厳格な情報管理を徹底しております。
その結果、当社の個人情報マネジメントシステムはプライバシーマーク(JIS Q 15001)の認証を取得しており、個人情報の取扱いには留意しておりますが、万が一これらの情報の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用失墜等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)自然災害等に関するリスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
そのため、当社では、災害対策マニュアルの策定、基幹業務に対する事業継続計画の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じて、各種災害に備えています。ただし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、このような事象の発生時には当社の業務運営、財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)将来的な気候変動に関するリスク
気候変動が世界的に深刻化し、異常気象による災害リスクの増加、カーボンプライシングによるコスト増加等のリスクがあります。
当社グループの気候変動への対応の詳細につきましては、2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)気候変動への対応をご参照ください。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2024年1月1日から2024年12月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進むなか、緩やかな回復基調が続きました。一方、長期化する円安、ウクライナ並びに中東地域での紛争や金融資本市場の変動等の影響から、依然として経済環境の先行きは楽観できない状況が続いております。
また、当社グループが主に関連する住宅産業におきましては、当社事業が主に関連する新設住宅着工戸数においては、資材価格や人件費の上昇に伴う建設コストの増加を背景に住宅価格が上昇するなか、中長期的な減少傾向が続いており、予断を許さない状況であると認識しております。
当社グループは、住宅産業の厳しい外部経営環境が続くなか、住宅ライフサイクル全体の業務効率化に資するサービスの開発に注力しております。また、世界的な課題である脱炭素社会の実現に向けて貢献するべく、時代の潮流に合致した再生可能エネルギーに関するサービスの拡大を進めることで、事業ポートフォリオの転換を推進しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は5,607百万円(前期比10.8%増)、営業利益は334百万円(前期比106.8%増)、経常利益は441百万円(前期比3.6%増)となりました。一方で、当連結会計年度において、前連結会計年度に発生した投資有価証券売却益及び関係会社出資金売却益が発生しなかったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は327百万円(前期比47.8%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
当連結会計年度は、株式会社ENE’sにおいて太陽光発電及び蓄電池関連の設置工事請負が順調に増加したことにより、外部顧客への売上高は1,379百万円(前期比23.5%増)となりました。
一方、持分法による投資損益は、国内ではTEPCOホームテック株式会社において、経営基盤の整備を目的とした従業員の増員や施工研修施設の開設等による費用が増加したことにより、持分法による投資損益は減益(71百万円、前期比67.7%減)となりました。また、海外においては、海外市場における太陽光発電事業の立上げ準備を推進し、CHINA LESSO GROUPとの合弁会社に関する持分法による投資損益が減益(41百万円、前期比40.4%減)となった結果、経常利益は185百万円(前期比41.1%減)となりました。
当連結会計年度は、TEPCOホームテック株式会社をはじめとするエネルギー系企業からの受託案件が引き続き増加した結果、外部顧客への売上高は2,010百万円(前期比3.5%増)となりました。また、事業継続対策のために新設した金沢オペレーションセンターの稼働率が向上し、事業効率が改善された結果、経常利益は311百万円(前期比24.2%増)となりました。
当連結会計年度は、電気自動車向け充電器の設置に関する申請図作成業務、太陽光関連システム開発業務及びBIM導入に関するコンサルティング業務の受託が増加した結果、外部顧客への売上高は2,216百万円(前期比10.8%増)となりました。また、日本及び中国の設計拠点において、住宅設備設計分野からエネルギー設計分野への速やかな人材配転及びデジタル化による業務フローの改善に努めた結果、経常利益は360百万円(前期比30.7%増)となりました。
② 資産、負債及び純資産の状況
流動資産は前連結会計年度末に比べて23.8%増加し、3,105百万円となりました。これは主として、現金及び預金が672百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて12.2%減少し、2,716百万円となりました。これは主として、保有株式の評価替えにより投資有価証券が305百万円減少したことによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて56.5%増加し、1,048百万円となりました。これは主として、短期借入金が500百万円増加した一方で、未払法人税等が104百万円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて49.5%減少し、128百万円となりました。これは主として保有株式の時価の変動により繰延税金負債が104百万円減少したことによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.7%減少し、4,645百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益327百万円を計上した一方で、所有株式の一部売却及び評価替えによりその他有価証券評価差額金が213百万円減少し、配当金の支払額286百万円が発生したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ197百万円増加し、当連結会計年度末残高は1,699百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は321百万円(前連結会計年度は465百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益440百万円及び減価償却費124百万円を計上した一方で、法人税等の支払額205百万円が発生したこと及び持分法による投資利益87百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は395百万円(前連結会計年度は303百万円の収入)となりました。これは主として、貸付金の回収による収入657百万円を計上した一方で、貸付けによる支出500百万円及び定期預金の預入による支出454百万円が発生したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は213百万円(前連結会計年度は325百万円の支出)となりました。これは、短期借入れによる収入500百万円を計上した一方で、配当金の支払額286百万円が発生したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、受注生産形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引はありません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。セグメント間の取引はありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の数値及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。また、経営陣は過去の実績や状況に応じ、合理的妥当性を有する要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎としております。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当連結会計年度の売上高は5,607百万円(前期比10.8%増)となりました。
再エネサービスの売上高は、株式会社ENE’sにおいて太陽光発電及び蓄電池関連の設置工事請負が順調に増加したことにより、売上高は1,379百万円(前期比23.5%増)となりました。
メンテナンスサービスの売上高は、TEPCOホームテック株式会社をはじめとするエネルギー系企業からの受託案件が引き続き増加した結果、売上高は2,010百万円(前期比3.5%増)となりました。
設計サービスの売上高は、電気自動車向け充電器の設置に関する申請図作成業務、太陽光関連システム開発業務及びBIM導入に関するコンサルティング業務の受託が増加した結果、売上高は2,216百万円(前期比10.8%増)となりました。
当連結会計年度の営業費用は5,272百万円(前期比7.6%増)となりました。
再エネサービスの営業費用は1,275百万円(前期比20.4%増)となりました。太陽光発電、蓄電池及び電気自動車向け充電器関連の設置工事請負の増加に伴い、営業費用が増加しております。
メンテナンスサービスの営業費用は1,702百万円(前期比0.7%増)となりました。事業継続対策のために新設した金沢オペレーションセンターの稼働率が向上し、事業効率が改善された結果、営業費用の増加が抑制されました。
設計サービスの営業費用は1,862百万円(前期比7.9%増)となりました。日本及び中国の設計拠点において、住宅設備設計分野からエネルギー設計分野への速やかな人材配転及びデジタル化による業務フローの改善に努めた結果、営業費用の増加が抑制されました。
各報告セグメントに配分していない全社費用は433百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は334百万円(前期比106.8%増)となりました。
当連結会計年度の営業外収益は115百万円となりました。持分法による投資利益87百万円等を計上しております。
当連結会計年度の営業外費用は8百万円となりました。為替差損5百万円等を計上しております。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は441百万円(前期比3.6%増)となりました。
再エネサービスの経常利益は185百万円(前期比41.1%減)となりました。
メンテナンスサービスの経常利益は311百万円(前期比24.2%増)となりました。
設計サービスの経常利益は360百万円(前期比30.7%増)となりました。
当連結会計年度の特別利益は0百万円となりました。
当連結会計年度の特別損失は1百万円となりました。固定資産除却損1百万円を計上しております。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前期発生した投資有価証券売却益及び関係会社出資金売却益が発生しなかったことから440百万円(前期比43.3%減)となりました。
その他(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は112百万円となり、法人税等の負担率は25.6%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益327百万円(前期比47.8%減)となりました。
当連結会計年度における財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ②資産、負債及び純資産の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と健全な財政状態の維持のため、営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、基本的に営業キャッシュ・フロー及び自己資本を主な源泉と考えております。ただし、当社グループの成長のための資金需要が生じた場合に備え、金融機関との間で当座借越契約を締結しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
インタレスト・カバレッジ・レシオ:(営業利益+受取利息)/支払利息
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
当社グループは、目標とする経営指標としてROE(自己資本当期純利益率)を掲げております。今後、人々の住まいと暮らしを支える住宅・エネルギー分野のインフラ事業を目指すことで持続的な利益成長を実現しつつ、株主資本を有効活用(配当及び自社株買いによる株主還元を含む)することにより、ROEの向上に努めてまいります。
当連結会計年度のROEは8.1%となりました。ROE関連指標は以下のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。