文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社は、次の経営理念を掲げ、創業以来一貫して顧客の企業価値向上のため事業を推進してまいりました。
・全社員の物心両面の幸せを実現する
・公明正大に判断し、素直な心で全力で取り組む
・全社員が同じベクトルを持つことに努める
・事業を通して社会・人類に貢献をする
この経営理念の下、今後も引き続き、顧客の更なる企業価値向上に努めるとともに、株主・債権者・顧客・ビジネスパートナー・従業員等の全てのステークホルダーへの社会的責任を果たし、広く社会に貢献していくことを経営の基本方針としております。
当社は、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であると考えており、そのためには、事業規模を拡大し収益性を向上させることが経営上重要であると認識し、客観的な経営指標として、売上高、売上高営業利益率を重視しております。売上高営業利益率は10%以上を目標としております。
ITは社会・経済の全てのインフラに急速に進化し、デジタル革命等により社会経済は大きく変化し、あらゆる物・サービスの価値が大きく変わり、求められるシステムやサービスは大きく変化していくと考えられます。このような環境の中、事業を継続して成長発展させるために中期経営計画「Vision2027」を策定し、以下の中期経営方針を掲げています。
① 進化するデジタル社会において、成長性の高い技術とサービスを提供する
社会環境の変化に伴い、ITに対する期待は変化すると共に増大しています。この変化を的確にとらえ、当社のシステムインテグレーション事業の主軸を成長領域へシフトしてまいります。またクラウドサービスをはじめとするITサービス事業は、新たな社会ニーズに応えるべくサービスの拡大を行ってまいります。当社は顧客が求めるより良いサービスを提供し、社会の中において存在価値の高い企業となり、益々の成長発展を目指します。
② 生産性の高い事業を構築し、高収益企業となる事を目指す
デジタル技術の進展により、従来型のシステムインテグレーションは大きく変化をしています。システム開発中心のシステムインテグレーションから顧客の必要とするデジタル化を分析提案するコンサル型システムインテグレーションに進化をしています。当社ではこれに対応するためシステムインテグレーション事業においてITコンサル領域を拡大すると共に、より高い収益性を目指しております。そしてITサービス事業では、サービス品質の向上により更なる顧客開拓を進めてまいりたいと考えております。これらにより高収益企業となる事を実現し、事業の安定性を高め、投資によるさらなる成長発展を可能にし、企業価値の向上を図ってまいります。
③ 社会への還元と課題解決に努め、存在価値の高い企業となる
サスティナブルな社会を実現するための取り組みは、企業自らにとっても大変に重要な活動となっています。当社では、CSR活動を通じた地域・社会への貢献を継続していくとともに、当社の提供するサービスを通じた社会貢献も進め、社会において求められる企業となる事を目指します。
また、この中期経営方針に基づく、経営戦略(事業戦略(ITコンサルへのシフト、成長性の高い領域の拡大、クラウドサービスの拡充)、経営基盤強化(働き方改革、人材成長支援、業務改革)、投資戦略(人材投資、サービス開発投資、M&A))、サステナビリティ、株主還元を着実に実行してまいります。
現在、当社の主要な事業分野である金融分野においては、銀行、証券、保険などの業態の垣根を越えてサービスを提供する総合金融へのシフト、ネットバンク及び流通系銀行の増加、非金融事業を営んでいる事業会社の融資事業への参入及び決済の多様化など、新しいIT技術を活用したFintechが進展しております。このようなFintechの進展は、新しいIT技術の中でも特に、クラウドに関わる技術が進化したことによりもたらされたものです。また、金融分野以外でも、プログラムを用いたシステム開発からプログラムレスでの開発へのシフト、プラットフォームを活用した開発へのシフトなど、新しいIT技術により、当社の主要事業であるシステムインテグレーション事業を取り巻く環境は大きく変化しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけとした社会環境の変化、新たな成長戦略や働き方改革などに伴う顧客ニーズの多様化やDXのさらなる加速により、求められるシステムに変化が生じるものと考えております。この変化を的確に捉え、顧客がシステムに求める業務性を兼ね備えたシステム開発をすることが重要であり、当社の中期的な経営環境において好機となるように取組む必要があると考えております。
このような急速に進化する事業環境に対応したサービスを提供する組織体制の構築・強化を行い、当社の重要な資産である人材を確保し育成することを経営上の重要な課題と認識しております。
① デジタル革命により進化した事業環境への対応
当社が創業以来得意としてきた金融分野の変化への対応は、当社の成長には欠かせないものであります。また、今後のデジタル社会の進展に伴い、新たに発展する産業領域への事業拡大を図るため、既存のノウハウと先端技術を融合することが不可欠であります。このため、既存のノウハウを活用していくとともに社会の変化や先端技術に常に注目し、事業環境の進化に積極的に対応してまいります。
② 変化に柔軟に対応できる組織体制の構築・強化
当社を取り巻く急速に進化する事業環境の中で、安定的かつ継続的に成長していくためには、組織体制の整備・強化を行うとともに、組織体制に柔軟性を持たせることが不可欠であります。このため、コーポレート・ガバナンス体制の構築・強化やコンプライアンスの徹底を図るとともに、将来の事業環境や技術の進歩を想定した組織体制を構築してまいります。
③ 事業の収益性向上と業務ノウハウ獲得のための直接取引の拡大
顧客との直接取引を拡大し、事業の収益性を向上するとともに、業務ノウハウの獲得を推進していきます。さらには業務の成果を通して、顧客との信頼関係を構築するとともに、安定的な取引を実現してまいります。
④ 持続的競争優位を保つ当社の資産である人材の確保・育成、ビジネスパートナーとの連携強化・拡大
当社の人材が持続的競争優位の源泉となるため、優秀な人材を採用し育成していくことが重要であり、また、ビジネスパートナーとの連携を強化・拡大することも同様に不可欠であります。このため、積極的な採用による人材の拡充、人材の育成、ビジネスパートナーとの連携強化・拡大に力を注いでまいります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社は、「4つのPHILOSOPHY(経営理念)を軸に、中期経営計画に掲げた3つの方針にそった企業活動を継続することで、企業価値を高めるとともに持続可能な社会の実現に貢献いたします。」を、サステナビリティの基本的な考えとしております。
(2) ガバナンス
当社は、株主・債権者・顧客・ビジネスパートナー・従業員等の当社に関わる全てのステークホルダーへの社会的責任を果たし、広く社会に貢献していく経営を行うことが当社の使命であると考えております。
そのためには、当社が持続的な発展を果たすことが不可欠であり、これを実現するための、経営の効率化・健全性・透明性の向上、コンプライアンス体制の強化、社会環境の変化に迅速に対応できる組織体制の整備を積極的に進めてまいります。
サステナビリティに関する取り組みについては、経営会議で協議を行い、取締役会に報告をしております。
当社は、サステナビリティに関する重要な経営判断を取締役会で決定しております。取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営会議で協議・決議された内容の報告を受け、当社のサステナビリティのリスク及び機会への対応方針および実行計画等についての審議・監督を行っております。各取締役のサステナビリティのリスク及び機会への対応状況、成果は報酬額の算定に反映されます。
中期経営方針「進化するデジタル社会において、成長性の高い技術とサービスを提供する」、「生産性の高い事業を構築し、高収益企業となる事を目指す」、「社会への還元と課題解決に努め、存在価値の高い企業となる」を実行するためには、「持続的競争優位を保つ当社の資産である人材の確保・育成」が重要な経営課題であると認識し、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を定めております。
人材の育成に関する方針「次世代デジタル人材を育成する」
社内環境整備に関する方針「アクシスで働き続けたいと思える環境を作る」
また、「働き方改革、人材成長支援、業務改革を軸に経営基盤を強化していく」を経営基盤強化戦略として掲げ、以下の施策を実行しております。
働き方改革
・働きやすさの追求
・やりがいの創出
・多様性の確保
人材成長支援
・キャリア形成支援
・スペシャリスト育成
・マネジメント育成
業務改革
・リスク管理の強化
・業務効率の向上
・ガバナンス強化
なお、当社は、働きやすく社員が健康で生き生きと働ける組織となるために、健康経営に取り組んでおり、「健康経営優良法人」「銀の認定」を取得しております。
また、育児・介護と仕事の両立に取り組んでおり、「くるみん」認定を取得しております。
(4) リスク管理
当社は、リスク管理基本方針として、「リスク管理が経営の最重要課題の一つであり、その実践・徹底が経営の基盤であることを深く認識し、リスクの発生に伴う経済的損失や信用失墜を最小限に抑えることは、全役職員が実施すべき最優先事項である」と、定めております。また、リスク管理委員会を設置し、リスクを積極的に予見し、適切に評価するとともに、当社にとって最小のコストで最良の結果が得られるよう、リスクの回避、軽減及び移転、その他必要措置を事前に講じるよう取り組んでおります。
当社では、上記「(3) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注)1.2023年1月1日付で吸収合併しました株式会社ヒューマンソフトの2022年度の数値を含めて算出しております。
2.指標の算出にあたっては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出した当事業年度の当社の数値及び2022年度の当社及び株式会社ヒューマンソフトの労働者を合算し、当事業年度と同様の方法により算出した数値から算出しております。なお、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出した場合は、0.2%縮小しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、顧客企業のITへの要望に迅速に応えるために、日々進化するIT技術等への対応を行い事業活動を拡大してまいりました。しかしながら、今後の技術革新への十分な対応ができなかった場合及び景気低迷等により顧客企業のITへの投資が減少した場合には、顧客企業からの受注が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、「労働者派遣法」という)」、「下請代金支払遅延等防止法」等の規制を受けております。当社は、以下の免許を取得し顧客先に従業員を派遣しているため、労働者派遣法の遵守に努めておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当した場合、関係法令に違反した場合には当該事業の停止、許可の取消しを命じられる可能性があります。また、法令の制定、改正、解釈の変更が行われた場合に、当社の事業活動に影響が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合他社による影響について
当社は、企画力、提案力、人材力等の強化、ニアショア開発及びビジネスパートナーの活用による競争力の強化、付加価値の高いサービスの提供、等により顧客との良好な取引関係の維持等に積極的に取り組み、競争優位性を確保し、品質及び価格の維持向上に努めております。しかしながら、競合他社のサービス力の向上や価格競争の激化により当社グループの競争力が相対的に低下した場合、収益性の低下等を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、金融関連分野向けのシステム開発及び大規模プロジェクト管理等の業務ノウハウを保有し、その知見と経験を生かしたシステム構築に多く携わっていることから、金融関連分野への依存割合が高くなっております。なお、公共分野等の他の分野での取引額の拡大を図り、金融関連分野への依存割合の低減を図っておりますが、金融業界の今後の動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、大手システムインテグレーターからの依頼による設計開発業務及び運用保守業務を多く取り扱っているため、大手システムインテグレーターへの依存割合が高くなっており、当事業年度の売上高に占める大手システムインテグレーター上位3社グループ(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、富士通株式会社、BIPROGY株式会社及びそのグループ会社)の割合は44.6%となっております。現在まで、長期にわたり取引を維持しており、今後も継続的かつ安定的に取引を行っていく方針であります。なお、他の顧客との取引額の拡大を図り、大手システムインテグレーター上位3社グループへの依存割合の低減に努めておりますが、何らかの事情により事業方針の変更等がなされた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、作業工程等に基づき発生コストを予測し、適正な利益を加味した見積り金額を算出し、プロジェクトの採算管理をしておりますが、当初想定できなかった事象等の発生による追加コストの発生、当社の過失による納期遅延又はシステムの不具合による損害賠償が発生した場合等には、当初見込みからプロジェクトの採算が悪化するほか、当社の社会的信用が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
システム開発のプロジェクトにおいては、一時的に長時間労働が発生することがあるため、当社では、日々の勤怠を確認することはもちろんのこと、月次での長時間労働の状況及び今後の残業発生見込みの確認を行う等、長時間労働の発生を未然に防ぐ労務管理体制を整備しております。しかしながら、やむを得ない事情により長時間労働が発生した場合には、過重労働、それらを起因とした健康問題の発生及びそれに伴う訴訟、システム開発の生産性の低下、従業員の士気の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、システム設計・構築等において、必要に応じてビジネスパートナーに外注をしております。ビジネスパートナーとは良好な関係を築いておりますが、ビジネスパートナーから十分な開発人員を確保できない場合、外注コストに変化が生じた場合等には、適正価格でのサービスの提供が困難になる等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業活動は人材に大きく依存しており、優秀な人材の確保・定着及び育成が重要であると考えております。しかしながら、優秀な人材の確保・定着及び育成が計画どおりに進まない場合、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、業務に関連して多くの機密情報及び個人情報を取り扱っており、厳格な情報管理が求められていることから、当社では、ISO/IEC27001:2013の認証取得及びプライバシーマークを取得し、情報管理の徹底を図っております。しかしながら、何らかの理由により機密情報及び個人情報の外部への漏洩が生じた場合、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ システム障害について
当社は、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、ソフトウェアの不具合、コンピュータウイルス、事故等により、システム障害が発生する可能性があるため、社内システムの定期的なバックアップ等を講じておりますが、システム障害が発生した場合には、当社の事業運営に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権の侵害について
当社は、当事業年度末現在において、第三者から知的財産権の侵害に関する指摘等は受けておりません。しかしながら、当社の認識外で第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、当社への損害賠償請求や信用力の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟リスクについて
当社は、当事業年度末現在において、第三者から訴訟を提起されている事実はありません。当社は、法令遵守に努めておりますが、事業活動を行う中で、訴訟、その他の法律的手続の対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
地震・台風等の自然災害、テロ、パンデミック等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。当社は事業継続のための体制の構築を図っておりますが、災害等の状況によっては、事業活動に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付債務について
当社の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上の前提条件に基づいて算出されております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 配当政策について
当社は、2023年8月に策定した中期経営計画「Vision 2027」を着実に実行しておりますが、配当性向につきましては、2027年12月期に配当性向35%以上とする中期経営計画を1年前倒しとなるよう、配当性向の引き上げを予定しております。
しかしながら、当社の業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。
④ 大株主について
当社の代表取締役会長執行役員CEO 小倉博文は、当社の大株主であり、当事業年度末現在で発行済株式総数(自己株式を除く。)の45.20%を所有しております。
同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ M&Aにおけるのれん等の減損リスク
当社は、事業規模の拡大と収益源の多様化を目的として、M&Aを事業展開の選択肢の一つとして考えております。
M&Aによる事業展開においては、当社が当初想定したシナジーや事業拡大等の効果が得られない可能性があります。これらに加えて、子会社化後の業績悪化やのれんの償却又は減損等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して708,255千円増加し、4,772,881千円となりました。その主な要因は、現金及び預金が556,392千円、売掛金及び契約資産が127,676千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して147,698千円増加し、1,208,994千円となりました。その主な要因は、未払法人税等が40,167千円、退職給付引当金が36,058千円、買掛金が24,734千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して560,557千円増加し、3,563,886千円となりました。その主な要因は、当期純利益の計上等により利益剰余金が523,290千円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は74.7%となりました。
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される一方、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等による影響に注意が必要な状況が続いております。このような状況の中、日銀短観2024年12月調査によると、当社サービスの重要な顧客である金融機関を含む全産業のソフトウェア投資額は2024年度計画が前年度比13.5%増となっており、IT投資は不透明さが残る環境下でも堅調に推移すると期待されます。
このような当社を取り巻く環境の中、中期経営計画Vision2027にて、① 進化するデジタル社会において、成長性の高い技術とサービスを提供する、② 生産性の高い事業を構築し、高収益企業となる事を目指す、③ 社会への還元と課題解決に努め、存在価値の高い企業となる、を中期経営方針として掲げ、同時に策定した3つの経営戦略(事業戦略、経営基盤強化、投資戦略)を推し進め、デジタル社会に貢献するサービスの拡充や体制の強化を図っております。また、顧客からの信頼を獲得し、持続的にサービスを提供するために、高度化する多数の先端技術の吸収を積極的に行うとともに、顧客及びビジネスパートナー向け営業体制の強化、業容拡大に向けた人材の積極採用、充実したサービス提供に向けた人材育成等の施策を行ってまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は7,434,787千円と前事業年度と比べ853,423千円(13.0%)の増収、営業利益は790,052千円と前事業年度と比べ137,500千円(21.1%)の増益、経常利益は848,445千円と前事業年度と比べ182,088千円(27.3%)の増益、当期純利益は597,778千円と前事業年度と比べ135,349千円(29.3%)の増益となりました。
なお、当社は、システムインテグレーション事業の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいと考えられることから、セグメント情報の記載を省略しております。
事業のサービス別売上高については、以下のとおりであります。
a システムインテグレーション事業
当事業年度においては、高度化するデジタル社会の中において、確かな技術でサービスを提供できるIT人材を獲得するため、様々なチャネル等を活用した人材の採用を進めるとともに、人材育成の強化、ビジネスパートナーとの協力関係の強化及び新規のビジネスパートナーの開拓を行うなど、受注拡大に向けた体制構築を進め、顧客からの要望に応えるよう努めてまいりました。
この結果、SWIFT対応、モダナイゼーション、クラウドリフトなどの需要の取り込みを主因とした銀行向け売上の増加や、新規顧客の獲得や直接受注額の増加による官公庁案件の拡大を主因とした公共社会インフラ分野向け売上の増加などにより、当事業年度の売上高は7,025,323千円と前事業年度と比べ797,859千円(12.8%)の増収となりました。
b ITサービス事業
当事業年度においては、利用者目線を大切にしたサービス提供を継続するために、顧客要望を積極的に確認し、サービスの改善に努めてまいりました。特に物流の2024年問題への対応を進め、リアルタイム運行管理システムKITAROサービスの機能拡充を図りました。
この結果、KITAROサービスは、堅調な新規契約及び解約台数の減少により、契約台数が好調に推移いたしました。また、当社のサービスノウハウを活用した他社サービスの構築案件やサービス提案が順調に推移し、当事業年度の売上高は409,463千円と前事業年度と比べ55,563千円(15.7%)の増収となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、各キャッシュ・フロー合計の増加額554,557千円、現金及び現金同等物に係る換算差額の増加額1,835千円により、3,023,036千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は、556,818千円(前事業年度は478,156千円の資金の増加)となりました。その主な要因は、税引前当期純利益の計上848,445千円、売上債権の増加額81,914千円、仕入債務の増加額24,734千円、法人税等の支払額226,022千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の増加は、34,959千円(前事業年度は66,065千円の資金の減少)となりました。その主な要因は、保険積立金の解約による収入40,551千円、有形固定資産の取得による支出1,383千円、無形固定資産の取得による支出3,568千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は、37,221千円(前事業年度は9,561千円の資金の減少)となりました。その要因は、株式の発行による収入37,266千円、配当金の支払額74,487千円であります。
当社が行う事業では、提供サービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における受注状況を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
当事業年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.前事業年度における富士通株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しておりますが、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
確定給付制度の退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上の仮定を用いた見積りを基礎として算定しております。当該数理計算上の仮定には、安全性の高い債券の利回りを用いた割引率及び予想昇給率等の様々な計算基礎があります。
これらの計算基礎について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付引当金及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
繰延税金資産の回収可能性は、将来減算一時差異が将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性、将来加算一時差異の十分性等を満たしている場合に、将来減算一時差異が将来の税金負担額を軽減する効果を有するものとしております。
これらの判断は、将来の利益計画に基づく課税所得、一時差異等の解消見込年度等の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等によりこの見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
c 重要な収益及び費用の計上基準
一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益については、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した原価が、予想される原価の総額に占める割合に基づいて行っております。
予想される原価の総額及び当事業年度末における進捗度を合理的に見積っておりますが、想定していなかった原価の発生等により当該見積りが変更された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当事業年度における売上高は、7,434,787千円(前年同期比13.0%増)となりました。これは主に、モダナイゼーション、クラウドリフトなどの需要の取り込みを主因とした銀行向け売上の増加や、新規顧客の獲得や直接受注額の増加による官公庁案件の拡大を主因とした公共社会インフラ分野向け売上の増加などによるものであります。
当事業年度における売上原価は、5,586,467千円(前年同期比12.7%増)となりました。これは主に、システムインテグレーション事業において、様々なチャネル等を活用した人材の採用やビジネスパートナーとの協力関係の強化などを行った結果、システムエンジニアやビジネスパートナー数が順調に推移したことに伴うシステムエンジニアの人件費及びビジネスパートナーへ支払う外注費等であります。
この結果、売上総利益は1,848,319千円(前年同期比13.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、1,058,266千円(前年同期比8.8%増)となりました。これは主に、人材の採用、教育・研修、福利厚生や待遇の向上などの人材投資額等によるものであります。
この結果、営業利益は790,052千円(前年同期比21.1%増)となりました。
(営業利益率)
当社では売上と売上を獲得するために費やしたコストを管理するために営業利益率を主要なKPIとして管理しております。
当事業年度における営業利益率は、高収益案件の増加やビジネスパートナーを含むシステムエンジニア数の増加による増収効果が、ビジネスパートナー増加に伴う外注費率の増加を吸収し売上総利益率が0.2%増(前年同期は24.7%)となりました。人材投資等による販管費率の増加要因の一方、取締役退任に伴う役員報酬の減少による販管費率の減少要因などが販管費率を引き下げ、販管費率は0.5%減(前年同期は14.8%)となりました。
この結果、営業利益率は0.7%増(前年同期は9.9%)となりました。引き続き、高収益案件の増加による収益力の向上、人材の積極採用やビジネスパートナーとの関係強化等による受注体制の拡大を進め、当社の成長に必要な人材投資を吸収することにより、営業利益率の改善を図ります。
(営業外損益及び経常利益)
当事業年度の営業外損益は、営業外収益として受取配当金22,396千円、助成金収入14,188千円、保険解約返戻金19,699千円の計上等により、経常利益は848,445千円(前年同期比27.3%増)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当事業年度の特別損益は、特別損失として固定資産除却損0千円計上いたしました。
法人税、住民税及び事業税は266,364千円、法人税等調整額は△15,697千円となりました。この結果、当期純利益は597,778千円(前年同期比29.3%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金需要のうち主なものは、外注費、労務費、販売費及び一般管理費に係る運転資金であります。これらの所要資金については、自己資金により充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、主に銀行借入により資金を調達する方針であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。