第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの基本方針は次のとおりです。

① 使命

○ 情報・サービスを通じて自動車産業の発展と豊かな社会づくりに貢献する。

快適、安全で環境性能の高いクルマがより低コストで消費者に供給できれば、世界でより多くの人がクルマの楽しさや便利さを感じてもらえます。マークラインズは『自動車産業ポータル』の運営を通じて自動車産業に関わる企業のお客様に、情報や各種サービスをグローバルに提供していくことにより、その実現に貢献します。

 

② 共有する価値観

○ オープン

当社の出発点はグローバル化の進展とともに自動車業界の系列構造が、よりオープンな関係に変化していくなかで、地域・グループを超えて情報サービスを提供することでした。マークラインズは開かれたB2B取引支援の運営体として数多くの多彩なお客様が集まっていただける場を提供します。社内においても、年令、性別、学歴、国籍を問わず人材を登用するオープンポリシーを貫いています。

 

○ 相互繁栄

当社はお客様、株主、従業員、パートナーなど多くのステークホルダーとの関係があります。当社が将来に亘って質の高いサービスを生み出し成長するには、それぞれとのバランスの取れた関係が大切と考えます。長期的な視点からWin Winの関係を構築して参ります。

 

○ 諸行無常(=すべて変化する)

この世のすべての行いは常無きもの、自動車業界を取り巻く環境も刻々と変化し、事業機会を生み出します。当社が存在するのも世界が変化するからに他なりません。私たちは世界の動きを、分かり易く迅速にお伝えするとともに、お客様のご要望に沿った個別のプロジェクト調査も行い、変化を綿密に調べます。また、今日できなかったことも明日できる、との信念のもと、わたしたち自身も変化し続けます。当社グループが、持続的かつ収益力のある成長企業であり続けるために、世界で存在感のある企業を目指し、ビジネスモデルの変革を実行して参ります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループが重視している経営指標は、次のとおりです。

 

① 利益成長率

連結営業利益及び連結経常利益の利益成長率を重視する理由は、真に強い企業となるためには、継続して安定した利益成長を遂げていくことが重要と考えているためであり、前期比20%以上の利益成長率の達成を目標としております。2024年12月期の連結営業利益及び連結経常利益の利益成長率は、それぞれ11.3%、12.0%となりました。

 

② 株主資本利益率(ROE)

株主資本利益率(ROE)を重視する理由は、株主資本を使用してどのくらい利益を上げたのか、株主・投資家へのリターンの尺度とされているためであります。

2024年12月期連結会計年度の株主資本利益率(ROE)は26.0%となりました。当社は、収益力の向上と業績に応じた株主還元策等を踏まえて、中期的にROE30%の維持と資本効率の向上に努めてまいります。

 

③ 配当性向

株主の利益配分を重要な経営方針と位置付け、中長期に株式を保有していただくため、安定的な配当を実施することを目標としております。経営基盤の強化と今後の事業領域の充実のための内部留保を確保しつつ、業績に応じた配当を実施することが重要と考え、配当性向は連結業績をベースに40%を目安と考えております。
 第24期連結会計年度の配当性向は、40.2%となります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループでは、今後、EV、SDV化など変化が加速する自動車産業において一段の成長を実現するために下記のような活動を積極的に行ってまいります。

 

① グローバル化

中国、米国、インドなど引き続き販売台数の増加が期待できる国に所属する企業は今後も成長が期待できますので、当該企業を中心に営業活動を推進することで新規契約獲得の増加を図り、グローバル化を加速させてまいります。

 

② アップセルの推進

情報プラットフォームの既存顧客の中には、現状アカウント数は少ないが組織の規模から潜在的により多くの方々にご利用いただく余地がある企業が多く存在しています。これらの企業に、より大きな契約へ切り替えていただけるよう働きかけ、アップセルの推進を図ってまいります。

 

③ 事業部間のクロスセル促進

2024年度にベンチマークセンターを稼働させるなど、これまでより幅広い領域に係るニーズに対応できる体制が整いました。今後は、各事業部間でこれまでより綿密に連携し、顧客が抱える様々な課題に対し、当社が最適なソリューションをまとめて提供できるような活動を推進してまいります。

 

④ 情報プラットフォーム機能の強化

生成AIを活用し利用者の利便性向上を図る取り組みの第一弾として、2024年度に「AIナビ」を実装しました。2025年度はその第二弾として対話型AIを活用しコンテンツ間にまたがった複合的な回答を可能とする検索機能の実装を目指してまいります。

 

⑤ リバースエンジニアリング分野の強化

ベンチマークセンター稼働に伴い、当社が実車両を調達し、独自に分解することで3現主義(現地、現物、現実)を実現することができるようになりましたので、これまでより深く、さらに幅広い分析活動を通じてリバースエンジニアリング分野のサービス強化を推進してまいります。

 

⑥ ソフトウェア分野への進出

次世代モビリティでは、車両の機能がソフトウェアによって定義されるSDV(ソフトウェア定義型車両)が重要な要素となっております。このような環境の中、当社は主に日本企業のソフトウェア開発を支援するためにスマートカー向けハード、ソフト製品に実績のあるHuaqin Technology Co., Ltd.(中国)と合弁会社を設立しソフトウェア開発受託事業を開始してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社は、サステナビリティをめぐる課題への対応を経営の重要課題と認識しています。取締役会は、サステナビリティに関する対応方針や施策の監督を行い、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。

(2) 戦略

① 気候変動

当社は、世界の自動車産業に係る多種多大で膨大な情報を収集・分析し、自動車産業のみならず様々な業界の企業の皆さまにデータを提供しております。脱カーボンに向けた電動化情報の提供を通じて、自動車産業全体がスムーズにカーボンニュートラル社会へ移行できるよう支援しております。また当社は、気候変動によるリスクと機会が当社の事業・財務等に及ぼす影響を分析し、電気使用量及び温室効果ガス(GHG)削減等の各種取り組みを推進しております。昨年8月に稼働を開始したベンチマークセンターでは、電気事業者との間にPPA(Power Purchase Agreement)のサービス契約を結び、社屋の屋根に設置された太陽光発電システムからクリーンな電力を使用しています。自家発電した電気を消費することで、電気使用量とCO2の削減に日々努めております。

② 人的資本 

当社は、人的資本を最重要資本のひとつに位置づけております。持続的成長のために、多様な人材が活躍できる環境づくりに努めること、及び優秀な人材を確保し育成することが重要であると考え、年齢・性別・学歴・国籍の制限のないリクルーティング活動や研修制度の充実などの取り組みを推進しています。

(3) リスク管理

当社は、取締役会の監督のもと、各事業部門においてサステナビリティに関わるリスクの情報収集を行っております。今後、状況に応じて、全社的なリスク管理を統制する「コンプライアンス・リスク統制委員会」と連携し、サステナビリティに関連するリスク管理の強化を検討してまいります。

(4) 指標及び目標

① 気候変動

当社はGHG削減に向け、当社グループ全体で省エネ・節電を進めるとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーへの転換など、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。そのための指標及び目標として、事業による直接排出(Scope1)と電力消費による間接排出(Scope2)について、2040年度に実質ゼロにする目標を設定しました。現在、本社とベンチマークセンターにおいて、電気使用量及びCO2排出量をモニタリングしておりますが、今後は、当社グループも含めたデータ収集を行い、開示を行ってまいります。

 

なお、本社とベンチマークセンターにおける電気使用量及びCO2排出量の実績は以下のとおりです。

 

2022年12月期

2023年12月期

2024年12月期

本社

本社

ベンチマークセンター

   電気使用量(KWh)

56,399

58,831

58,082

67,974

 CO2 排出量(t-Co2)
  Scope 1

-

-

-

-

 CO2 排出量(t-Co2)
  Scope 2

21.21

24.00

0.00

23.76

  合計(Scope 1+2)

21.21

24.00

0.00

23.76

 

※本社は2024年度から再生可能エネルギー由来の電力を使用しており、Scope2のCO2排出量は0となっています。

※ベンチマークセンターの電気使用量及びCO2排出量は、稼働を開始した2024年8月以降の数値です。

※ベンチマークセンターの電気使用量には太陽光発電による再生可能エネルギーの電力が含まれています。

 

② 人的資本

当社は、人的資本に関する数値目標を定めておりませんが、今後、関連する指標のデータ収集と分析を進め、必要に応じて目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。

 

当社グループの外国人採用比率、女性正社員比率及び女性管理職比率についての実績は以下のとおりです。

      指 標

2023年12月期

2024年12月期

外国人採用比率

9.7

16.8

女性正社員比率

33.6

32.8

女性管理職比率

25.0

31.4

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしも事業等のリスクに該当しない事項についても、投資判断上、重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止及び発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在における当社グループの判断に基づいています。

当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えています。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

 

(1) 事業内容について

① 特定事業への依存について

当社グループの売上高のうち、情報プラットフォーム事業売上高が占める割合は2023年12月期連結会計年度で64.2%、2024年12月期連結会計年度で65.3%となっております。現在、コンサルティング事業、人材紹介事業、市場予測情報販売事業、プロモーション広告事業、車両・部品調達代行事業、分解調査データ販売事業、車両分解・計測事業及び自動車ファンド事業を展開する等、事業領域の拡大並びに係る各事業の売上高の増加を図りながら、収益構成を変化させてきており、情報プラットフォーム事業売上高への依存度は近年低下傾向にあります。ストックビジネスである情報プラットフォーム事業は、当社の中核事業であり、安定した収益成長を続けております。一方で連結売上高に占める割合が高い当該事業売上高が計画どおり進捗しない場合には、当初の収益計画から下方に乖離する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

② 自動車業界に特化した情報提供サービス事業について

当社グループの主要な事業である情報プラットフォーム事業は、自動車業界に特化した情報提供サービス事業です。自動車は、EV、SDV及び自動運転などの進展により大きく変化しております。そのため、自動車業界には完成車メーカー、部品メーカー以外に原材料・素材から電気・電子機器、機械、情報通信、ソフトウェア等の多種多様な産業が幅広く携わっており、当社の契約企業も直接的・間接的に自動車業界に携わる多様な産業・業界に及んでおります。そのため、収益自体は特定の顧客・業界に依存はしておりませんが、自動車需要が大幅に落ち込む等、総合産業である自動車産業の業況に著しく大きな影響を与える景気後退があった場合には、新規契約の停滞、契約企業の解約が増加する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

③ 情報プラットフォーム以外の事業について

・コンサルティング事業、人材紹介事業、市場予測情報販売事業、プロモーション広告事業、車両・部品調達代行事業、車両分解・計測並びに分解調査データ販売事業

各事業ごとの成長戦略に基づき売上高増加を図っております。しかしながら、事業展開が計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

・自動車ファンド事業

新たな技術を生み出し将来の自動車産業に大きく寄与する可能性のあるベンチャー企業、及び社歴のある中堅企業でも、自らが再イノベーションを起こして再成長を期す企業を対象に投資を行っております。投資にあたっては、対象企業の財務内容等の詳細な事前審査を行い、十分にリスク検討しておりますが、投資先企業の事業が計画通りに進捗せず、業績が悪化した場合には投資が回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 海外事業について

当社グループは、当連結会計年度末現在、アメリカ合衆国、中華人民共和国、タイ国、ドイツ、メキシコ合衆国及びインドに海外子会社を有し、情報プラットフォーム事業及びプロモーション広告事業を海外展開しております。これら子会社を通じた事業の海外展開が、計画どおりに進まず、当社グループの業容が拡大しない場合には、財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(2) 為替の変動について

当社グループの主要事業である情報プラットフォーム事業は、利用するパソコンの契約台数に応じて、基本年間60万円から240万円の定額料金制を採用しております。一方、海外向け価格は、現在、円貨建て料金をベースに米ドル、ユーロ、英ポンド及び中国元の4通貨で換算した料金体系にしており、為替変動により円貨建て料金価格と外貨建て料金価格との間に大きな乖離が生じた場合に対応して適時に外貨建て料金を改定しております。

しかしながら、急激で極端な円高が料金価格改定直後に発生した場合には対応出来ない可能性がある他、料金価格改定を行った場合においても、海外企業にとっては実質利用料金の値上げとなるため、海外新規契約の停滞や海外企業の退会等につながる可能性もあります。そのため、急激で極端な円高が起こった場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。なお、外貨で受領する海外契約企業からの利用料金については、為替変動が当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに与える影響を極力回避する目的で入金都度、円に換金することで多額の外貨を長期間保有しない方針を採っております。

 

(3) 特定の人物への依存について

当社代表取締役酒井誠は、当社グループの経営方針、経営戦略の策定をはじめとする事業推進において重要な役割を担っております。当社グループは、同氏に依存しない体制作りに努めておりますが、グループ全体を取り纏めていくという点で、現時点ではなお同氏の影響がかなり大きい状況にあります。現在のところ、同氏が退任する予定はありませんが、何らかの理由により業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 情報コンテンツについて

① 情報の入手先について

当社グループは、台数統計情報のコンテンツにおいて外部から購入もしくは提携により取得した情報を提供しております。

当社グループでは情報の入手先の開拓・多様化に努めておりますが、取得価格の上昇、提携解消等その他、自然災害等の予期せぬ理由で係る情報の継続的な取得が困難になり、かつ、当該情報の代替購入先の開拓が間に合わなかった場合には継続的な情報提供サービスが行えなくなる可能性があります。その場合、当社グループのサービスに対する評価を損なうことで、新規契約、既存契約に影響を及ぼし、財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

② 著作権権利侵害・提供情報の誤謬について

当社グループが情報プラットフォーム上で提供する情報コンテンツは、著作権等権利侵害が発生しないよう、チェックリストに基づく確認と査読者による確認の複数チェック体制により運用しております。また、著作権等権利侵害が発生しないよう入社時研修の実施等対策を講じております。2001年のサービス開始以来、著作権利侵害に該当する事実はないと判断しております。

一方、提供する情報については、コンテンツ作成者以外の査読・確認等による複数体制で誤謬防止に努めております。

しかしながら、コンテンツ内容の誤謬により、当社グループの評価に影響を与える可能性や、第三者の著作物を過失により無断転用する等の権利侵害などにつき、損害賠償を求められる可能性を否定できず、そのような場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

 

③ 他社からの知的財産侵害を防御するための社内体制について

当社グループは、特許・実用新案権・意匠権は有しておりませんが、同名の類似サービスを排除できるよう、社名について、商標権(日本・中国・アメリカ合衆国)を取得しております。当社グループのコンテンツが他社により無断転用或いは無断転載されることによる当社著作権への侵害を防止するため、情報プラットフォーム会員規約を制定し、著作権等、当社への権利が侵害された場合には、会員資格の停止などの対抗措置を取ることを可能としております。また常に利用者による異常なアクセスを監視し、万が一、会員規約に違反する行為が発覚した場合には、コンプライアンス・リスク統制委員会で措置の検討を行うか、早急な対応が要求される場合は代表取締役社長と人事総務部長との間で対応措置を検討することとしております。

 

(5) システムに関するリスク

 ① システム障害について

当社グループが情報プラットフォームにて提供する自動車情報は、インターネットのネットワークを利用して情報提供サービスを行っており、24時間365日年中無休で安定したサービスを提供する必要があります。そのため、信頼の置けるデータセンターの活用や日進月歩する情報セキュリティー関連技術の導入、サーバーの冗長化等継続的な設備投資や保守管理を行い、最適な環境下でサービス提供ができるよう努めております。

しかしながら、予期しない自然災害・停電やコンピュータ・ウイルス並びに不正アクセス等による予想しないシステム障害の発生により、サービス提供が停止する可能性があります。当社グループでは、サービスの保証については利用規約に免責条項の規定を設けておりますが、損害賠償請求が提起され、係る規定の適用が認められない場合は、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

 ② システム開発・保守の外部委託について

当社が運営する「自動車産業ポータル」に係るシステムの開発及び保守の一部を、現在、グループ外のシステム会社に委託しております。当該システム会社とは安定的に取引を行っておりますが、契約更新ができなかったり、委託条件が悪化する可能性があります。その場合、開発スケジュールに支障をきたしたり、他の外部委託先との契約がシームレスに締結できなかったことにより、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(6) 技術革新について

① 技術革新に対応する投資について

当社グループが提供するサービスは、インターネット技術に密接に関連しています。インターネット関連技術は技術革新が早く、新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社グループでは、適宜新しいシステム技術やセキュリティー関連技術等を取り入れながらシステムの構築、運営、また、適時にシステム・リノベーションを行い、サービス水準を維持、向上させております。
 しかしながら、システム・リノベーションが計画どおりにシームレスで移行出来ない場合は、一時的に新規契約が停滞する可能性を否定できず、収益に影響を与える可能性があります。また、インターネット分野での技術革新のスピードは著しいものがあり、当社グループが想定しない新技術、新サービスが生み出された場合には、それらに対応するために、設備投資及び費用の支出が必要になり、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

 

② 情報検索の機能向上について

当社グループが情報プラットフォーム上で提供している情報コンテンツは、当社グループが調査・収集を行った独自情報や調査・編集した高付加価値の情報で構成されております。また、当社グループでは、契約企業のご要望を反映しながら、より詳細な調査情報の提供、情報のカバー範囲を新興国に広げる等、日々継続してコンテンツの強化に努めております。一方で、AI等による情報検索技術が発達してきております。今後、コンテンツの内容によっては、検索技術の向上が新規契約見込会員等の当該コンテンツに関連した情報入手を容易にさせる可能性があり、無料登録会員の登録数減少等契約数に影響を及ぼす可能性があります。
 その場合、新規契約数に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 競合について

当社グループが行なう情報プラットフォーム(自動車業界のポータルサイト)事業と全く類似の事業は国内外を通じて存在していないものと認識していますが、当社グループの顧客層を対象とした情報サービスを部分的に提供している競合企業は存在しております。

当社グループの最大の強みは、6万人以上の完成車メーカーの社員を含む、自動車関連事業従事者50万人以上(2025年2月現在、無料登録会員含む)とインターネットを通じて双方向コミュニケーションで繋がっていることにあります。これに、日本の完成車メーカー全社、海外の有力メーカーが組織的に活用しているという自動車業界における情報プラットフォームの利用実績も併せ、新規参入障壁は高いと認識しております。また、インターネットの特性を生かしたサービスを展開し、提供する情報の質、量及び領域の拡充、また、利便性の維持向上により差別化を図り、法人契約社数の増加に結び付けております。

以上のことから、現在、部分的に情報サービスを提供する他社と激しく競合する環境にはないと判断しておりますが、今後、部分的に競合する他社における事業領域の拡大や、当社グループの事業モデルを模倣したサービスを行なう同業他社が出現した場合、一時的に収益性が低下すること等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 法的規制について

① 個人情報保護について

当社グループは、個人情報を含む顧客情報を保有及び管理しています。これらの情報資産を適切に保護することは業務運営上最重要事項として認識しており、個人情報保護法に則した社内規程の整備、入社時の社員教育の他、個人情報を取扱う役職員を限定し、個人情報へのアクセスにあたってはシステムの採用やパスワードにより制限を行う等、個人情報の漏えい防止策を講じております。
 しかしながら、外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入などの犯罪や従業員の過誤等により個人情報等重要なデータが消去または不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には社会的な信用を失うこととなる他、損害賠償負担等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 有料職業紹介事業について

当社グループでは、日本国内で有料人材紹介事業を展開・運営しております。当社は当該事業を展開するにあたり、厚生労働大臣の許可を受けております。当社が有している有料職業紹介事業許可証の取消しについては、職業安定法第32条に欠格事由が定められております。現時点では、当社に許可取消しとなる事由に該当する事実はありません。

当該事業の全体売上高に占める割合は、2024年12月期連結会計年度において1.4%ではありますが、当該許可の取消しにより、当社グループ全体の評価を損なう可能性があります。その場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 人材の確保及び育成について

当社グループでは、業容の拡大及びサービス内容の多様化に対応して、優秀な人材を適時に確保し、当社グループの企業ビジョンを共有化できる人材を育成していくことが重要であると考えています。しかしながら、雇用環境の変化等により当社グループの事業に必要な知識、技術、経験等を有する人材に対する需要が労働市場で高まり、必要な人員拡充が計画どおり進まない場合や、何らかの事由により人材の社外流出があった場合には、業容拡大の制約要因となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

情報プラットフォーム事業については、コロナ禍収束に伴い、潜在顧客のおよそ9割が所在する海外に再び目を向けビジネスのグローバル展開を再加速する取り組みに着手しました。営業部をグローバル営業1部、グローバル営業2部の2部体制に移行し、それぞれが北米、欧州及びアジアの各地域を軸に営業活動を展開することで、各地域における市場の変化などに柔軟に対応できるようにしました。また、第3四半期においては、世界最大の自動車市場である中華人民共和国における地場の顧客獲得を加速させるため同国の深圳市にMarkLines (Shenzhen) Co., Ltd.を、日本の福岡市にアウトバウンド専用の福岡コールセンターをそれぞれ設立し事業活動をスタートさせました。コンテンツ面においては、8年ぶりに情報プラットフォームのトップページを一新し、EV、AD/ADASなど7つのテーマごとにコンテンツを閲覧できるようレイアウト変更を図るとともに、ChatGPTを活用した当社コンテンツ検索ツールの「AIナビ」、及び「販売台数ダッシュボード」を新機能として実装しました。これに伴い、検索したいコンテンツにより早く正確にアクセスできるようになると同時に、台数情報を様々な切り口でグラフ化することが可能となりました。また、自動車業界で注目度の高いSDV(Software Defined Vehicle)/ソフトウェアベンダーの概要、製品、パートナーシップなどを取りまとめたレポートを掲載するとともに、電動化に関するコンテンツとして、バッテリー生産工場やR&D拠点のデータを拡充しました。さらに、BYD、Xiaomi、Huaweiなどの発表会、海外市場開拓の状況などの中国メーカーの動向、欧米商用車ショーの取材、及びインド二輪車レポートなど多様化する顧客ニーズに対応したコンテンツ掲載を進めました。テレビ局・新聞社などのメディアが情報プラットフォームの台数情報を活用する機会も増加し、その都度、社名がクレジットされることで当社の認知度向上が進みました。以上の結果、契約社数は前連結会計年度末から442社増加(前年度514社増加)の5,616社となりました。

情報プラットフォーム事業以外の事業に関して、プロモーション広告事業は、ソリューションベンダー、及び情報機関からのリピート受注の割合がさらに上昇し、売上高、セグメント利益ともに前期比で増加しました。市場予測情報販売事業は、契約更新率がおよそ75%と高水準で推移したため売上高、セグメント利益ともに前期比で増加しました。コンサルティング事業については、受注件数及び受注単価ともに上昇したことを受け売上高、セグメント利益ともに前期を上回りました。分解調査データ販売事業については、販売本数が前期の70本から47本に減少した影響を受け売上高、セグメント利益ともに前期比で減少となりました。車両・部品調達代行事業については、欧州、日本及び中国の自動車メーカーに係る車両本体、部品などの調達案件は比較的好調でしたが、事業部門全体では売上が前期比でおよそ8ポイントの増加に止まり、セグメント利益は前期比で減少となりました。車両分解・計測事業については、自動車メーカーから初受注した計測案件の検収にともない第1四半期において売上を新たに計上しました。自動車ファンド事業については、関連会社である「自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合」から毎期定額で受領する管理報酬を売上として計上しました。人材紹介事業については、成約件数が前期の85件から37件と大幅に減少した影響を受け売上高が大きく減少し、セグメント利益については赤字に転落しました。

なお、建設中であったベンチマークセンターが2024年8月の開所式を経て稼働を開始しました。これに伴いこれまでは外部に委託してきた車両の分解や計測などの業務を内製化することが可能となり、今まで以上に幅広い領域に係る顧客ニーズに対応することが可能となりました。

この結果、当社グループの当連結会計年度における業績は売上高5,562百万円(前期比14.8%増加)、営業利益は2,216百万円(前期比11.3%増加)、経常利益は関連会社である「自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合」が計上した投資先に係る投資損失引当金のうち当社グループ持分相当額を追加計上したものの、保有する投資有価証券の売却を通して投資有価証券売却益を計上したこと等から2,227百万円(前期比12.0%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を649百万円計上したこと等から1,577百万円(前期比14.1%増加)となりました。

 

また、四半期ごとの業績については以下のとおり推移しました。

 

○ 四半期毎の連結業績の推移

 

 

前連結会計年度
 (自 2023年1月1日
  至 2023年12月31日)
 (百万円)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日
  至 2024年12月31日)
  (百万円)

増減率
 (%)

第1四半期連結会計期間

売上高

1,275

1,589

+24.6

 

営業利益

527

644

+22.0

第2四半期連結会計期間

売上高

1,122

1,196

+6.5

 

営業利益

445

469

+5.5

第3四半期連結会計期間

売上高

1,187

1,205

+1.5

 

営業利益

481

471

△2.0

第4四半期連結会計期間

売上高

1,259

1,571

+24.8

 

営業利益

537

630

+17.4

連結会計年度

売上高

4,845

5,562

+14.8

 

営業利益

1,991

2,216

+11.3

 

 

○ 第1四半期連結会計期間

第1四半期連結会計期間は、人材紹介事業及び分解調査データ販売事業の業績が前年同四半期比で売上高、セグメント利益ともに減少したものの、当連結会計年度から新たに開始した車両分解・計測事業で売上を計上したこと、コンサルティング事業が好調だったこと、及び情報プラットフォームが好調に推移したことなどにより、売上高及び営業利益ともに前年同四半期比で2割を超える伸びとなりました。

 

○ 第2四半期連結会計期間

第2四半期連結会計期間は、情報プラットフォーム事業が引き続き好調に推移しました。一方で、日本における自動車業界の多くの企業にとって4-6月は第1四半期にあたるためコンサルティング事業など情報プラットフォーム以外の事業の売上が一時的に落ち込む傾向にあること、及び人材紹介事業、分解調査データ販売事業が引き続き低調に推移したことにより、売上高及び営業利益ともに伸びが鈍化しました。

 

○ 第3四半期連結会計期間

第3四半期連結会計期間は、情報プラットフォーム事業においては、中国の売上高について人民元建ての累計の金額を各四半期末の為替レートで洗い替えております。第3四半期連結会計期間は、人民元の為替レートが6月末から9月末にかけて2円ほど元安方向に急落した影響を受け、中国の売上高がおよそ40百万円程度目減りし伸びが大きく鈍化しました。その結果、第3四半期連結会計期間の業績は前年同四半期比で売上高は微増、営業利益は2%の減少となりました。

 

○ 第4四半期連結会計期間

第4四半期連結会計期間は、人材紹介事業及び車両・部品調達代行事業の売上高が前年同四半期割れとなりました。一方で、情報プラットフォーム事業における中国の売上高について人民元の為替レートが第2四半期末に近い水準まで戻ったことにより大きく伸びたこと、さらに、コンサルティング事業の売上高が第1四半期を超えるなど特に好調だったことなどにより売上高、営業利益ともに前年同四半期比で2割近く増加しました。

 

 

各セグメントの経営成績は以下のとおりであります。当連結会計年度より、新たに車両分解・計測事業を報告セグメントとして追加しております。また、第3四半期連結会計期間において完成したベンチマークセンターの稼働に伴い、これまで部門共通費として集計していた全社費用の配賦方法を見直し、第3四半期連結会計期間より各事業の実態に応じて合理的に配賦する方法に変更しております。なお、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

○ 事業セグメント別損益(連結ベース)

 

前連結会計年度
 (自 2023年1月1日
   至 2023年12月31日)
(百万円)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日
  至 2024年12月31日)
 (百万円)

増減率
(%)

情報プラットフォーム事業

売上高

3,109

3,629

+16.7

セグメント利益

1,577

1,869

+18.5

プロモーション広告事業

売上高

95

113

+18.6

セグメント利益

75

96

+27.2

市場予測情報販売事業

売上高

233

295

+26.7

セグメント利益

74

87

+18.2

コンサルティング事業

売上高

489

625

+28.0

セグメント利益

49

65

+32.8

分解調査データ販売事業

売上高

253

186

△26.3

セグメント利益

104

64

△38.6

車両・部品調達代行事業

売上高

456

494

+8.4

セグメント利益

56

50

△11.3

車両分解・計測事業

売上高

98

セグメント利益

10

自動車ファンド事業

売上高

39

39

セグメント利益

2

5

+91.9

人材紹介事業

売上高

169

78

△53.4

セグメント利益又は損失(△)

50

△33

売上高 計

4,845

5,562

+14.8

営業利益 計

1,991

2,216

+11.3

 

 

○ 情報プラットフォーム事業:売上高3,629百万円(前期比16.7%増加)、セグメント利益(営業利益)1,869百万円(前期比18.5%増加

当連結会計年度における情報プラットフォーム契約純増社数は前連結会計年度末から442社増加の5,616社となりました。足元では、新規契約に占める海外顧客の割合が7割超となっており、売上高についても日本以外の地域では2桁成長を達成しました。特に北米地域は米国市場が好調だったこと、及び米、墨子会社の体制強化により売上高の伸びは3割超となりました。

 

情報プラットフォーム事業地域別売上高

地域

前連結会計年度
(自 2023年1月1日
  至 2023年12月31日)
 (百万円)

当連結会計年度
(自 2024年1月1日
  至 2024年12月31日)
 (百万円)

増減率(%)

日本

1,284

1,361

+6.0

中国

542

644

+18.9

アジア

530

663

+25.0

北米

382

512

+33.8

欧州

346

420

+21.3

その他

22

28

+26.3

合計

3,109

3,629

+16.7

 

 

〇 プロモーション広告事業:売上高113百万円(前期比18.6%増加)、セグメント利益(営業利益)96百万円(前期比27.2%増加

当連結会計年度のプロモーション広告事業は、前期から引き続きリピート受注が好調に推移しました。さらに、メール配信サービスでは、複数回の配信を同時にお申し込みいただくなど契約単価も上昇しました。その結果、売上高、セグメント利益ともに前期比で増加しました。

 

市場予測情報販売事業:売上高295百万円(前期比26.7%増加)、セグメント利益(営業利益)87百万円(前期比18.2%増加

当連結会計年度の市場予測情報販売事業は、前期との比較で契約更新率が11%増加し75%になりました。また、EV、PHVなどパワートレイン別の予測情報を入手したいというニーズの高まりを受け、新規・既存顧客ともに高価格帯の製品販売が増加しました。その結果、売上高、セグメント利益ともに前期比で増加しました。

 

〇 コンサルティング事業:売上高625百万円(前期比28.0%増加)、セグメント利益(営業利益)65百万円(前期比32.8%増加

当連結会計年度のコンサルティング事業は、技術動向調査、コスト比較分析サービス及びECUベンチマークなどが好調に推移したことに加え、案件当たりの単価も上昇しました。また、内製化の推進による案件ごとの利益率の改善も業績に寄与し、売上高、セグメント利益ともに増加しました。

 

〇 分解調査データ販売事業:売上高186百万円(前期比26.3%減少)、セグメント利益(営業利益)64百万円(前期比38.6%減少

当連結会計年度の分解調査データ販売事業は、Hyundai IONIQ5や当社内製レポートの販売などが業績に寄与したものの、顧客のニーズに訴求する製品投入が進まず、さらにTesla CYBERTRUCKのレポートに係る売上が翌期にずれこむなどの影響から販売本数が減少し、売上高、セグメント利益ともに前期比で減少しました。

 

〇 車両・部品調達代行事業:売上高494百万円(前期比8.4%増加)、セグメント利益(営業利益)50百万円(前期比11.3%減少

当連結会計年度の車両・部品調達代行事業は、電動化に係る車両本体、部品及びインフラ関連設備(急速充電器)などの案件が比較的好調でしたが売上高の伸びは1桁台に止まりました。また、セグメント利益については、前期との比較で利益率の低い案件が増加したこと、及び固定費が増加した影響により減少しました。

 

〇 車両分解・計測事業:売上高98百万円(前期比)、セグメント利益(営業利益)10百万円(前期比

当連結会計年度の車両分解・計測事業は、第1四半期連結会計期間において自動車メーカーから受注した計測案件の検収を受け売上を計上しました。また、8月のベンチマークセンター稼働に合わせYangwang U8の分解・計測をスタートし、12月には一部の分析レポートの販売を開始するとともに、当該車両の構成部品の販売も開始しました。

 

〇 自動車ファンド事業:売上高39百万円(前期比)、セグメント利益(営業利益)5百万円(前期比91.9%増加

当連結会計年度の自動車ファンド事業は、固定費の減少を受け、セグメント利益は増加しました。なお、当連結会計年度において新たに1案件への投資を実行し出資先は合計で5社となりました。

 

人材紹介事業:売上高78百万円(前期比53.4%減少)、セグメント利益(営業利益)△33百万円(前期50百万円

当連結会計年度の人材紹介事業は、成約件数が37件(前期85件)となりました。事業部門内の人員構成が、ベテランコンサルタントから新人コンサルタント中心に大きく入れ替わる事態が発生し、この影響から成約件数が大きく減少し、売上高、セグメント利益ともに前期比で大幅減となりました。

 

(2) 財政状態

(資 産)

当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度末と比較し、1,269百万円増加8,753百万円となりました。この増加の主な内訳は、現金及び預金の539百万円増加、売掛金の151百万円増加、商品の63百万円増加、ソフトウェアの30百万円増加、繰延税金資産の12百万円増加、一方、減少の内訳は、投資有価証券の116百万円減少等であります。なお、ベンチマークセンターの竣工に伴い建物及び構築物の735百万円増加、及び土地の2百万円増加等があり、建設目的で計上した建設仮勘定はベンチマークセンター稼働時に235百万円を各資産勘定へ振り替えたため減少となりました。

 

(負 債)

当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末と比較し、156百万円増加2,136百万円となりました。

この増加の主な内訳は、前受金の155百万円増加、買掛金の22百万円増加、一方、減少の内訳は、未払消費税等の42百万円減少、及び未払法人税等の2百万円減少等であります。

 

(純資産)

当連結会計年度における純資産合計は、前連結会計年度末と比較し、1,112百万円増加6,617百万円となりました。この増加の主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益1,577百万円の計上及び配当金475百万円の支払いによる利益剰余金1,102百万円増加等であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較して539百万円増加6,060百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主たる増減要因は、次のとおりであります。

 

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動により獲得した資金は、1,540百万円(前連結会計年度に営業活動により獲得した資金は1,785百万円)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の2,227百万円、前受金の増加額136百万円、減価償却費の52百万円、持分法による投資損失の42百万円であり、一方、主な減少要因は、売上債権の増加額149百万円、未払消費税等の減少額84百万円、投資有価証券売却益の21百万円、受取利息及び受取配当金の15百万円及び法人税等の支払額657百万円等であります。

 

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動により使用した資金は、564百万円(前連結会計年度に投資活動により使用した資金は601百万円)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出584百万円、無形固定資産の取得による支出49百万円等があったことによります。

 

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により使用した資金は、473百万円(前連結会計年度に財務活動により使用した資金は383百万円)となりました。この主な要因は、配当金の支払額475百万円があったことによります。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため該当事項はありません。

 

② 受注実績

当連結会計年度(自 2024年1月1日  至 2024年12月31日)の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

コンサルティング事業

650,006

+23.4

145,115

+19.9

合計

650,006

+23.4

145,115

+19.9

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度(自 2024年1月1日  至 2024年12月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

情報プラットフォーム事業

3,629,853

+16.7

プロモーション広告事業

113,187

+18.6

市場予測情報販売事業

295,657

+26.7

コンサルティング事業

625,920

+28.0

分解調査データ販売事業

186,591

△26.3

車両・部品調達代行事業

494,756

+8.4

車両分解・計測事業

98,160

 自動車ファンド事業

39,200

 人材紹介事業

78,776

△53.4

合計

5,562,104

+14.8

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

 

(5) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 ① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
 この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。

 

 ② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度における連結売上高は、セグメント別では全体の65.3%を占める情報プラットフォーム事業が前期比16.7%増加となりました。情報プラットフォーム以外の事業については、主にコンサルティング事業、プロモーション広告事業及び市場予測情報販売事業が好調に推移し前期比11.3%増加となりました。この結果、全体では前期比で14.8%増加の5,562百万円となりました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度において、売上総利益は前期比13.6%増加の3,618百万円となり、売上総利益率は65.8%から65.1%となりました。これは、主に情報プラットフォーム事業及びプロモーション広告事業など限界利益率の高い事業が好調に推移したこと及びコンサルティング事業の内製化推進が売上総利益率を高める要因となったものの、人員体制強化に伴う人件費、サテライトオフィスの賃借料及びベンチマークセンターの減価償却費など固定費が増加したことにより、売上原価比率が前期の34.2%から34.9%へと増加したことによります。

 

(営業利益)

当連結会計年度において、営業利益は前期比11.3%増加の2,216百万円となり、売上高営業利益率は前期41.1%から39.8%へと減少しました。これは、売上総利益率が下がったことに加え、人員増強による人件費等の販売費及び一般管理費が増加したことによります。

 

(経常利益)

当連結会計年度において、経常利益は前期比12.0%増加の2,227百万円となりました。これは、営業外収益として受取利息7百万円及び受取配当金7百万円を計上したこと及び関連会社である「自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合」が計上した投資先に係る投資損失引当金のうち当社グループ持分相当額を追加計上したものの、保有する投資有価証券の売却を通して投資有価証券売却益を計上したこと等によります。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を合計で649百万円計上したことに伴い前期比14.1%増加の1,577百万円となりました。

この結果、当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は、前連結会計年度の27.8%から1.8ポイント減少し、26.0%となりました。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要は、経営活動に必要な運転資金(人件費、ソフトウエア・データベースの保守維持、業務委託費、データ購入費用、取材費用等)が大半を占めており、その資金の主な財源は、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金を源泉として、全て自己資金で充当しております。預入期間が3か月を超える定期預金を除いた現金及び現金同等物の期末残高は、6,060百万円であります。

 

 ④ 経営戦略の現状と見通し

2024年度の自動車産業は、中国の自動車メーカーの台頭により、日系・欧米の自動車メーカーが中国市場で苦境に陥るなど、グローバル市場における勢力図にも変化がみられる1年でした。2025年度においても、米国でトランプ政権が発足するなど、引き続き産業界では大きな変化が起こることが想定されます。このような環境下においては、情報に対する重要性はさらに高まることが予想されます。また、中国では日系、欧米メーカーが苦戦を強いられているものの、BYDを筆頭に中国ローカルメーカーの躍進により販売台数そのものは引き続き増加しております。以上のことから、中国においては地場のメーカー、その他の国では販売台数の増加が続いている米国やインドを中心に営業活動を展開することで契約獲得を推進するとともに、既存顧客のアップセルにも注力することで情報プラットフォーム事業の売上高の最大化を図ります。また、引き続き情報プラットフォーム以外の各事業とも綿密に連携することでクロスセルの増加も推進してまいります。さらに、次世代モビリティにおいて車両の機能がソフトウェアによって定義されるSDV(ソフトウェア定義型車両)が急速に進展していることを踏まえ、当社は主に日本企業のソフトウェア開発を支援するためにスマートカー向けハード、ソフト製品に実績のあるHuaqin Technology Co., Ltd.(中国)と合弁会社を設立しソフトウェア開発受託事業を新たに開始してまいります。コスト面においては、2024年度中に設立したベンチマークセンター、深圳子会社及び福岡コールセンターに係る経費が通年で計上されるなど固定費の増加が見込まれます。

以上を勘案し、2025年12月期の連結業績予想については、売上高6,500百万円、連結営業利益2,450百万円、連結経常利益2,450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,710百万円を見込んでおります。なお、業績見通しの前提となる為替レートの条件は、1米ドル=152円、1ユーロ=162円、1人民元=21.5円となっております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

    該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

   該当事項はありません。