第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

経営方針、経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く経済環境につきましては、食品値上げによるお客様の節約志向に加え、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費の上昇の懸念もあり、依然として厳しい状況が続くと予測されます。

このような状況にあって当社グループは、洋菓子、製菓の両事業を併せ持つという強みを活かして売上と利益の確保につとめてまいります。

 

各事業における対処すべき課題は次のとおりです。

 

[洋菓子事業]

洋菓子では、原材料・エネルギー価格の高騰等に対して、生産ラインの省人化や生産能力増強による効率化を促進し、生産性向上をはかることにより対応してまいります。

チェーン店においては、洋菓子店のVI(ビジュアルアイデンティティ)に基づいた既存店の改装や「ペコちゃん milky ドーナツ」の新規出店を推進してまいります。

製品施策においては、月ごとに季節や行事などのイメージを色で表現した「ショートケーキ12の色物語」や産地・品種にこだわった原料を使用した洋菓子製品などの品揃えの充実をはかり、お客様に選ぶ楽しさを提供してまいります。

人件費の上昇に対しては、洋菓子店舗の勤怠管理にAIを活用して業務の効率化をはかるなど、収益性の確保に取り組むとともに、冷凍スイーツ自動販売機の設置を推進してまいります。

広域流通企業との取り組みについては、外食チェーン企業向けの製品提案や海外輸出の強化を通じて、販路の開拓につとめてまいります。

レストランでは、ケーキ類の拡販やメニュー強化に取り組むとともに、VIに基づいた既存店の改装を実施し、売上の拡大に繋げてまいります。

 

[製菓事業]

菓子では、カカオ豆をはじめとする原材料価格の急激な上昇等に対して、製品価格の見直しを実施するほか、新規設備の導入により品質向上やコスト改善をはかり、主力生産ラインの稼働を促進させて生産性向上につとめてまいります。また、富士裾野工場の地下より汲み上げた天然水を活用し、天然水市場に参入するとともに、災害発生時においては被災地の復興支援に役立ててまいります。

製品施策においては、主力ブランドの大袋製品を新たに発売するとともに、テレビコマーシャルやデジタル広告配信等の販売促進活動を積極的に展開し、既存の大袋製品とともにさらなる売上の拡大をはかります。

海外事業の不二家(杭州)食品有限公司においては、中国経済停滞の影響が懸念されますが、主力製品の「ポップキャンディ」を軸に、新規設備を導入して生産を開始したグミ製品の拡販や業務提携によるキャラクター菓子製品の受注生産に注力するなど、売上確保に取り組んでまいります。

ベトナムにおいては、設立した合弁会社において、本年10月の工場稼働に向け、現地における販売活動及び新製品開発を促進し、海外事業の売上伸長を目指してまいります。

 

上記すべての事業活動において安全・安心な製品の製造・販売に際し、FSSC22000(食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)を含め、事業の基盤となる食品安全衛生管理を着実に実行するとともに、労災ゼロ、異物混入クレームゼロを目標に、業務に取り組んでまいります。

 

当社グループを取り巻く環境は、厳しい状況が続くと思われますが、前記の各施策を着実に実行し、業績の向上を目指してまいります。

また、親会社の山崎製パン㈱との連携を強化し、グループ全体の総合力を発揮して、持続的な企業価値の向上と不二家ブランドの強化につとめ、事業の発展を目指します。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関する事項 

当社は、不二家の価値観「Smile makes the heartful world ~笑顔がつくる こころあたたまる世界~」の実現に向け、商品・サービスを通してこころあたたまる絆や記憶を提供しています。不確実性の増す事業環境において、不二家の価値観を実現するためには、社会問題解決と企業成長の両立が不可欠であり、サステナビリティの取り組みを重要な経営課題の1つであると認識しております。サステナビリティ経営推進にあたり、指針となる「不二家 サステナビリティ方針」及び関連方針を策定し、体制の構築並びにサステナビリティ関連リスク及び機会への適切な対応を図っております。なお、当該方針は当社ホームページのサステナビリティサイトをご参照ください。

 

①ガバナンス

サステナビリティに関するリスク及び機会について適切な対応を図るため、2024年3月に代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」を新設いたしました。「ESG委員会」では、当社の事業活動に重要な影響を及ぼす可能性のあるサステナビリティ関連リスクへの対応に加え、当社の持続的な価値向上の観点から特定した4つの課題に対する目標設定・進捗について審議しております。また、「ESG委員会」での審議内容について取締役会に報告することで、取締役会がサステナビリティ全般の取り組み状況を監督しております。

「ESG委員会」傘下には、4つの課題に関する分科会を設置し、個々のテーマについての取り組みを推進・管理しております。

▶サステナビリティ推進体制図

 


 

 

②リスク管理

当社では、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」にて、リスクのリサーチ・評価、特定したリスクへの適切な対応策の検討・進捗モニタリングを実施しており、サステナビリティ関連のリスクについても同委員会にて管理しております。また、当社にとって特に重要であると特定されたサステナビリティ関連のリスクについては、「ESG委員会」にて目標設定や進捗モニタリングを実施しております。

「リスク管理委員会」及び「ESG委員会」の審議内容について、必要に応じて取締役会に報告することで、取締役会がリスク全般の統制管理を行っております。

 

 

③戦略

サステナビリティ関連リスクへの対応及び当社の持続的な価値向上の観点から特定した4つの課題について、リスク及び機会を鑑み取り組みを推進しております。

4つの課題

想定される主なリスク(●)及び機会(〇)

主な取り組みテーマ

1.

地球環境保全に

対する配慮

●政策・規制によるコストの増加

〇気温上昇による喫茶・冷菓・飲料需要の増加

▶ 気候変動への対応

▶ 循環型社会実現への寄与

 

2.

事業活動における

人権の尊重

●対応遅れによる法務・レピュテーションリスクの拡大

〇ステークホルダーとのエンゲージメント強化による企業成長の促進

▶ 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権リスクへの対応

(ハラスメントのない職場づくり、持続可能なサプライチェーンの構築)

3.

従業員の健康向上・

労働環境改善と公平な処遇

●対応遅れによる人材流出・競争力の低下

〇価値観実現に資する人材の獲得・確保による競争力の強化

▶ 当社の価値観を実現する人材の採用・育成

▶ 安全で安心して健康に働ける職場環境整備

▶ 多様な従業員が能力を最大限に発揮できる環境整備

4.

地域社会との共存・共栄・調和

〇地域社会の持続可能性向上による経営基盤の強化

〇ステークホルダーからの社会的信頼性の向上

▶ 当社の特性を活かした社会貢献活動の企画・実施

▶ 従業員の自主的な活動参加支援

 

 

 

④指標及び目標

特定した4つの課題について、2030年に向けた長期目標を設定し、進捗をモニタリングしております。

4つの課題

主な取り組みテーマ

2030年 重要目標達成指標(KGI)

2023年

実績

2024年

実績

指標

目標

1.

地球環境保全に対する配慮

▶ 気候変動への対応

●温室効果ガス(CO2)排出量の削減
                 (2013年度比)

46.0%削減

13.9%削減

15.6%削減

▶ 循環型社会実現への寄与

●食品リサイクル率の向上

95.0%

80.0%

88.1%

2.

事業活動における人権の尊重

▶ ハラスメントのない職場づくり

●従業員意識調査における「コンプライアンス」のスコア   (※1)

4.15

4.10

4.13

▶ 持続可能なサプライチェーンの構築

●CSR調達の推進

要件

検討中

-

-

3.

従業員の健康向上・

労働環境改善と公平な処遇

▶ 当社の価値観を実現する人材の採用・育成

●研修費用
(2022年度を100とした時の指数)

200

166

131

●従業員意識調査における「成長実感とキャリア展望」のスコア
                       (※2)

3.70

3.10

3.21

▶ 安全で安心して健康に働ける職場環境整備

●労働災害率(度数率)

0.0

0.57

0.14

●年間総実労働時間(正社員かつ一般職)

1,850時間

1,965時間

1,935時間

▶ 多様な従業員が能力を最大限に発揮できる環境整備

●女性管理職比率

20.0%

12.0%

12.4%

●障がい者雇用率

2.8%

2.48%

-

4.

地域社会との共存・共栄・調和

▶ 当社の特性を活かした社会貢献活動の企画・実施

●社会貢献度の高い活動の実施

要件

検討中

-

-

▶ 従業員の自主的な活動参加支援

 

(※)1 従業員意識調査の質問項目「職場で、関連する法令や社内ルールを守って、仕事が進められている」に

   対する回答状況であります。5段階評価の回答の平均スコアを算出しており、4.0点以上が「良好」、

   3.5点以上4.0点未満を「及第」としております。

 2 従業員意識調査の質問項目「あなたは、当社における自分自身のキャリア目標(将来のありたい姿)を

   描いているか」に対する回答状況であります。5段階評価の回答の平均スコアを算出しており、4.0点

   以上が「良好」、3.5点以上4.0点未満を「及第」としております。

 

なお、当社の事業活動への影響度を鑑み、特に重要であると判断した「1.地球環境保全に対する配慮」、「2.事業活動における人権の尊重」、「3.従業員の健康向上・労働環境改善と公平な処遇」について、それぞれ「(2)気候変動に関する事項」、「(3)人権の尊重に関する事項」、「(4)人的資本に関する事項(人的資本・多様性)」にて詳細を記載しておりますので、ご参照ください。

 

(2)気候変動に関する事項

当社では、「不二家 環境方針」のもと、従業員一人ひとりが当社の果たすべき責任と役割を認識し、低炭素社会・循環型社会など持続可能な社会の実現に寄与する「地球にやさしい企業」を目指しております。その達成に向けて、気候変動への対応を重要な課題であると認識しており、2023年4月、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース<TCFD>(※1)」提言へ賛同し、気候変動への対応と情報開示を推進しております。

(※)1 G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により2015年に設立された組織の名称であります。企業に

   対し、気候変動関連リスク及び機会について開示することを推奨する提言をまとめております。

 

①ガバナンス

「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「① ガバナンス」をご参照ください。

 

② リスク管理

「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「② リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略

当社では、洋菓子事業及び製菓事業を対象にシナリオ分析を実施しております。シナリオ分析では、2030年における4℃シナリオ及び2℃・1.5℃シナリオの2つの将来世界観を設定し、リスク及び機会の特定・評価を行っております。特定・評価したリスク及び機会に対応すべく、経営戦略との整合性を図ってまいります。

 

a. 分析に使用したシナリオ

4℃シナリオ

●IPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)

:RCP8.5、RCP6.0

●IEA WEO 2022(国際エネルギー機関2022年版世界経済見通し)

:Stated Politics Scenario

2℃・1.5℃シナリオ

●IPCC AR5(気候変動に関する政府間パネル第5次報告書)

:RCP2.6、RCP4.5

●IEA WEO 2022/IEA Net by Zero2050(国際エネルギー機関2022年版世界経済見

通し/国際エネルギー機関2050年ネット0に向けたロードマップ)

:Net Zero Emissions by 2050 Scenario

●IEA WEO 2019(国際エネルギー機関2019年版世界経済見通し)

:Sustainable Development Scenario

 

 

 

b. 4℃シナリオ及び2℃・1.5℃シナリオに基づく将来世界観

4℃シナリオ

<異常気象に伴う自然災害などの被害が拡大>

産業革命期頃と比較して、2100年頃までに地球平均気温が4℃以上上昇する世界を想定したシナリオ。

現在の気候変動に関連する法整備や施策が成り行きで続き、異常気象の激甚化をはじめとした、平均気温上昇による物理的影響が顕著になる世界観。気候変動による直接的な被害が増加するのに対し、法規制や税制という形での市場への締め付けは強化されないため、移行リスクとしての影響度は小さく、企業の事業活動や顧客及び投資家における気候変動に対する意識に特別な変化は見られない。

2℃・1.5℃シナリオ

<脱炭素社会への移行が表面化>

産業革命期頃と比較して、2100年頃までに地球平均気温上昇を2℃程度に抑える世界を想定したシナリオ。

現在より厳しい政策や規制の導入等によって気温上昇が抑制され、異常気象等の物理的リスクの規模や頻度は4℃シナリオに比べ縮小するが、脱炭素化に向けた社会構造の変化に伴い、移行リスクは高まる世界観。そのため、あらゆる企業の事業活動において、気候変動の適応と緩和の動きが顕著になり、顧客や投資家の間では環境配慮の商品・サービスに関心が集まる。

 

 

リスク項目については、2030年における財務インパクトを推定し、影響度を大中小で評価いたしました。その結果、下記「c. リスク・機会一覧」に示すように、4℃シナリオにおける「原材料コストの変化」、2℃・1.5℃シナリオにおける「炭素税の導入」「プラスチックへの規制」「顧客行動の変化」「原材料コストの変化」が特に大きな影響を及ぼす可能性があると確認いたしました。

一方で、環境意識の高まりなどお客様の新たなニーズへの対応や、気温上昇によるお客様の嗜好変化・喫茶需要の増加に合わせた商品開発、店舗業態での出店など事業機会の可能性を確認しております。

リスクへの対応策をはじめとする具体的な取り組みについては、当社ホームページサステナビリティレポートをご参照ください。

 

 

c. リスク・機会一覧

分類

リスク項目

時間軸

事業への影響

影響度

4℃

2℃・1.5℃

移行リスク

炭素税の導入

中~

長期

事業活動に伴うCO2排出量に対して課される炭素税による操業コストの増加

導入

プラスチックへの

規制

短~

長期

石油由来原料への規制強化等、プラスチック梱包材への規制が導入された場合、紙を用いた包装へ変更するなどの対応コストの増加

省エネ・再エネ政策の

強化

中~

長期

省エネ政策強化による省エネ対応設備への切替コストや店舗のZEB化・ZEH化への対応コストの増加

エネルギーコストの

変化

中~

長期

・再生可能エネルギーへの需要増加による電力

 価格高騰が引き起こす、電力調達コストの増加

・化石燃料や電力などエネルギー価格の変動による、石油由来包装及び輸送コストの変動(増加)

顧客行動の変化

短~

長期

環境意識の高まりによる消費者離反や、小売企業による当該商品の採用減に伴う売上の減少

原材料コストの変化

短~

長期

持続可能な農業への移行や干ばつ、平均気温の上昇に伴う、原材料(カカオ豆、小麦、牛乳、大豆油等)調達コストの増加

物理リスク

異常気象の激甚化

短~

長期

気象災害の激甚化による拠点の被災及びサプライチェーンの寸断による損害や営業停止による損失の発生

物理機会

平均気温の上昇

短~

長期

気温の上昇によるお客様嗜好変化、喫茶需要の増加、冷菓需要の増加、飲料需要の増加、収益の増加

 

・*印のリスク項目は、定量的な評価を実施しております。

・時間軸は下記のとおり定義しております。

 短期:0~3年、中期:4~10年(2030年ごろ)、長期:11年~

 

d. 具体的な取り組み

・CO2排出量の削減

当社では、2030年までにCO2排出量を2013年度比で46%削減することを目標に、低炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っております。

具体的には、生産工場では屋上に太陽光パネルを設置し、太陽光発電によって得た電力を工場で使用するなど、CO2排出量の削減を進めております。また、商品の配送時に排出されるCO2についても削減活動を推進しており、共同配送等により配送の効率化を行うことで使用燃料及びCO2排出量の抑制に努めております。

 

・プラスチック使用量の削減

製品の容器や包装については、商品をおいしく安全にお客様にお届けするための「品質保持」の役割を維持するとともに、省資源や廃棄時の環境負荷低減など「環境配慮」への対応を進めております。

具体的には、プラスチック包材から紙包材への切替や、外装・個包装・トレーなどの薄肉化及びサイズの縮小に取り組んでおります。また、洋菓子店舗やレストランにおいても、バイオマスプラスチックを使用した持ち帰り袋への切替などを行っております。

 

・お客様の嗜好変化への対応

お客様の環境に対する意識の高まりにより、環境配慮型商品への需要が増加するなどお客様の嗜好も変化しております。エシカル消費の広まりに対し、上記プラスチック使用量の削減のほか、FSC(※2)認証紙の使用や、サステナブルな原料を使用した商品及び気温上昇によるお客様の嗜好変化に合わせた商品の開発などに取り組んでおります。

(※)2 FSC(Forest Stewardship Concil)認証は、環境・社会・経済の便益に適い、きちんと管理された森

   から生産された林産物や、その他リスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける

   仕組みのことであります。

 

④指標及び目標

当社では、気候変動への対応について、重要目標達成指標(KGI)を設定したうえで、KGIを達成するための中間指標としてKPIを設定し、進捗をモニタリングしております。KGIについては、「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「④ 指標及び目標」をご参照ください。

2030年 重要業績評価指標(KPI)

2023年実績

2024年実績

指標

目標

●生産工場における温室効果ガス(CO2)排出量の削減

                          (2013年度比)

46.0%削減

23.6%削減

21.3%削減

 

 

(3)人権の尊重に関する事項

当社グループは、すべてのステークホルダーのみなさまのこころと人生を豊かにし、持続可能な未来の実現に貢献するため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際的な規範を支持し、「不二家グループ 人権方針」のもと、人権尊重に関する取り組みを推進しております。

 

① ガバナンス

サステナビリティ全般のガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「① ガバナンス」をご参照ください。

「事業活動における人権の尊重」に関する取り組みについては、ESG委員会とコンプライアンス委員会の両委員会が監督しております。ESG委員会の傘下に設置している人権分科会では、関連する法令や国際規範に整合する社内体制の整備、人権に関する重要課題全般の取り組み検討・実施などを行っており、その活動内容についてESG委員会が監督しております。コンプライアンス委員会では、コンプライアンス室が実施している人権やコンプライアンスに関する教育及び救済について監督しております。両委員会が連携することで、適切に人権尊重に向けた取り組みを推進しております。

 

  ▶不二家 人権尊重推進体制図

 


 

 

 

② リスク管理

「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「② リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略

当社グループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権方針を策定し、人権デュー・ディリジェンスの実施、救済メカニズムの構築を推進しております。

 

a.人権方針の策定

2023年に「不二家グループ 人権方針」を策定し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範を支持し、最大限尊重することを宣言しております。また、本方針の中で、差別の排除、ハラスメントの排除、児童労働・強制労働の禁止など9つの重要課題を設定し、これらの課題について真摯に取り組むことを明言しております。なお、本方針の策定にあたっては、有識者にご助言いただきました。

 

b.人権デュー・ディリジェンスの実施

2024年に、人権デュー・ディリジェンスの取り組みとして、不二家の事業活動が及ぼす人権への負の影響を特定し、深刻度及び発生可能性の観点から評価を実施いたしました。現時点で、「お客様の安全と知る権利の尊重」、「安全・安心な職場づくり(労働安全衛生・ハラスメント)」、「サプライチェーン上の人権問題に対する取り組みの推進」について、対応優先度の高い課題であることを確認いたしました。上記で挙げた3つの課題について、既存部署による継続的な取り組みが進行しておりますが、特に「ハラスメント(ハラスメントのない職場づくり)」及び「サプライチェーン上の人権問題に対する取り組みの推進(持続可能なサプライチェーンの構築)」について、多様な部署の知見の活用が必要であると判断し、人権分科会にて段階的に人権デュー・ディリジェンスを実施しております。

 

▶不二家 人権リスクマップ


c.救済メカニズムの構築

当社では、社内における法令・コンプライアンス違反全般に関する通報及び相談窓口として「コンプライアンスヘルプライン」を設置しております。また、お客様からのご意見・お問い合わせの窓口として、「お客様窓口」を設置しております。人権分科会、コンプライアンス室、お客様窓口が連携し、社内外の救済メカニズムの構築に努めております。

 

④ 指標及び目標

当社では、人権尊重の取り組みのうち、特に「ハラスメントのない職場づくり」及び「持続可能なサプライチェーン構築」について、重要目標達成指標(KGI)を設定したうえで、KGIを達成するための中間指標としてKPIを設定し、進捗をモニタリングしております。KGIについては、「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「④ 指標及び目標」をご参照ください。

カテゴリ

2030年 重要業績評価指標(KPI)

2023年実績

2024年実績

指標

目標

ハラスメント

●コンプライアンス教育受講率(正社員)

100%

100%

100%

持続可能な
サプライチェーン

●ガーナ産カカオ豆のサステナブル調達率

100%

24.2%

43.3%

 

 

(4) 人的資本に関する事項(人的資本・多様性)

当社は、人材について経営を担う重要な財産の1つであると考えております。当社の価値観「Smile makes the heartful world ~ 笑顔がつくる こころあたたまる世界~」の実現に向け、「不二家 人事方針」に基づき、当社の価値観に共感するとともに、変化への迅速な対応、多様性の尊重、お客様・地域社会に対する継続的な価値提供ができる自律した人材の育成を推進しております。

 

 ▶不二家 人事方針

  不二家の価値観「Smile makes the heartful world」の実現に向け、不二家と従業員との強固な関係を築く

    ため、従業員の成長を支援するとともに、各々の持つ強み・能力を最大限発揮できる環境と場を提供します。

 

▶不二家 人事方針概略図


 

 

① ガバナンス

「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「① ガバナンス」をご参照ください。

 

② リスク管理

「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「② リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略<人材育成方針及び社内環境整備方針>

当社では、「不二家 人事方針」のもと、「不二家 人材育成方針」及び「不二家 社内環境整備方針」を掲げ、自律的かつ主体的にチャレンジする従業員を支援するとともに、各々の持つ強み・能力を最大限発揮できる環境を提供しております。

 ▶不二家 人材育成方針

    (1)「個の成長」と「個々が強い結びつきを持つ組織」の両立により、多様な人材が活躍する組織を実現

     します。

  (2)多様な職務経験・人との関わりを通じた幅広い能力開発と人間的成長を支援します。

  (3)自律人材の育成に向け、自己成長支援を推進するとともに、主体的にキャリアが形成できる環境を整備

     します。

 

 

 

 ▶不二家 社内環境整備方針

    (1)「不二家グループ 労働安全衛生方針」を踏まえ、安全・安心が確保された職場環境を整備します。

    (2)従業員が個々の能力を最大限発揮するために、「心理的安全性」を高め、「多様性」を尊重する風土を

     醸成します。 

   (3)従業員を代表する労働組合と健全かつ良好な関係を構築し、相互理解と諸問題解決に向けて協議します。

 

 

上記方針及び外部環境変化を踏まえ、価値観実現に向けた人材領域の課題を採用・育成・環境整備(労働安全衛生や多様性等)の観点から抽出し、重要度を評価いたしました。重要課題に対する人事実行戦略を以下の通り設定しております。

 

人事実行戦略

取り組み内容

● 当社の価値観を実現する人材の

  採用・育成(採用・育成)

当社の志に共感した仲間を採用する。

環境変化を敏感に察知し、主体的に変革を推進できる人材への育成に向け、効率的かつ効果的な育成プログラムを提供する。

● 安全で安心して健康に働ける

   職場環境整備(安全・健康)

安心した生活を送り、業務に集中するための身体的・心理的な安全が確保された環境を提供する。

● 多様な従業員が能力を最大限

   発揮できる環境整備(多様性)

多様な従業員を社内外から求め、多様性を公平に受け入れ、多様な人材が活躍できる環境を提供する。

 

 

④指標及び目標

当社では、上記人事実行戦略について、重要目標達成指標(KGI)を設定したうえで、KGIを達成するための中間指標としてKPIを設定し、進捗をモニタリングしております。KGIについては、「(1)サステナビリティ全般に関する事項」の「④ 指標及び目標」をご参照ください。

人事実行戦略
カテゴリ

2030年 重要業績評価指標(KPI)

2023年実績

2024年実績

指標

目標

採用・育成

研修受講者数(延べ人数)

815

446人

486

安全・健康

労働安全教育受講人数(延べ人数)

15,000

9,470人

10,744

多様性

係長級にある者に占める女性社員比率

30.0

21.2%

23.7

 

 

 

3 【事業等のリスク】

(1)当社のリスクマネジメント体制

 当社は、「リスク管理規程」に基づき、事業における様々なリスクに対して、事前にリスクの特定・分類・分析・評価を行い、適切に対応するための「リスク管理委員会」を設置し、年4回開催しております。「リスク管理委員会」は代表取締役社長を委員長として、委員会において進捗のモニタリングを行い、審議内容や検討状況は必要に応じて取締役会に報告することで、リスク管理全般の統制管理を行っております。

(2)主要な事業等のリスク

 事業の状況、財務の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、事業等のリスクが発生する可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応につとめる所存であります。

 以下に記載したリスクは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、これら以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、以下の文中には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2025年3月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

リスク

対応策

「食」の安全性

●原材料や製造工程のトラブルによる製品の安全性低下、食品事故の発生

●上記に起因した製品の回収や販売停止

●食品関連法令の遵守

●毎月11日を「食品安全の日」と定め、通常の食品安全衛生管理業務に加え、定期的に当社・ 当社グループ工場及び製造委託会社の管理状況を点検

●店舗への巡回チーム派遣による食品安全衛生管理の徹底●全工場においてAIB(American Institute of Baking)の国際検査統合基準による指導に基づいた管理の実施

●食品安全マネジメントシステム規格であるFSSC22000又はJFS-Bに基づく食品安全衛生管理の実施

原材料・エネルギー価格

●下記の要因による原材料・エネルギー価格の上昇、調達不全によるコストの増加

 ・異常気象 ・自然災害

 ・世界的な需給状況の変化

 ・為替変動

 ・原産国の政情不安、紛争 

 ・原油価格の上昇

 ・パンデミック  等

●調達先等からの適時的確な価格変動情報の収集

●調達先や産地の分散化

●代替原材料の検討

●生産ラインの効率化推進

●適正在庫水準の維持

海外事業展開

●進出先における下記不測の事態の発生

 ・政治・社会情勢の変化

 ・テロ活動・暴動行為の発生

 ・自然災害の発生

 ・パンデミック

 ・為替変動  等 

●当社からの基幹人材の派遣

●当社海外事業部による現地情勢の把握

●災害発生時の現地子会社と連携した情報収集体制の整備

法的規制等

●法的規制の変更・強化による事業活動の制限

●人権問題への対応遅れによる法務・レピュテーションリスクの拡大

●適時的確な情報収集

●役員・従業員に対するコンプライアンス教育実施による法令等の啓発及び意識の向上

その他詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人権の尊重に関する事項」をご参照ください。

 

 

 

リスク

対応策

異常気象・自然災害、パンデミック

●過度な気温上昇による購買動向の変化
●大規模な地震や水害などの自然災害、パンデミックによるサプライチェーンの停滞

●情報収集や分析に基づく需要予測・生産計画の策定

●有事の際は危機管理マニュアルに従って対策本部を設置、全社的に対応

●地震・火災等を想定した防災訓練の実施

●事業所ごとのハザードマップの整備

●安否確認システム、衛星電話の活用

企業情報・個人情報の漏洩

●不正アクセスやコンピュータウイルス感染等による社内情報の漏洩、改ざん、システム障害等

●「文書管理規程」「経営機密情報管理規程」「個人情報保護基本規程」等情報セキュリティに関する各種規程の整備、啓発活動の実施

不二家ブランドの毀損

●SNS等による当社グループ製品・サービスへの予期せぬ風評被害の発生・拡散

●インターネット上の当社関係情報の監視

●虚偽又は事実と異なる情報に対し法令等に則り迅速且つ適正な対応を実施

人材の確保・育成、労働力の確保

●雇用情勢の変化による人材の確保難

●少子高齢化に伴う労働人口の減少等による労働力不足

●雇用延長

その他詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)人的資本関係」をご参照ください。

労働災害

●従業員の生命身体を脅かす事故の発生

●「不二家グループ 労働安全衛生方針」のもと、労働時間の短縮による安全・安心な職場環境の整備と健康経営の推進

●労働災害の未然防止のため、社外の労働安全衛生専門家と中央労働安全衛生委員による定期的な安全衛生巡回の実施

気候変動

●移行リスク(脱炭素社会への移行に伴うリスク)
●物理リスク(気候変動による災害等により顕在化するリスク)

詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)気候変動関係」をご参照ください。

フランチャイズ店の減少

●契約者の高齢化、後継者難

●商圏の変化による経営難

●他の不二家店舗経営者による引継ぎ、直営店化

●後継者候補の調査

●営業対策、店舗移転の提案

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府の各種施策の効果により景気は緩やかに回復しておりますが、食品業界においては、原材料・エネルギー価格の高騰や値上げに対するお客様の節約志向の高まりにより、厳しい状況となりました。

このような状況下にあって当社グループは、お客様に、より良い商品と最善のサービスの提供を心掛け、売上と利益の確保につとめてまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は、1,099億84百万円(対前期比104.2%)、営業利益は22億98百万円(対前期比167.2%)、経常利益は31億30百万円(対前期比148.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億72百万円(対前期比172.5%)となり、増収増益とすることができました。

 

当社グループのセグメントの概況は次のとおりであります。

 

 

 

 

当連結会計年度(第130期)

前連結会計年度(第129期)

対前年
同期比

増減

2024年1月1日から
2024年12月31日まで

2023年1月1日から
2023年12月31日まで

売上高

構成比

売上高

構成比





 

百万円

百万円

百万円

洋菓子

24,755

22.5

25,188

23.9

98.3

△433

レストラン

6,129

5.6

5,712

5.4

107.3

417

30,884

28.1

30,900

29.3

99.9

△16




菓 子

71,286

64.8

66,927

63.4

106.5

4,359

飲 料

4,391

4.0

4,479

4.2

98.0

△88

75,677

68.8

71,407

67.6

106.0

4,270

その他

3,422

3.1

3,227

3.1

106.0

194

合   計

109,984

100.0

105,534

100.0

104.2

4,449

 

(注)記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

 

  <洋菓子事業>

当社単体の洋菓子事業においては、洋菓子チェーン店にて『プレミアム製品』をはじめとする主力製品の品質向上に取り組むとともに、『厳選素材製品』や月ごとに旬のフルーツを使用した『ショートケーキ12の花物語』シリーズの販売に注力し、売上の向上につとめました。また、前期に刷新したVI(ビジュアルアイデンティティ)に基づき、これまで62店の店舗改装を実施したほか、新業態店舗「ペコちゃん milky ドーナツ」や「FUJIYA CONFECTIONERY」ブランドの店舗を出店し、新規顧客の獲得をはかりました。販路の拡大に取り組むべく、商業施設や駅などに冷凍スイーツ自動販売機の設置を推進し、当連結会計年度末における設置数は260台(前期差191台増)となっております。なお、同時点における不二家洋菓子店の営業店舗数は、不採算店や後継者不足等によるフランチャイズ店の閉鎖により892店(前期差47店減)となっております。

広域流通企業との取り組みについては、コンビニエンスストア向けに「マカロン」など当社の技術力を活かした製品や、外食チェーン企業向けに生産性の高い製造ラインを活用した製品の提案を積極的に行い、売上の確保につとめました。

 

レストラン事業では、メニュー改善及び価格の一部見直しを実施し、客数及び客単価アップをはかりました。また、イオンモール幕張新都心店の新規開店や神戸アンパンマン&ペコズキッチン店をはじめとする既存店の改装効果もあり、売上は前期の実績を上回りました。

 

以上の結果、当連結会計年度における洋菓子事業全体の売上高は308億84百万円(対前期比99.9%)となりました。利益面では、ケーキ類の集約生産の実施や新たな生産設備の導入による省人化、効率化の取り組みにより、収益性の改善を進めることができました。

 

<製菓事業>

当社単体の菓子事業においては、『カントリーマアム』や『ホームパイ』、『ハート』シリーズなどの大袋製品の販売に注力し、売場の拡大をはかりました。また、当社の技術力を活かした新たなカテゴリーの製品として、朝食需要を見据えた食物繊維入りの『モーニングマアム』やしっとり濃厚な焼菓子の新ブランド『スーパーハイウェイ』シリーズを発売し、新規顧客の獲得につとめました。原材料価格が高騰しているチョコレート製品については、価格改定や内容量変更を実施したほか、『ルック』において素材にこだわったワンランク上の製品として「プレミアムルック」を発売し、テレビコマーシャルやデジタル広告配信等の販売促進活動の推進により、売上は好調に推移いたしました。

上記の結果、単体の菓子事業の売上は前期の実績を上回りました。

 

飲料事業については、「プレミアムネクター320mlPET」や季節限定の新製品を発売いたしましたが、前期の売上を確保するには至りませんでした。

 

不二家(杭州)食品有限公司においては、春節需要の復調はあったものの、中国国内の景気減速の影響が大きく、売上は前期の実績を下回りました。なお、今期より新たに製造を開始したグミ製品や他社キャラクターとのコラボレーション製品の拡販に取り組み、売上は回復基調となっております。

 

以上の結果、当連結会計年度における製菓事業全体の売上高は756億77百万円(対前期比106.0%)となりました。利益面では、主力生産ラインの稼働促進による生産性の向上等により、前期の実績を上回りました。

 

<その他>

ライセンス事業、不動産賃貸事業及び㈱不二家システムセンターのデータ入力サービスなどの事務受託業務の売上高は34億22百万円となりました。

 

財政状態は以下のとおりであります。

 

流動資産は354億6百万円で、前連結会計年度末に比べ13億83百万円増加いたしました。固定資産は550億60百万円で、主に有形固定資産の増により前連結会計年度末に比べ59億57百万円増加いたしました。この結果、総資産は904億66百万円で前連結会計年度末に比べ73億41百万円増加いたしました。

また、流動負債は244億55百万円で、主に短期借入金やその他に含まれる設備電子記録債務の増により前連結会計年度末に比べ51億39百万円増加いたしました。固定負債は29億43百万円で、主に退職給付に係る負債の減により前連結会計年度末に比べ2億24百万円減少いたしました。この結果、負債合計は273億99百万円で前連結会計年度末に比べ49億14百万円増加いたしました。

純資産は630億67百万円で、主に利益剰余金や為替換算調整勘定の増により前連結会計年度に比べ24億26百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は64.0%(前期は67.3%)となり、1株当たり純資産は2,246円82銭となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローにつきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて7億65百万円減少し、70億16百万円となりました。

営業活動の結果得られた資金は、42億60百万円(前連結会計年度は67億75百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益によるものであります。

投資活動の結果使用した資金は、69億5百万円(前連結会計年度は79億67百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。

財務活動の結果得られた資金は、17億46百万円(前連結会計年度は12億40百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。

 

③生産、商品仕入及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

洋菓子事業計(百万円)

23,644

94.2

製菓事業計(百万円)

67,980

107.9

合計(百万円)

91,625

104.0

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

2 金額は販売価格によっております。

 

b 商品仕入実績 

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

洋菓子事業計(百万円)

906

98.1

製菓事業計(百万円)

6,232

95.0

合計(百万円)

7,139

95.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

2 金額は仕入価格によっております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

洋菓子事業

ケーキ、ベーカリー、デザート等の
洋菓子類(百万円)

24,755

98.3

レストラン(百万円)

6,129

107.3

計(百万円)

30,884

99.9

製菓事業

チョコレート、キャンディ及びビスケット(百万円)

71,286

106.5

飲料、乳製品等(百万円)

4,391

98.0

計(百万円)

75,677

106.0

その他

不動産賃貸収入及び事務受託業務等
(百万円)

3,422

106.0

計(百万円)

3,422

106.0

合計(百万円)

109,984

104.2

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社山星屋

10,838

10.2

11,269

10.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績については、売上高は1,099億84百万円(前連結会計年度比4.2%増)、営業利益は22億98百万円(前連結会計年度比67.2%増)、経常利益は31億30百万円(前連結会計年度比48.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億72百万円(前連結会計年度比72.5%増)となり、増収増益とすることができました。

a 売上高

売上高を事業の種類別に見ますと、洋菓子事業においては、単体の洋菓子チェーン店にて『プレミアム製品』をはじめとする主力製品の品質向上に取り組むとともに、『厳選素材製品』や月ごとに旬のフルーツを使用した『ショートケーキ12の花物語』シリーズの販売に注力し、売上の向上につとめました。また、前期に刷新したVI(ビジュアルアイデンティティ)に基づき、これまで62店の店舗改装を実施したほか、新業態店舗「ペコちゃん milky ドーナツ」や「FUJIYA CONFECTIONERY」ブランドの店舗を出店し、新規顧客の獲得をはかりました。広域流通企業との取り組みについては、コンビニエンスストア向けに「マカロン」など当社の技術力を活かした製品や、外食チェーン企業向けに生産性の高い製造ラインを活用した製品の提案を積極的に行い、売上の確保につとめました。レストラン事業では、メニュー改善及び価格の一部見直しを実施し、客数及び客単価アップをはかりました。以上の結果、洋菓子事業全体では308億84百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。製菓事業においては、主に当社単体の菓子において、『カントリーマアム』や『ホームパイ』、『ハート』シリーズなどの大袋製品の販売に注力し、売場の拡大をはかりました。また、当社の技術力を活かした新たなカテゴリーの製品として、朝食需要を見据えた食物繊維入りの『モーニングマアム』やしっとり濃厚な焼菓子の新ブランド『スーパーハイウェイ』シリーズを発売し、新規顧客の獲得につとめました。原材料価格が高騰しているチョコレート製品については、価格改定や内容量変更を実施したほか、『ルック』において素材にこだわったワンランク上の製品として「プレミアムルック」を発売し、テレビコマーシャルやデジタル広告配信等の販売促進活動の推進により、売上は好調に推移いたしました。以上の結果、製菓事業全体の売上高は756億77百万円(前連結会計年度比6.0%増)となりました。その他の事業は、34億22百万円(前連結会計年度比6.0%増)でした。売上高の詳細については「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載の通りです。

b 営業利益

上記「a 売上高」に記載しております通り、原材料・エネルギー価格の高騰等や人件費の上昇に対処するため、価格改定や規格改定等の施策による売上高の増加に加え、洋菓子事業でのケーキ類の集約生産の実施や新たな生産設備の導入による省人化、効率化の取り組みや、製菓事業での主力生産ラインの稼働促進による生産性の向上等を実施した結果、売上原価率は66.9%となり、前連結会計年度比で1.1%減少しました。販売費及び一般管理費率は31.1%となり営業量拡大に伴う物流費や販促宣伝費等の増により、0.3%上昇しました。

以上の結果、営業利益は22億98百万円(前連結会計年度比67.2%増)となりました。

c 経常利益

主に営業利益の増加に加え、持分法適用関連会社の業績好調により、経常利益は31億30百万円(前連結会計年度比48.7%増)となりました。

d 親会社株主に帰属する当期純利益

主に経常利益の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は16億72百万円(前連結会計年度比72.5%増)となりました。

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末における資産、負債、純資産の状況は以下のとおりであります。

流動資産は354億6百万円で、前連結会計年度末に比べ13億83百万円増加いたしました。固定資産は550億60百万円で、主に有形固定資産の増により前連結会計年度末に比べ59億57百万円増加いたしました。この結果、総資産は904億66百万円で前連結会計年度末に比べ73億41百万円増加いたしました。

また、流動負債は244億55百万円で、主に短期借入金やその他に含まれる設備電子記録債務の増により前連結会計年度末に比べ51億39百万円増加いたしました。固定負債は29億43百万円で、主に退職給付に係る負債の減により前連結会計年度末に比べ2億24百万円減少いたしました。この結果、負債合計は273億99百万円で前連結会計年度末に比べ49億14百万円増加いたしました。

純資産は630億67百万円で、主に利益剰余金や為替換算調整勘定の増により前連結会計年度に比べ24億26百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は64.0%(前期は67.3%)となり、1株当たり純資産は2,246円82銭となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備の新設及び更新や店舗設備の新設等の設備投資であります。

これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて資金調達を行ってまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 不二家フランチャイズチェーン契約

当社は、フランチャイジーとの間に「不二家フランチャイズチェーン契約」を締結しております。

期間  :3カ年間(期間満了後1年毎の自動更新)

契約内容:1 不二家ファミリー・チェーン加盟店の運営

2 不二家ファミリー・チェーンに係わる商標、サービスマーク、運営マニュアル等の使用

(注)フランチャイジーによって発効日が異なりますので、発効日の記載を省略しております。

なお、1995年4月1日よりロイヤリティ制度を導入し売上の5%程度のロイヤリティを受けとっております。

 

(2) 山崎製パン株式会社との業務資本提携契約

当社は、2008年11月7日、山崎製パン株式会社との間に業務資本提携契約を締結しております。

契約内容:1

両社製品の相互販売、相互OEM生産、共同原材料調達、共同プロモーションの展開、販売拠点の共同開発、物流の共同化等の業務提携

     2

当社普通株式の第三者割当増資による資本提携

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「常により良い商品と最善のサービス(ベストクオリティ・ベストサービス)を通じて、お客様ご家族に、おいしさ、楽しさ、満足を提供する」という経営理念のもと、品質・価格など幅広い消費者のニーズに対応するべく、食品分析、製品開発、品質安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。

また、自社製品の賞味期限設定の裏付けとなる製品の経時変化の分析を中心に、食の安全を確立するための食品分析を実施しております。

なお、当連結会計年度末の研究開発従事者は56名、研究開発費は616百万円であります。

 

セグメント別の主な研究開発内容は、次の通りであります。

(洋菓子事業)

洋菓子事業では、チェーン店舗の週ごとの販売施策に基づく新製品の開発や、主力製品・プレミアム製品群の継続的な品質改善に取り組むとともに、新業態店舗「ペコちゃんmilkyドーナツ」の製品など話題性のある製品の開発を行いました。

また、外食企業と一体となって「ミルクレープ」、「マカロン」等、市場競争力の高い製品の開発を行い、生産性向上をはかるべく製造過程での効率化を進める研究にも取り組みました。

当社が持つ冷凍技術を活かし、冷凍スイーツ自動販売機向け製品や米国のスーパー向けケーキなど、多様化する販路に対応した製品の開発にも取り組んでおります。

以上の結果、洋菓子事業の研究開発費は258百万円となりました。

 

(製菓事業)

製菓事業では、主力ブランドである『カントリーマアム』、『ルック』、『ミルキー』、『ホームパイ』のさらなる価値向上を目指し、継続的な品質改善を行っております。

また、併行してプレミアム品質化にも取り組んでおり、「プレミアムルック」、「プレミアムミルキー」を開発・販売しました。一方、グミ製品の開発にも注力し、凝固時間を短縮したファストセット品質を導入することにより生産性向上に貢献しております。

研究室では、チョコレート原料であるカカオ豆のロースト条件の最適化や、ビスケットカテゴリーにおけるプラントベースフード(植物由来の原材料を使用した食品)、栄養素の不足を補うための完全栄養菓子に関する研究等、既存製品の品質改善や新製品開発に関する研究に取り組みました。

また、CO2削減に向け、主力ブランド製品の包装資材の薄肉化や、プラスチック不使用の紙包材化に向けた取り組み、モノマテリアル包材(単一素材)の研究も継続して行っております。

以上の結果、製菓事業の研究開発費は、357百万円となりました。