文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。」というグループ企業理念の下、酒類や酵素医薬品等の分野において、発酵技術を核とする「バイオテクノロジー」をベースとした事業を展開しております。
その中において、当社グループは、お客様に「安心」「安全」をお届けすることを第一に考え、グループの普遍概念である「顧客志向」・「収益志向」に則り事業活動を行い、併せて「将来価値の共創」に資する取組みを進め、経営品質の向上、ひいてはグループの持続的成長及び中長期的な企業価値最大化を目指しております。
(2) 経営環境
酒類の国内市場におきましては、少子高齢化や人口減少、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化、嗜好の多様化などにより、全体として縮小傾向にあり、企業間での販売競争が激化しております。酒類の輸出につきましては、令和6年度は世界的な物価高や一部の国・地域における消費減退などの影響により全体として減少傾向にありましたが、品目別では清酒やビール、RTDを含むリキュールが、国別ではアメリカや韓国、台湾向けが堅調に推移しております。
また、国内外の乳製品用酵素市場におきましては、世界的な健康志向の高まりにより、市場の更なる成長が見込まれております。
(3) 長期ビジョン
当社グループは、これらの変化を的確に捉えて、構造改革を継続的に進めながら競争力・収益力を強化し、健全かつ持続的な成長を実現するため、令和16年度にめざす姿を示す長期ビジョン「NEXT100」を策定いたしました。“堅実な経営を貫き、しかるべき利益を安定的に創出しつつ、社会が抱える課題の解決に貢献する企業へ”をめざす姿とし、めざす姿の実現に向けて、以下の3つの重要課題に取り組むことといたしました。
<重要課題>
①中核事業の競争力・収益力の強化
・顧客起点のマーケティングに基づき、付加価値の高い商品を市場に投入するとともに、選択と集中及びコスト
低減を進め、中核事業の競争力・収益力を強化する。
②新領域への挑戦
・新たな商品、新たな分野、新たな市場(海外)へ果敢に挑戦し、新たな収益の柱を創出する。
③ESG経営の推進
・事業活動を通じて、社会課題の解決に貢献し続けることにより、経済価値と社会価値の両立を図り、企業価値
向上に繋げる。
(4) 中期経営計画及び対処すべき重要課題
当社グループは、長期ビジョン「NEXT100」を実現するため、2024年から2028年までの5年間を対象とする「中期経営計画2028」を2024年に策定しております。「中期経営計画2028」では、定量目標として、連結売上高、連結経常利益、売上高経常利益率、ROE、1株当たりの配当金を定めております。
<定量目標>
中期経営計画の2年目となる令和7年12月期は、「中期経営計画2028」で掲げた数値目標の達成に向け、以下に掲げる課題に取り組んでまいります。
1.各重点事業の注力施策
(1)総合焼酎メーカーとしてのプレゼンス強化
焼酎、チューハイ及びチューハイの素の収益最大化に向け、多様な消費者の嗜好に対応した新たな高付加価値商品の提案を進めてまいります。また、既存商品のリニューアルや集約化、仕様変更などによる収益性の改善にも積極的に取り組んでまいります。さらには、販売経費や収益構造の見直しも同時に進めてまいります。
(2)酒類輸出の販路拡大とスケールアップ
令和10年度売上高23億円の目標達成に向け、各地域に応じた販売施策を実施してまいります。併せて、インバウンド向け及び輸出向けの商品開発を進めてまいります。
(3)販売用アルコールの安定的収益確保
販売用アルコールの安定的収益確保に向け、メリハリをつけた販売を進め、販売数量の維持拡大と獲得利益最適化を図ってまいります。
(4)酵素のラインアップ拡充と発酵受託ビジネスの拡大
基幹商品である中性ラクターゼにつきましては、海外の主要取引先との連携を密にし、販売計画と生産計画の最適化を図り、販売数量の維持拡大を進めるとともに、収量及び収率の向上による収益性改善に取り組んでまいります。将来の収益の柱となる遺伝子組換え品の早期上市に向け、研究開発を強化してまいります。発酵受託ビジネスにつきましては、令和7年度より本格的に製造が開始される乳酸菌を安定軌道に乗せ、今後の事業拡大に繋げてまいります。また、予防措置・予見に基づいた不適合品発生の撲滅並びに品質及び収量の安定化・向上に努め、実質利益の増大を図ってまいります。
2.競争力・収益力の強化
(1)品質管理の強化
お客様に安心・安全な商品をお届けする事は、食品メーカーとしての使命と認識しております。衛生管理の再点検及び設備投資を進めるとともに、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の定着化に取り組んでまいります。また、3H(初めて・変更・久しぶり)4M(人・設備・材料・方法)の変化点管理による危険予知の定着化に取り組み、工程内不適合撲滅に努めてまいります。
(2)適正価格の維持
然るべき利益を安定的に確保するため、適切なタイミングで価格改定を行ってまいります。
(3)多様化する嗜好への対応
多様化する消費者の嗜好に対応するため、これまで培ってきたグループ独自の技術・ノウハウを最大限に活かして新たな高付加価値商品を開発し、主力商品ブランド(ビッグマン、そふと新光、博多の華、鍛高譚、すごむぎ、すごいも、GODO‐YNL)に続く、将来における収益の柱として育成してまいります。
(4)コスト低減の徹底
営業部門におきましては、販売経費の費用対効果を検証し、最適化を図ってまいります。また、公正な取引基準に準拠した社内ルールの遵守を徹底してまいります。
生産部門におきましては、生産工程におけるあらゆるコストの低減に徹底的に取り組んでまいります。
物流部門におきましては、輸配送ロットの引上げ等の物流効率化への対応を進め、物流コスト増加の抑制に努めてまいります。
3.ESG経営の推進
(1)環境問題への対応
環境問題への対応は地球規模の課題と認識しております。引き続き低炭素社会の実現及び循環型社会の形成に向けた取組みを進めてまいります。
令和7年度は、酵素医薬品工場への廃熱回収システムの導入、フロン排出抑制法対応等に取り組む予定であります。
(2)人的資本の充実
グループの持続的成長及び企業価値向上のためには、その原動力となる従業員の価値を高めるシステムを整備することが不可欠であると考えております。従業員一人ひとりが働きがいを感じ、高いパフォーマンスを発揮することができ、多様な人材が活躍できる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
(3)コーポレートガバナンスの強化
グループの持続的成長及び企業価値向上のため、コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの徹底を図り、「納得性」「公正性」「透明性」の高い経営を実践してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティを経営における重要課題の一つと認識しております。
2021年に、CSR基本方針において対応すべき課題を「サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題」に変更し、これを指針として、事業活動を通じてサステナビリティを巡る課題に対応しております。
CSR基本方針
当社グループは、グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現には、社会からの期待に応え、社会との信頼関係を構築していくことが不可欠であると認識しております。
これらの実現のため、グループ企業理念の下、普遍概念である「顧客志向」・「収益志向」を判断の基礎として「よき企業市民として誰のためにどう役立つのか」を考え、事業活動を通じてサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題に適切に対応することによって企業の社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な社会の実現への貢献と社会との信頼関係の構築に努めてまいります。
当社は、グループのCSR及びコンプライアンスの実践を支援・指導することを目的として、CSR・コンプライアンス委員会を設置しております。
CSR・コンプライアンス委員会は、当社の代表取締役社長を委員長、当社取締役及び別途指名されたグループ会社の取締役、その他の役職員を委員とし、統括・審議を行い、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視しております。なお、当社の監査役はCSR・コンプライアンス委員会に出席し、意見を述べることができます。
CSR・コンプライアンス委員会は年2回を定例開催とし、必要に応じて臨時に開催することができることとしております。
①気候変動
当社グループの酒類の原材料であるサトウキビ、大麦、米、そば等の穀物は、気候の影響を受けやすい農作物であります。また、酒類商品の出荷量も、外気温や天候によって、カテゴリー別で大きく左右される傾向にあることから、気候の影響を受けやすいものといえます。
当社グループは、2021年に策定した環境方針を指針として、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析とそのインパクトについての評価に向けた社内体制を整備してまいります。また、当社グループの事業活動による環境負荷を低減するため、商品、サービスの影響を的確に把握し、社会的な要求や法令等を遵守することで、省資源、省エネルギー、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)や化学物質の適切な管理に努め、リスク低減を図ってまいります。また、事業活動のすべてのステージで様々な環境保護活動に関与すべく、環境保全への貢献に資する商品の研究開発に取り組んでまいります。
環境方針
・当社グループは、気候変動への対応は地球規模の課題であると認識し、事業活動において温室効果ガスの削減を進め、低炭素社会の実現に取り組んでまいります。
・当社グループは、将来における資源・エネルギーの需給逼迫に備えるべく、省資源・省エネルギーや資源の循環的利用に一層注力し、資源生産性の向上に努めてまいります。また、廃棄物の適正処理や3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進し、循環型社会の形成に取り組んでまいります。
・当社グループは、環境関連の法律、条例及びその他法規制等を遵守し、環境汚染物質を適正に管理し、環境汚染リスクの未然防止に努めてまいります。
・当社グループは、生物多様性からの恵みが、社会全体の存続基盤として必要不可欠であるとの認識の下、当社グループが持つ技術や人材などの経営資源を活用して、生物多様性保全・自然保護に関する取組みを進めてまいります。
②人財育成及び社内環境整備
当社グループは、2021年に人財育成方針及び社内環境整備方針を策定し、これらの指針として、組織が機会提供・適切な評価や育成等を通じて従業員の意欲や情熱を引き出し、従業員は業務への深い関与を通じて充実感を満たしつつ、自律的な成長が遂げられるという循環サイクルを目指しております。
・女性活躍推進
当社グループでは、2024年に策定した「中期経営計画2028」において、2028年までに女性の取締役を1名以上、女性の管理職を15名以上とすることを目指し、育成強化に努めております。将来的にリーダーを目指す女性社員向けに、リーダーに必要な能力習得を目的とした社外研修を受講できる環境を整備する女性社員向け社外研修制度を設けております。課題の解決や目標の達成をサポートすることにより、女性リーダーを育成しております。また、様々な問題や悩みを相談したい女性社員がメンティ(生徒)となり、指導担当の社員のメンター(先生)と定期的に面談を実施する女性社員向けキャリアビジョンサポート制度(メンター制度)を設けております。様々な問題や悩みを相談し、メンティのキャリア開発や仕事へのチャレンジ意欲向上を目指します。また、メンターの人財育成能力やマネジメント能力の向上にもつながり、今後のキャリア形成について考える機会となっております。
また、製造現場で働く意欲のある女性が、安心して働くことができる環境づくり、インフラ整備を進めております。
2020年に女性活躍推進プロジェクト(WINT(※))を立ち上げ、女性社員とのディスカッションを行う「女性フォーラム」の開催や、他社との女性活躍推進についての情報交流を行いながら、「女性も男性も働きやすい環境改善」を提言しております。
※WINTは、Women's INnovation for Tomorrowを略したチーム名で、メンバーそれぞれの「個性」からイノベーションが生まれ、当社グループの未来を創っていく、また、全ての社員の未来を創っていくという意味が込められています。
グループ会社の秋田県醗酵工業におきましては、2019年に、女性社員で構成する女性チームA-ribbonを立ち上げ、子育て応援イベントや、県が設立した「あきたふうどミーティング」への参加をはじめ、メンバーが開発に携わった商品をPRしながら「秋田をあんべいぐする(※)」ことを目指しております。
※「秋田を盛り上げていく」という意味
・障がい者雇用
「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づき、民間企業に求められる法定雇用率以上の水準を維持することを目標に業務への適応をサポートする取組みを続けております。
・健康経営の推進
健康経営の精神の下、ワークライフバランスの推進に向け、就業時間管理の徹底、業務効率化の推進、適切な人員配置等を通じた長時間労働の削減に努めるとともに、社員に対して有給休暇の積極的な取得を促しております。また、社員の健康を守ることは企業の責任であることを重く受け止め、定期健康診断における有所見者の保健指導や健康維持に関する教育の機会を設けるなど、産業医との連携を行っております。
人財育成方針
当社グループは、取締役を支える中核人財層においても属性の多様性が確保され、それらの中核人財層が経験を重ねながら取締役に登用されていく仕組みを構築することが重要であると認識しております。
ダイバーシティの意義についての理解を促し、多様性を活かせるマネジメントスキルを学ぶことができる研修の受講等を通じて、従業員の多様性を活かせる中核人財層を育成してまいります。
社内環境整備方針
当社グループは、多様な働き方の実現は、生産性・創造性の向上だけでなく、多様な人財の確保にも繋がるものと認識しております。多様な人財を確保するため、多様で柔軟な働き方を可能とする社内環境を整備いたします。
当社グループでは、CSR・コンプライアンス委員会において、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを認識し、その対策の進捗等を審議しております。
サステナビリティ課題の中でも、気候変動に関するリスクは当社グループの事業活動に与える影響が大きいと認識しております。今後は、Scope3の算出やTCFDの提言に沿ったシナリオ分析に着手する等、気候変動にかかるリスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響の把握に向けた取組みを行ってまいります。
①気候変動
当社グループの温室効果ガス発生量(Scope1+Scope2)の実績は次のとおりであります。
当社グループは2030年度までの削減目標として、2013年度比46%の削減を掲げております。
②人財育成及び社内環境整備
・女性活躍推進
グループ会社の合同酒精株式会社及び福徳長酒類株式会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく「一般事業主行動計画」において、以下の目標を公表しております。
合同酒精株式会社「一般事業主行動計画(第2期)」
(計画期間:2020年4月1日~2025年3月31日)
福徳長酒類株式会社「一般事業主行動計画」
(計画期間:2022年4月1日~2027年3月31日)
・障がい者雇用
グループ会社の合同酒精株式会社及び福徳長酒類株式会社の「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づく法定雇用率及び実績値は次のとおりであります。
「障がい者雇用状況」(2024年12月31日時点)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクの影響を将来受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 酒類事業に関するリスク
(2) 酵素医薬品事業に関するリスク
(3) 各事業領域共通のリスク
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、不安定な国際情勢を背景とする原材料・エネルギー価格の高騰や急激な為替相場の変動、物価上昇の長期化により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、令和6年10月に創立100周年を迎えた当社グループは、グループの健全かつ持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、11月に長期ビジョン「NEXT100」及び「中期経営計画2028」を策定いたしました。長期ビジョン「NEXT100」では、10年後の令和16年度に「めざす姿」である、“堅実な経営を貫き然るべき利益を安定的に創出しつつ、社会が抱える課題の解決に貢献する企業へ”の実現に向けて、3つの重要課題「中核事業の競争力・収益力の強化」「新領域への挑戦」「ESG経営の推進」に取り組むことといたしました。併せて、「中期経営計画2028」において、当期から令和10年度までの5年間においてなすべき4本の柱として、「総合焼酎メーカーとしてのプレゼンス強化」「酒類輸出の販路拡大とスケールアップ」「販売用アルコールの安定収益確保」「酵素のラインアップ拡充・発酵受託ビジネスの拡大」を掲げ、これらを軸とした諸施策に取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、84,104百万円(前期比1.0%減)となりました。利益面では、営業利益は3,448百万円(前期比3.8%減)、経常利益は3,629百万円(前期比2.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は2,729百万円(前期比19.6%減)となりました。
当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。
(注)令和6年12月期の1株当たりの配当金の内訳
普通配当8円 記念配当2円(創立100周年記念配当)
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントから「加工用澱粉事業」を除外しております。
<酒類事業>
酒類事業につきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少に加え、物価上昇による節約志向の高まりから、競争が益々激化しております。このような環境の下、売上高は78,715百万円(前期比0.1%減)となりました。また、利益面につきましては、2,296百万円の営業利益(前期比12.8%減)となりました。
和酒部門のうち焼酎につきましては、PB商品や甲類焼酎の「ビッグマン」シリーズが減少したものの、甲類乙類混和焼酎の「すごむぎ」「すごいも」シリーズや本格焼酎の「博多の華」シリーズが好調に推移したため、売上高は増加いたしました。
チューハイなどのRTD分野につきましては、日本各地の厳選素材を使用したチューハイ「NIPPON PREMIUM」シリーズや「直球勝負」シリーズなどのNB商品やパッカー事業が好調に推移したこと、下期にPB商品が復調したことにより、売上高は増加いたしました。「NIPPON PREMIUM」シリーズにおきましては、「山形県産ラ・フランス」を数量限定で発売するなど、ラインアップ強化を図っております。
清酒につきましては、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒」が好調に推移したものの、PB商品などの減少により、売上高は減少いたしました。
販売用アルコールにつきましては、工業用アルコール、酒類原料用アルコールともに減少したため、売上高は減少いたしました。
洋酒部門につきましては、炭酸水で割るだけで手軽に居酒屋の味わいを家で楽しむことができるチューハイの素などが好調に推移したほか、ハイボールに最適なウイスキー「香薫(こうくん)」、輸入ワインなどが伸張したことにより、売上高は増加いたしました。
<酵素医薬品事業>
酵素医薬品事業につきましては、酵素部門における海外での販売が好調に推移したことや、国内の発酵受託が増加したため、売上高は4,155百万円(前期比19.1%増)、営業利益は534百万円(前期比62.9%増)となりました。
<不動産事業>
不動産事業につきましては、前期に販売用不動産の売却があったことなどにより、売上高は1,144百万円(前期比7.0%減)、営業利益は604百万円(前期比2.3%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
(注) 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実績がないため、記載しておりません。
当社グループは一部の製品について受注生産を行っておりますがウエイトも小さく、大部分の製品は販売計画に基づく生産計画に従った見込生産を主体としております。
販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(2)財政状態
当連結会計年度の総資産につきましては、55,739百万円となり、有形固定資産が減少したものの、投資有価証券が増加したため、前連結会計年度末と比較し307百万円の増加となりました。
負債につきましては、31,260百万円となり、設備関係支払手形が増加したものの、短期借入金が減少したため、前連結会計年度末と比較して1,943百万円の減少となりました。
純資産につきましては、24,478百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,251百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は882百万円となり、前連結会計年度末と比較して58百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の増加額は、4,280百万円(前期比326百万円減)となりました。これは主に、法人税等の支払額895百万円、未払消費税等の減少額256百万円などがありましたものの、税金等調整前当期純利益3,592百万円、減価償却費1,916百万円などを計上したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出1,061百万円などがありましたので、1,304百万円(前期比1,315百万円減)の資金減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の減少額1,350百万円、長期借入金の返済による支出600百万円などがありましたので、2,917百万円(前期比1,770百万円増)の資金減少となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
①キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
②資金調達
当社グループは、資金計画に基づき、必要資金は銀行等金融機関からの借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により、大型の設備投資資金の一部については複数の金融機関から相対借入により調達しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(賃貸借契約)
当連結会計年度の研究開発費は
セグメント別の主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 酒類事業
当連結会計年度の研究開発費は
酒類事業の研究は、酒類及びその関連分野における「研究」「分析」「微生物の保管・管理」の役割を担っております。
「研究」につきましては、オエノングループ各社において「顧客志向」「収益志向」に基づいた取組みを行っております。特に、お客様の多様なニーズに応じた品質の製品を提供すべく日々努めており、また環境に配慮した製品開発にも力を入れております。
「分析」につきましては、オエノングループ各社で培った分析技術や分析データを共有することで、品質管理、新商品開発、商談等に広く活用しております。また、分析データの信頼性を担保するため、分析技術の維持向上に努めております。
「微生物の保管・管理」につきましては、当社の財産でもある重要微生物を適正な環境の下で保管するとともに、保管場所を全国に分散化することにより、有事の際のリスクヘッジを図っております。
(2) 酵素医薬品事業
当連結会計年度の研究開発費は
「健康」と「環境」をテーマに、発酵をベースとした食品用酵素・素材を中心に『バイオものづくり』の分野に対し、研究資源を集中的に投下しております。
食品用酵素分野においては、主力製品の乳糖分解酵素「ラクターゼ」を中心に、多彩な酵素のアプリケーション(用途)開発の技術情報をお客様に提供することで、健康増進やSDGsを意識した有用な商品の開発に繋げていただいております。また、お客様のニーズに合致した新たな食品用酵素・素材の研究開発、遺伝子組換え技術をはじめとする省資源化に資する生産技術の開発にも注力しております。
令和2年に経済産業省が進める脱炭素化社会実現に挑戦するゼロエミ・チャレンジ企業に選定され、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画し、令和6年はBioJapanにおいて麹菌プラットフォーム開発に関する出展を行い、また、麹菌産業用スマートセルでの3kL槽培養でのスケールアップ実証などの成果をあげてまいりました。今後も環境負荷を低減し持続可能な社会を推進するため、当社が保有する発酵生産技術を基幹とし、官学の基盤知識と融合・発展させることで、有用な生産菌株の構築からスケールアップ支援受託事業(新規参入事業者への有償サポート)まで、『バイオものづくり』の社会実装に向けた研究開発を継続いたします。