第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。」というグループ企業理念の下、酒類や酵素医薬品等の分野において、発酵技術を核とする「バイオテクノロジー」をベースとした事業を展開しております。

その中において、当社グループは、お客様に「安心」「安全」をお届けすることを第一に考え、グループの普遍概念である「顧客志向」・「収益志向」に則り事業活動を行い、併せて「将来価値の共創」に資する取組みを進め、経営品質の向上、ひいてはグループの持続的成長及び中長期的な企業価値最大化を目指しております。

 

(2) 経営環境

酒類の国内市場におきましては、少子高齢化や人口減少、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化、嗜好の多様化などにより、全体として縮小傾向にあり、企業間での販売競争が激化しております。酒類の輸出につきましては、令和6年度は世界的な物価高や一部の国・地域における消費減退などの影響により全体として減少傾向にありましたが、品目別では清酒やビール、RTDを含むリキュールが、国別ではアメリカや韓国、台湾向けが堅調に推移しております。

また、国内外の乳製品用酵素市場におきましては、世界的な健康志向の高まりにより、市場の更なる成長が見込まれております。

 

(3) 長期ビジョン

当社グループは、これらの変化を的確に捉えて、構造改革を継続的に進めながら競争力・収益力を強化し、健全かつ持続的な成長を実現するため、令和16年度にめざす姿を示す長期ビジョン「NEXT100」を策定いたしました。“堅実な経営を貫き、しかるべき利益を安定的に創出しつつ、社会が抱える課題の解決に貢献する企業へ”をめざす姿とし、めざす姿の実現に向けて、以下の3つの重要課題に取り組むことといたしました。

 

 <重要課題

  ①中核事業の競争力・収益力の強化

   ・顧客起点のマーケティングに基づき、付加価値の高い商品を市場に投入するとともに、選択と集中及びコスト
    低減を進め、中核事業の競争力・収益力を強化する。

  ②新領域への挑戦

  ・新たな商品、新たな分野、新たな市場(海外)へ果敢に挑戦し、新たな収益の柱を創出する。

  ③ESG経営の推進

  ・事業活動を通じて、社会課題の解決に貢献し続けることにより、経済価値と社会価値の両立を図り、企業価値
    向上に繋げる。

 

(4) 中期経営計画及び対処すべき重要課題

当社グループは、長期ビジョン「NEXT100」を実現するため、2024年から2028年までの5年間を対象とする「中期経営計画2028」を2024年に策定しております。「中期経営計画2028」では、定量目標として、連結売上高、連結経常利益、売上高経常利益率、ROE、1株当たりの配当金を定めております。

 

<定量目標>

 

項目

令和10(2028)年12月期

 

連結売上高

930億円

 

連結経常利益

45億円

 

売上高経常利益率

4.8%

 

ROE

10.0%

 

1株当たりの配当金

12円

 

 

中期経営計画の2年目となる令和7年12月期は、「中期経営計画2028」で掲げた数値目標の達成に向け、以下に掲げる課題に取り組んでまいります。

 

  1.各重点事業の注力施策

 (1)総合焼酎メーカーとしてのプレゼンス強化

焼酎、チューハイ及びチューハイの素の収益最大化に向け、多様な消費者の嗜好に対応した新たな高付加価値商品の提案を進めてまいります。また、既存商品のリニューアルや集約化、仕様変更などによる収益性の改善にも積極的に取り組んでまいります。さらには、販売経費や収益構造の見直しも同時に進めてまいります。

 (2)酒類輸出の販路拡大とスケールアップ

令和10年度売上高23億円の目標達成に向け、各地域に応じた販売施策を実施してまいります。併せて、インバウンド向け及び輸出向けの商品開発を進めてまいります。

 (3)販売用アルコールの安定的収益確保

販売用アルコールの安定的収益確保に向け、メリハリをつけた販売を進め、販売数量の維持拡大と獲得利益最適化を図ってまいります。

 (4)酵素のラインアップ拡充と発酵受託ビジネスの拡大

基幹商品である中性ラクターゼにつきましては、海外の主要取引先との連携を密にし、販売計画と生産計画の最適化を図り、販売数量の維持拡大を進めるとともに、収量及び収率の向上による収益性改善に取り組んでまいります。将来の収益の柱となる遺伝子組換え品の早期上市に向け、研究開発を強化してまいります。発酵受託ビジネスにつきましては、令和7年度より本格的に製造が開始される乳酸菌を安定軌道に乗せ、今後の事業拡大に繋げてまいります。また、予防措置・予見に基づいた不適合品発生の撲滅並びに品質及び収量の安定化・向上に努め、実質利益の増大を図ってまいります。

 

  2.競争力・収益力の強化

 (1)品質管理の強化

お客様に安心・安全な商品をお届けする事は、食品メーカーとしての使命と認識しております。衛生管理の再点検及び設備投資を進めるとともに、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の定着化に取り組んでまいります。また、3H(初めて・変更・久しぶり)4M(人・設備・材料・方法)の変化点管理による危険予知の定着化に取り組み、工程内不適合撲滅に努めてまいります。

 (2)適正価格の維持

然るべき利益を安定的に確保するため、適切なタイミングで価格改定を行ってまいります。

 (3)多様化する嗜好への対応

多様化する消費者の嗜好に対応するため、これまで培ってきたグループ独自の技術・ノウハウを最大限に活かして新たな高付加価値商品を開発し、主力商品ブランド(ビッグマン、そふと新光、博多の華、鍛高譚、すごむぎ、すごいも、GODO‐YNL)に続く、将来における収益の柱として育成してまいります。

 (4)コスト低減の徹底

営業部門におきましては、販売経費の費用対効果を検証し、最適化を図ってまいります。また、公正な取引基準に準拠した社内ルールの遵守を徹底してまいります。

生産部門におきましては、生産工程におけるあらゆるコストの低減に徹底的に取り組んでまいります。

物流部門におきましては、輸配送ロットの引上げ等の物流効率化への対応を進め、物流コスト増加の抑制に努めてまいります。

 

  3.ESG経営の推進

 (1)環境問題への対応

環境問題への対応は地球規模の課題と認識しております。引き続き低炭素社会の実現及び循環型社会の形成に向けた取組みを進めてまいります。

令和7年度は、酵素医薬品工場への廃熱回収システムの導入、フロン排出抑制法対応等に取り組む予定であります。

 (2)人的資本の充実

グループの持続的成長及び企業価値向上のためには、その原動力となる従業員の価値を高めるシステムを整備することが不可欠であると考えております。従業員一人ひとりが働きがいを感じ、高いパフォーマンスを発揮することができ、多様な人材が活躍できる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。

 (3)コーポレートガバナンスの強化

グループの持続的成長及び企業価値向上のため、コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの徹底を図り、「納得性」「公正性」「透明性」の高い経営を実践してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティを経営における重要課題の一つと認識しております。

2021年に、CSR基本方針において対応すべき課題を「サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題」に変更し、これを指針として、事業活動を通じてサステナビリティを巡る課題に対応しております。

 

CSR基本方針

当社グループは、グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現には、社会からの期待に応え、社会との信頼関係を構築していくことが不可欠であると認識しております。

これらの実現のため、グループ企業理念の下、普遍概念である「顧客志向」・「収益志向」を判断の基礎として「よき企業市民として誰のためにどう役立つのか」を考え、事業活動を通じてサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題に適切に対応することによって企業の社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な社会の実現への貢献と社会との信頼関係の構築に努めてまいります。

 

当社は、グループのCSR及びコンプライアンスの実践を支援・指導することを目的として、CSR・コンプライアンス委員会を設置しております。

CSR・コンプライアンス委員会は、当社の代表取締役社長を委員長、当社取締役及び別途指名されたグループ会社の取締役、その他の役職員を委員とし、統括・審議を行い、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視しております。なお、当社の監査役はCSR・コンプライアンス委員会に出席し、意見を述べることができます。

CSR・コンプライアンス委員会は年2回を定例開催とし、必要に応じて臨時に開催することができることとしております。

 

(2)戦略

①気候変動

当社グループの酒類の原材料であるサトウキビ、大麦、米、そば等の穀物は、気候の影響を受けやすい農作物であります。また、酒類商品の出荷量も、外気温や天候によって、カテゴリー別で大きく左右される傾向にあることから、気候の影響を受けやすいものといえます。

当社グループは、2021年に策定した環境方針を指針として、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析とそのインパクトについての評価に向けた社内体制を整備してまいります。また、当社グループの事業活動による環境負荷を低減するため、商品、サービスの影響を的確に把握し、社会的な要求や法令等を遵守することで、省資源、省エネルギー、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)や化学物質の適切な管理に努め、リスク低減を図ってまいります。また、事業活動のすべてのステージで様々な環境保護活動に関与すべく、環境保全への貢献に資する商品の研究開発に取り組んでまいります

 

環境方針

・当社グループは、気候変動への対応は地球規模の課題であると認識し、事業活動において温室効果ガスの削減を進め、低炭素社会の実現に取り組んでまいります。

当社グループは、将来における資源・エネルギーの需給逼迫に備えるべく、省資源・省エネルギーや資源の循環的利用に一層注力し、資源生産性の向上に努めてまいります。また、廃棄物の適正処理や3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進し、循環型社会の形成に取り組んでまいります

・当社グループは、環境関連の法律、条例及びその他法規制等を遵守し、環境汚染物質を適正に管理し、環境汚染リスクの未然防止に努めてまいります。

・当社グループは、生物多様性からの恵みが、社会全体の存続基盤として必要不可欠であるとの認識の下、当社グループが持つ技術や人材などの経営資源を活用して、生物多様性保全・自然保護に関する取組みを進めてまいります。

 

②人財育成及び社内環境整備

当社グループは、2021年に人財育成方針及び社内環境整備方針を策定し、これらの指針として、組織が機会提供・適切な評価や育成等を通じて従業員の意欲や情熱を引き出し、従業員は業務への深い関与を通じて充実感を満たしつつ、自律的な成長が遂げられるという循環サイクルを目指しております。

 

・女性活躍推進

当社グループでは、2024年に策定した「中期経営計画2028」において、2028年までに女性の取締役を1名以上、女性の管理職を15名以上とすることを目指し、育成強化に努めております将来的にリーダーを目指す女性社員向けに、リーダーに必要な能力習得を目的とした社外研修を受講できる環境を整備する女性社員向け社外研修制度を設けております。課題の解決や目標の達成をサポートすることにより、女性リーダーを育成しております。また、様々な問題や悩みを相談したい女性社員がメンティ(生徒)となり、指導担当の社員のメンター(先生)と定期的に面談を実施する女性社員向けキャリアビジョンサポート制度(メンター制度)を設けております。様々な問題や悩みを相談し、メンティのキャリア開発や仕事へのチャレンジ意欲向上を目指します。また、メンターの人財育成能力やマネジメント能力の向上にもつながり、今後のキャリア形成について考える機会となっております

また、製造現場で働く意欲のある女性が、安心して働くことができる環境づくり、インフラ整備を進めております。

2020年に女性活躍推進プロジェクト(WINT(※))を立ち上げ、女性社員とのディスカッションを行う「女性フォーラム」の開催や、他社との女性活躍推進についての情報交流を行いながら、「女性も男性も働きやすい環境改善」を提言しております

※WINTは、Women's INnovation for Tomorrowを略したチーム名で、メンバーそれぞれの「個性」からイノベーションが生まれ、当社グループの未来を創っていく、また、全ての社員の未来を創っていくという意味が込められています。

グループ会社の秋田県醗酵工業におきましては、2019年に、女性社員で構成する女性チームA-ribbonを立ち上げ、子育て応援イベントや、県が設立した「あきたふうどミーティング」への参加をはじめ、メンバーが開発に携わった商品をPRしながら「秋田をあんべいぐする(※)」ことを目指しております

※「秋田を盛り上げていく」という意味

 

・障がい者雇用

「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づき、民間企業に求められる法定雇用率以上の水準を維持することを目標に業務への適応をサポートする取組みを続けております。

 

・健康経営の推進

健康経営の精神の下、ワークライフバランスの推進に向け、就業時間管理の徹底、業務効率化の推進、適切な人員配置等を通じた長時間労働の削減に努めるとともに、社員に対して有給休暇の積極的な取得を促しております。また、社員の健康を守ることは企業の責任であることを重く受け止め、定期健康診断における有所見者の保健指導や健康維持に関する教育の機会を設けるなど、産業医との連携を行っております。

 

人財育成方針

当社グループは、取締役を支える中核人財層においても属性の多様性が確保され、それらの中核人財層が経験を重ねながら取締役に登用されていく仕組みを構築することが重要であると認識しております。

ダイバーシティの意義についての理解を促し、多様性を活かせるマネジメントスキルを学ぶことができる研修の受講等を通じて、従業員の多様性を活かせる中核人財層を育成してまいります。

 

社内環境整備方針

当社グループは、多様な働き方の実現は、生産性・創造性の向上だけでなく、多様な人財の確保にも繋がるものと認識しております。多様な人財を確保するため、多様で柔軟な働き方を可能とする社内環境を整備いたします。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、CSR・コンプライアンス委員会において、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを認識し、その対策の進捗等を審議しております。

サステナビリティ課題の中でも、気候変動に関するリスクは当社グループの事業活動に与える影響が大きいと認識しております。今後は、Scope3の算出やTCFDの提言に沿ったシナリオ分析に着手する等、気候変動にかかるリスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響の把握に向けた取組みを行ってまいります。

 

(4)指標及び目標

①気候変動

当社グループの温室効果ガス発生量(Scope1+Scope2)の実績は次のとおりであります。

当社グループは2030年度までの削減目標として、2013年度比46%の削減を掲げております。

目標値

実績値

2030年度までに温室効果ガス発生量

(Scope1+Scope2)を2013年度比で46%削減

※2013年度温室効果ガス発生数量  98千t

2023年度 58千t(2023年4月~2024年3月)
(2013年度比で40%削減)

 

 

②人財育成及び社内環境整備

・女性活躍推進

グループ会社の合同酒精株式会社及び福徳長酒類株式会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく「一般事業主行動計画」において、以下の目標を公表しております。

 

合同酒精株式会社「一般事業主行動計画(第2期)」

(計画期間:2020年4月1日~2025年3月31日)

目標値

実績値

女性経営職※の人数12以上

(2020年度比で30%増加)

※グループ会社への出向者を含む

2024年度  10人(2024年12月31日現在)

新卒総合職採用における女性採用割合50以上

2024年入社新卒総合職  54.5

女性の平均継続勤務年数13以上

(2020年度比で20%増加)

2024年度  11年(2024年12月31日現在)

 

 

福徳長酒類株式会社「一般事業主行動計画」

(計画期間:2022年4月1日~2027年3月31日)

目標値

実績値

正社員に占める女性労働者の割合15以上

2024年度 12.3%(2024年12月31日現在)

女性の平均継続勤務年数11以上

(2022年度比で20%増加)

2024年度 9年(2024年12月31日現在)

 

 

・障がい者雇用

グループ会社の合同酒精株式会社及び福徳長酒類株式会社の「障がい者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号)に基づく法定雇用率及び実績値は次のとおりであります。

 

「障がい者雇用状況」(2024年12月31日時点)

 

目標値

実績値

合同酒精株式会社

2.5

2.2

福徳長酒類株式会社

2.5

1.8

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクの影響を将来受ける可能性があります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 酒類事業に関するリスク

 

項目

国内の酒類市場の変化

 

リスク概要

当社グループの酒類事業の売上高の大部分は国内販売となっております。国内の酒類市場においては、国内の人口減少や少子高齢化によって総需要が減少し、販売競争が激化することが見込まれております。また、酒類市場は、国内の景気動向や嗜好の変化の影響を受けやすい市場であるため、低価格帯の節約志向商品が伸張する一方、高価格帯の付加価値商品や健康志向商品も拡大するといった価格の二極化・嗜好の多様化が進むことが予想されております。販売競争の激化や価格の二極化・嗜好の多様化への対応が遅れた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、強みを持つ分野や成長分野への経営資源の重点配分によって競争力強化に取り組んでおります。また、市場環境の変化に対応できるよう商品開発体制を強化し、顧客視点の発想での商品開発を進め、魅力的な商品を創出してまいります。

 

 

 

項目

酒類の販売に関する規制

 

リスク概要

アルコールの不適切な摂取による健康面や社会面への悪影響が指摘されており、WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されております。予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、酒類の消費が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、酒類を製造・販売する企業グループとしての社会的責任を果たすために、酒類事業に関する法令等を遵守した販売・宣伝活動を行っております。また、適正飲酒の啓発活動を積極的に推進し、不適切な飲酒の撲滅に取り組んでおります。

 

 

(2) 酵素医薬品事業に関するリスク

 

項目

乳製品用酵素市場の変化

 

リスク概要

主力のラクターゼが属する乳製品用酵素市場では、国際的な巨大企業を含む国内外の企業との厳しい競争に直面しており、その技術革新は急速に進んでおります。新技術・新商品の開発の遅れや他社による技術革新によって、当社グループを取り巻く環境が想定を超えて大きく変化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、将来の市場・技術動向を見据えて新技術・新商品の研究・開発を推進しております。また、お客様と良好な関係をつくり、情報収集に努めるなど、市場の変化に迅速に対応できる体制を整備しております。

 

 

(3) 各事業領域共通のリスク

 

項目

事業拡大

 

リスク概要

当社は、積極的な事業拡大を図る手段の一つとして、当社グループにおいて有効かつ効率的に経営資源を活用できる企業などの株式を取得し、子会社としてまいりました。また、グループ経営の一層の効率化を図るため、当社の子会社間の合併を行うなど、グループ内組織再編を実施してまいりました。

当面、新たな子会社取得等は計画しておらず、現在のグループ構成において各機能の強化等によるグループ全体のトータルコストリダクションなどを進める方針であります。ただし、中長期的にはグループ全体の方針に基づき子会社取得も視野に入れて事業拡大を進める方針であります。新たな子会社取得等については、環境変化等の要因により一時的または追加的に損失等が生じる可能性があり、また、当社の期待する効果が十分に得られない可能性もあります。

 

対応策

当社は、取締役会における投資・M&A計画の適切な意思決定と実施後のモニタリングを適切に行っております。

 

 

 

項目

原材料調達

 

リスク概要

当社グループが使用する主要な原材料(粗留アルコール、重油等)には、調達価格が、調達先の国または地域の天候や経済状況の影響を間接的に受け、変動するものがあります。それら主要原材料の価格が高騰した場合には製造コストが上昇し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、販売用アルコール等の原料である粗留アルコールについては、世界情勢や感染症拡大の影響により、購入単価の上昇や調達自体の難化等が生じることが懸念されます。世界情勢の悪化や感染症拡大が長期化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、複数企業からの購買や、計画的な購買によって安定的な調達に努めております。具体的には、原材料市場の積極的な情報収集、市場の変化に合わせた契約期間の見直し、調達先の分散等を行っております。

 

 

 

項目

自然災害

 

リスク概要

当社グループの営業拠点、製造拠点において、大規模な地震、水害、風害が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、人命の安全を第一としながら、酒類・アルコール等の供給責任を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制の構築に努めております。

 

 

 

項目

感染症

 

リスク概要

感染症拡大に伴う外出自粛、飲食店への時短要請・休業要請、緊急事態宣言の発出がなされた場合、事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、従業員の感染、事業所でのクラスター発生により想定以上に事業活動の停滞が長期化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、国・自治体・業界団体の指針に沿って、適宜必要な施策を講じております。具体的には、うがい・手洗い・手指消毒・換気・マスク着用等の基本的な感染予防策の徹底、在宅勤務及び時差出勤の活用やオンライン会議の利用促進等の対策を実行しております。

 

 

 

項目

情報管理

 

リスク概要

当社グループは経営に関する重要情報をはじめとし、多数の個人に関する機密情報を保有しております。停電、災害、コンピュータウイルスなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループは、当社の経営戦略企画室内のシステムセンターを中心としたグループ全体での情報セキュリティー体制を整備するとともに、従業員に対する教育や訓練の徹底とソフトウェアや機器導入によるセキュリティー対策を実施しております。

 

 

 

項目

人材確保・育成

 

リスク概要

日本国内の人口動態の変化による労働力不足への対応は、将来の持続的成長にも関わる大きな課題となっております。今後の社会情勢や雇用環境の変化により、相応しい人材を継続的に採用することが困難となる場合、既存事業における成長戦略の推進に支障が生じるなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループ全体の持続的成長及び中長期的な企業価値の向上のためには、多様な価値観に基づく多様な視点をもつ人財が不可欠であるという考え方の下、当社グループの役員、従業員の属性の多様化を図り、特性や個性を活かす職場環境づくりを進めております。具体的には、女性活躍推進プロジェクトを発足し、プロジェクトの意見を取り入れながら、計画的かつ継続的に女性の登用を進め、女性の個性と能力が十分に発揮できるよう、女性が育児・介護などをしながら安心して働き続けられる環境や、キャリアアップのサポートができる環境の整備を行っております。また、時間単位年休や副業・兼業の容認によるワークライフバランスの推進に努めております。さらには、誰もが自分の性的指向や性自認を尊重され、自分らしく生きることができる社会を形成するために、LGBTについての啓発活動を行っております。

 

 

 

項目

食品の安心・安全

 

リスク概要

当社グループとしての予期し得ない品質問題及び製品表示問題が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。また、当社グループの製品の欠陥に起因して製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、グループ生産部門会議・当社の品質安全保証室を中心としたグループ全体での品質保証体制の強化を進めております。また、重要な案件については、当社代表取締役社長を委員長とする「CSR・コンプライアンス委員会」において審議し、対策を講じております。

また、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」の認証を取得するなど、品質保証への取組みを強化しております。さらには、酒税法等法令上定められている記帳義務、表示義務を遵守する姿勢の確立への取組みを強化しております。

 

 

 

項目

コンプライアンス

 

リスク概要

当社グループは事業の遂行にあたり、酒税法、食品衛生法、薬機法、景品表示法等の様々な法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等を行った場合、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける等、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、コンプライアンスを、当社グループの企業価値を支える大きな柱であり、経営そのものであると捉えております。研修等を通じて従業員のコンプライアンス徹底に努めております。

 

 

 

項目

知的財産権

 

リスク概要

当社グループは知的財産権の重要性を認識し、知的財産権保護のための体制を整備しております。当社グループの知的財産権が侵害され、第三者に流出した場合、また将来、第三者との知的財産に関する紛争が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全、また他社の知的財産権の調査などに努めております。

 

 

 

項目

産業事故災害

 

リスク概要

当社グループの工場において、大規模な産業事故災害が発生した場合には、補償等を含む産業事故災害への対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償、さらに社会的信用の失墜等によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、生産戦略の専門部署による管理体制の強化、未然に防ぐための設備の充実などの対策を講じております。

 

 

 

項目

環境課題

 

リスク概要

気候変動をはじめとする環境問題への企業の取組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策などの法令等の規制も強まっております。また、海洋プラスティック問題は世界的な共通課題であるとの認識が急速に高まっており、容器包装における対応は、飲料業界の大きな課題になっております。これらの規制強化や、容器包装等に対する取組みへの対応費用の増加等によって、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動に起因する水資源の枯渇、原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害などのサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、当社代表取締役社長を委員長とする「CSR・コンプライアンス委員会」においてSDGsの達成に必要な課題を整理し、グループ全体で課題解決に向けた活動を推進しております。

具体的には、リサイクル素材の積極的活用、「自己熱再生システム」導入によるCO2排出量削減、蒸留廃液濃縮装置更新による産業廃棄物・燃料使用量の削減を図っているほか、当社子会社の合同酒精㈱が経済産業省の「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されるなど、環境負荷低減や環境保全活動に積極的に取り組んでおります。

 

 

 

項目

為替変動

 

リスク概要

当社グループは、商品・原材料の一部を外貨建てにて輸入しております。しかしながら、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、為替レート変動に対するリスクを為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しております。

 

 

 

項目

資金調達

 

リスク概要

資金調達時の金融市場の動向により、短期及び中長期の予測を超えた金利変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、金融機関等との良好な関係を維持するとともに、原則、複数による低利かつ固定金利での資金調達を行うことにより金利変動リスクの低減を図っています。また、健全な財務体質の維持・強化に努めるとともに金融市場の動向に関する最新の情報と事業環境の分析に基づき、資金計画の見直しを適時に行っております。

 

 

 

項目

棚卸資産の評価

 

リスク概要

平成20年4月1日以後開始する事業年度より「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用され、通常の販売目的で保有する棚卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末において正味売却価額が取得原価より下落している場合には収益性が低下していると判断し、当該正味売却価額まで貸借対照表価額を切下げ、取得原価と当該正味売却価額の差額は当期の費用として処理することとなりました。このため当社グループの棚卸資産につき、原材料購入価格の上昇、製造固定費の増加、生産量の減少、製品販売価格の下落などが生じ、その結果正味売却価額が取得原価を下回るため収益性が低下していると判断された場合には、当該棚卸資産の簿価切下げがなされ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、新たに大きな簿価切り下げが発生する可能性を可能な限り低減するため、毎期、継続的・保守的・網羅的に棚卸資産を評価・検証し、必要に応じて評価減を計上することとしております。

 

 

 

項目

固定資産の減損

 

リスク概要

当社グループは、事業の用に供する様々な固定資産を保有しております。平成18年度から「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後、遊休固定資産の時価の急激な低下や事業環境が大幅に悪化した場合には、追加的な減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、追加的な減損損失のリスクを低減するため、毎期継続的に減損の兆候の有無を検証しております。

 

 

 

項目

退職給付債務

 

リスク概要

当社グループの一部の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率や退職率、昇給率等の前提条件と年金資産の期待運用収益率等に基づき計算されております。年金資産の運用利回り悪化、割引率の低下等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、年金資産の運用は、適宜、情報を取得し、安全性を考慮した投資配分に努めております。また、退職給付制度には確定給付型と確定拠出型を組み合わせた制度を導入しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、不安定な国際情勢を背景とする原材料・エネルギー価格の高騰や急激な為替相場の変動、物価上昇の長期化により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
 このような経営環境の下、令和6年10月に創立100周年を迎えた当社グループは、グループの健全かつ持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、11月に長期ビジョン「NEXT100」及び「中期経営計画2028」を策定いたしました。長期ビジョン「NEXT100」では、10年後の令和16年度に「めざす姿」である、“堅実な経営を貫き然るべき利益を安定的に創出しつつ、社会が抱える課題の解決に貢献する企業へ”の実現に向けて、3つの重要課題「中核事業の競争力・収益力の強化」「新領域への挑戦」「ESG経営の推進」に取り組むことといたしました。併せて、「中期経営計画2028」において、当期から令和10年度までの5年間においてなすべき4本の柱として、「総合焼酎メーカーとしてのプレゼンス強化」「酒類輸出の販路拡大とスケールアップ」「販売用アルコールの安定収益確保」「酵素のラインアップ拡充・発酵受託ビジネスの拡大」を掲げ、これらを軸とした諸施策に取り組んでまいりました。
  これらの結果、当連結会計年度の売上高は、84,104百万円(前期比1.0%減)となりました。利益面では、営業利益は3,448百万円(前期比3.8%減)、経常利益は3,629百万円(前期比2.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は2,729百万円(前期比19.6%減)となりました。

 

当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。

 

 

前連結会計年度

令和5年12月期)

当連結会計年度

令和6年12月期)

中期経営計画目標値

(令和10年12月期)

 

売上高

84,947百万円

84,104百万円

93,000百万円

 

経常利益

3,702百万円

3,629百万円

4,500百万円

 

売上高経常利益率

4.4%

4.3%

4.8%

 

ROE

17.3%

12.1%

10.0%

 

1株当たりの配当金

8円

10円

12円

 

(注)令和6年12月期の1株当たりの配当金の内訳

   普通配当8円 記念配当2円(創立100周年記念配当)

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントから「加工用澱粉事業」を除外しております。

 

<酒類事業>

 酒類事業につきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少に加え、物価上昇による節約志向の高まりから、競争が益々激化しております。このような環境の下、売上高は78,715百万円(前期比0.1%減)となりました。また、利益面につきましては、2,296百万円の営業利益(前期比12.8%減)となりました。
 和酒部門のうち焼酎につきましては、PB商品や甲類焼酎の「ビッグマン」シリーズが減少したものの、甲類乙類混和焼酎の「すごむぎ」「すごいも」シリーズや本格焼酎の「博多の華」シリーズが好調に推移したため、売上高は増加いたしました。
 チューハイなどのRTD分野につきましては、日本各地の厳選素材を使用したチューハイ「NIPPON PREMIUM」シリーズや「直球勝負」シリーズなどのNB商品やパッカー事業が好調に推移したこと、下期にPB商品が復調したことにより、売上高は増加いたしました。「NIPPON PREMIUM」シリーズにおきましては、「山形県産ラ・フランス」を数量限定で発売するなど、ラインアップ強化を図っております。
 清酒につきましては、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒」が好調に推移したものの、PB商品などの減少により、売上高は減少いたしました。
 販売用アルコールにつきましては、工業用アルコール、酒類原料用アルコールともに減少したため、売上高は減少いたしました。
 洋酒部門につきましては、炭酸水で割るだけで手軽に居酒屋の味わいを家で楽しむことができるチューハイの素などが好調に推移したほか、ハイボールに最適なウイスキー「香薫(こうくん)」、輸入ワインなどが伸張したことにより、売上高は増加いたしました。

 

<酵素医薬品事業>

 酵素医薬品事業につきましては、酵素部門における海外での販売が好調に推移したことや、国内の発酵受託が増加したため、売上高は4,155百万円(前期比19.1%増)、営業利益は534百万円(前期比62.9%増)となりました。

 

<不動産事業>

 不動産事業につきましては、前期に販売用不動産の売却があったことなどにより、売上高は1,144百万円(前期比7.0%減)、営業利益は604百万円(前期比2.3%減)となりました。

 

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 ①生産実績

生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

アイテム(主要製品)

当連結会計年度

(自 令和6年1月1日

  至 令和6年12月31日)

前期比
(%)

酒類

焼酎

87,254

(KL)

101.0

 

チューハイ

80,930

(KL)

93.6

 

清酒

10,887

(KL)

94.2

 

合成清酒

8,611

(KL)

100.3

 

アルコール

104,853

(KL)

93.4

 

みりん

1,536

(KL)

91.3

 

洋酒

9,450

(KL)

103.8

 

その他

4,977

(KL)

111.1

 

308,496

(KL)

96.2

 

(注) 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実績がないため、記載しておりません。

 

 ②受注状況

当社グループは一部の製品について受注生産を行っておりますがウエイトも小さく、大部分の製品は販売計画に基づく生産計画に従った見込生産を主体としております。

 

 ③販売実績

販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

アイテム(主要製品)

当連結会計年度

(自 令和6年1月1日

 至 令和6年12月31日)

(百万円)

前期比

(%)

酒類

和酒

焼酎

36,274

101.0

 

 

チューハイ

16,933

100.8

 

 

清酒

3,638

98.1

 

 

合成清酒

1,897

97.7

 

 

販売用アルコール

13,519

95.1

 

 

みりん

400

93.0

 

 

72,664

99.5

 

洋酒

5,334

103.0

 

その他

717

116.7

 

 

78,715

99.9

酵素医薬品

4,155

119.1

不動産

1,144

93.0

その他

88

101.6

合  計

84,104

99.0

 

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

 

イオントップバリュ㈱

10,156

12.0

10,117

12.0

 

三井食品㈱

8,513

10.0

7,882

9.4

 

 

 (2)財政状態

当連結会計年度の総資産につきましては、55,739百万円となり、有形固定資産が減少したものの、投資有価証券が増加したため、前連結会計年度末と比較し307百万円の増加となりました。

負債につきましては、31,260百万円となり、設備関係支払手形が増加したものの、短期借入金が減少したため、前連結会計年度末と比較して1,943百万円の減少となりました。

純資産につきましては、24,478百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,251百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。

 

 (3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は882百万円となり、前連結会計年度末と比較して58百万円の増加となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の増加額は、4,280百万円(前期比326百万円減)となりました。これは主に、法人税等の支払額895百万円、未払消費税等の減少額256百万円などがありましたものの、税金等調整前当期純利益3,592百万円、減価償却費1,916百万円などを計上したことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出1,061百万円などがありましたので、1,304百万円(前期比1,315百万円減)の資金減少となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の減少額1,350百万円、長期借入金の返済による支出600百万円などがありましたので、2,917百万円(前期比1,770百万円増)の資金減少となりました。

 

 (4)資本の財源及び資金の流動性の分析

①キャッシュ・フロー

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

令和4年12月

令和5年12月

令和6年12月

自己資本比率(%)

32.0

38.6

42.4

時価ベースの自己資本比率(%)

26.9

37.2

40.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

△13.9

1.7

1.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

△11.7

52.4

45.2

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産 
      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 
      キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー 
      インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

②資金調達

当社グループは、資金計画に基づき、必要資金は銀行等金融機関からの借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により、大型の設備投資資金の一部については複数の金融機関から相対借入により調達しております。

 

 (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(賃貸借契約)

契約相手先

賃貸設備の名称及び所在地

賃貸延床面積

契約種類

契約期間

三菱地所(株)

サ・ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー(東京都中央区銀座)

7,402.65㎡

定期建物賃貸借契約

令和4年10月1日~

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費は523百万円であります。

セグメント別の主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(1) 酒類事業

当連結会計年度の研究開発費は82百万円であります。
 酒類事業の研究は、酒類及びその関連分野における「研究」「分析」「微生物の保管・管理」の役割を担っております。

「研究」につきましては、オエノングループ各社において「顧客志向」「収益志向」に基づいた取組みを行っております。特に、お客様の多様なニーズに応じた品質の製品を提供すべく日々努めており、また環境に配慮した製品開発にも力を入れております。

「分析」につきましては、オエノングループ各社で培った分析技術や分析データを共有することで、品質管理、新商品開発、商談等に広く活用しております。また、分析データの信頼性を担保するため、分析技術の維持向上に努めております。

「微生物の保管・管理」につきましては、当社の財産でもある重要微生物を適正な環境の下で保管するとともに、保管場所を全国に分散化することにより、有事の際のリスクヘッジを図っております。

 

(2) 酵素医薬品事業

当連結会計年度の研究開発費は441百万円であります。

「健康」と「環境」をテーマに、発酵をベースとした食品用酵素・素材を中心に『バイオものづくり』の分野に対し、研究資源を集中的に投下しております。

食品用酵素分野においては、主力製品の乳糖分解酵素「ラクターゼ」を中心に、多彩な酵素のアプリケーション(用途)開発の技術情報をお客様に提供することで、健康増進やSDGsを意識した有用な商品の開発に繋げていただいております。また、お客様のニーズに合致した新たな食品用酵素・素材の研究開発、遺伝子組換え技術をはじめとする省資源化に資する生産技術の開発にも注力しております。

令和2年に経済産業省が進める脱炭素化社会実現に挑戦するゼロエミ・チャレンジ企業に選定され、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画し、令和6年はBioJapanにおいて麹菌プラットフォーム開発に関する出展を行い、また、麹菌産業用スマートセルでの3kL槽培養でのスケールアップ実証などの成果をあげてまいりました。今後も環境負荷を低減し持続可能な社会を推進するため、当社が保有する発酵生産技術を基幹とし、官学の基盤知識と融合・発展させることで、有用な生産菌株の構築からスケールアップ支援受託事業(新規参入事業者への有償サポート)まで、『バイオものづくり』の社会実装に向けた研究開発を継続いたします。