第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針及び経営戦略等

 当社グループは、「感謝と喜び」を企業理念に掲げ、人や企業が深く結びつくために欠かせない“心”を大切 に、お客様とともに繁盛するビジネスを進めております。「感謝と喜び」の心を根本に、幅広い業種・業界により良い製品・サービスを提供することにより、お客様の事業創造に貢献するとともに、社会課題を解決することに努めてまいります。このような企業理念の実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えております。

 100年に一度と言われる変革期に直面しているモビリティ産業では、AIや車載ソフトウェアを活用した先進運転支援システムや自動運転等の技術の進展、電動車両の普及が加速する中で、カーオーナーのニーズやライフスタイルも多様化しており、それに対応するために新たなサービスやソリューションが求められています。これらの動きに迅速かつ柔軟に対応するため、当社グループは、Broadleaf Cloud Platformの拡大を推進し、お客様のデジタル化の支援とトータルマネジメントシステムの提供を通じて、経営・業務改革の支援を強化してまいります。同時に、カーオーナーを取り巻く環境の変化やニーズの多様化にも柔軟に対応し、カーオーナーに向けた新たなサービス展開を検討しております。これらの活動を通じて、事業領域の拡大と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。さらに当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境・社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化してまいります。

 具体的な内容として、2022年2月9日に2022-28年の中期経営計画を発表いたしました。

 中期経営計画における2つの成長戦略として「クラウドの浸透」と「サービスの拡張」を掲げています。主力クラウドサービスである『.cシリーズ』の更なる浸透と、Broadleaf Cloud Platfom上の多様なサービスを組み合わせることで、お客様の業務を総合的にサポートすることが可能となり、お客様の経営・業務改革の支援を実現してまいります。これらの成長戦略を「2つのDX」の観点で推進してまいります。1つ目のDXは、当社グループのお客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、お客様の新たな価値創造につながる、ビジネス環境の構築に貢献することです。2つ目のDXは、当社グループ内でデータエクスチェンジャー(DX)と呼んでいるものです。Broadleaf Cloud Platform上に集まる情報を収集、分析、予想、統合し、情報の付加価値を高めた上で提供をおこなってまいります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは売上収益、営業利益、営業利益率と親会社の所有者に帰属する当期利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として掲げています。加えて、中期経営計画で成長戦略として掲げている「クラウドの浸透」の達成状況を判断するための客観的な指標として、クラウドソフトウェアサービス『.cシリーズ』におけるクラウド化率、ライセンス数、ユーザー維持率、平均月額売上収益を掲げています。

 

(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「(1) 経営方針及び経営戦略等」で記載した経営環境に対応し中期経営方針を実現するために、当社グループが認識する主な対処すべき課題は以下のとおりです。

 

・クラウド化の促進とBroadleaf Cloud Platform上で稼働するサービスの拡充

当社グループは、お客様の業務を改善する業務アプリケーションを提供し、業界で高いシェアを獲得してきました。これらのアプリケーションをクラウドサービスへ切り替えることで、変革期を迎えているモビリティ産業に対して、より迅速かつ柔軟に必要な機能を提供し、カスタマーサクセスを追求してまいります。また、当社グループが開発したクラウドソフトに加え、業種・業界を超えた様々なパートナー企業と連携し、Broadleaf Cloud Platform上に多様なサービスを提供してまいります。従来から提供していた整備・鈑金事業者向けクラウドソフトに加え、2024年9月に、新たな自動車部品商向けのクラウドソフト『Partsman.c』の提供を開始したことで、当社の主要なお客様が利用可能なクラウドソフトが出揃いました。多くのお客様がクラウドソフトを利用することで、業務における使用感が飛躍的に向上し、クラウドの浸透を大幅に加速することが可能となります。今後も当社グループは、クラウドソフトとBroadleaf Cloud Platform上の多様なサービスを組み合わせることにより、従来の業務アプリケーションの提供による業務効率化の支援から、トータルマネジメントシステムの提供による経営・業務改革の支援へとサービス範囲を拡張してまいります。

 

 

・自動車部品受発注ビジネスの浸透とeコマースビジネスの展開

当社グループは、強みである自動車アフターマーケットの顧客基盤とデータベースを活用することで、自動車補修部品の電子受発注サービスを提供しております。2024年9月に『Partsman.c』の提供を開始したことで、自動車補修部品の売り手である部品商と買い手である整備事業者の双方が、当社クラウドサービスを利用できる環境が整いました。売り手と買い手の双方がクラウドサービスをご利用いただくことで、従来に比べ電子受発注の使い勝手や精度が圧倒的に向上し、受発注サービスのさらなる拡大に向けた基盤の構築が完了しました。受発注業務を電子化することで、業界の課題である部品の取引や物流における非効率を解消し、お客様の生産性を向上していくとともに、紙の使用量削減による資源保護にも寄与してまいります。また、本サービスでは自動車リサイクル部品の受発注も行っており、修理時のリサイクル部品の利用を促進し、資源循環型社会の実現にも寄与してまいります。

 

・データを活用したサービスの創出

当社グループは、自動車関連の膨大なデータを活用し、カーオーナー向けサービス等の新たな事業の立ち上げを行ってまいります。AIの活用が加速度的に進むと見込まれる中で、分析の基となるデータの重要性が一層高まっていきます。当社グループは過去40年分の、車両や部品、修理や点検等に関する膨大なデータを保有しています。これは国内の車両整備データの約4分の1に該当し、当社グループにしかない強みとなります。このデータとAIに代表される最新のテクノロジーを掛け合わせることで、他社の追随を許さない唯一無二のサービスを展開してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般への取り組み

① ガバナンス

 当社グループの「企業理念」及び「社名の由来」に込められた想いの実践を通じて『持続可能な社会の実現』と『企業価値の向上』を目指しています。その中で、サステナビリティに関する対応・取り組みは重要なものであると考え、リスクマネジメントの最高責任者を代表取締役社長とし、リスクの所在と特性を考慮し経営戦略に沿った適切な資源配分を行います。また、リスク・コンプライアンス委員会を業務執行機関として、リスクの把握・管理や、リスクマネジメントに関する方針決定・体制構築・モニタリング、取締役会への報告などを行います。

 

② 戦略

 当社グループでは、サステナビリティを推進する上で、基本方針や取り組み指針を制定し、『持続可能な社会の実現』と『企業価値の向上』を目指します。

https://www.broadleaf.co.jp/sustainability/policy/

 具体的な取り組みとして、当社グループはモビリティ産業に携わる企業を中心に、社会のITインフラに深く関わっていることから、まずは安定したITサービスを提供し続けることが重要だと考え、事業とかけ合わせた下記3つが重要であると考えております。

 

・誰もが安心・快適に暮らせる移動社会実現への貢献

・持続可能な循環型社会の構築

・平等で多様性を重視した社会の実現

 

 上記3つの重要項目において、ITサービス事業者としての役割を果たしながら、様々な社会課題の解決に積極的に取り組んでいます。具体的な取り組みに関しては、当社ウェブサイトをご参照ください。

https://www.broadleaf.co.jp/sustainability/sdgs/

 

③ リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティに関するリスク等については、経営や事業において重大な影響があるものとして捉えており、リスク・コンプライアンス委員会において集約、管理されています。全体のリスク等の内容については、「3 事業等のリスク」に記載しています。なお、気候変動に関するリスクについては、「(2)気候変動」に記載しています。

 

④ 指標及び目標

 当社グループでは、サステナビリティにおける重要項目を設定し、それに沿った取り組みを行うことで、ステークホルダーに対する直接的・間接的なポジティブインパクトの拡大(価値創出)とネガティブインパクトの低減(社会的責任)に努めています。今後は、取り組みの中でもより重要なものを指標として選定し、目標を設定してモニタリングできるように進めてまいります。気候変動に関する指標及び目標に関しては、「(2)気候変動 ④ 指標及び目標」を、人的資本に関しては、「(3)人的資本 ④ 指標及び目標」をご参照ください。

 

(2)気候変動

 当社グループの掲げる企業理念や経営上の目標を実現し、企業価値の向上を図るために、気候変動に起因するリスクや事業への影響を特定し、適切に対応していく必要があると考えております。気候変動の影響やCO2をはじめとする温室効果ガス排出量の削減に向けた国の施策や社会の動向を注視し、適切に対応しながら持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。

 

① ガバナンス

 当社の既存サービスと気候変動問題との関連性を再定義し、中期経営計画(2022-2028)における事業創出の一環として、気候変動問題の解決につながるサービスの企画検討を実施しています。これらの取組みは、定期的かつタイムリーに取締役会に報告され、取締役会において重要な経営戦略として議論するとともに、気候変動問題への実行計画等について監督を行っています。

 

② 戦略

 当社では、2022年から気候変動シナリオに記載のとおりシナリオ分析を行い、気候変動に関するリスクの影響と機会を把握し、中期経営計画(2022-2028)に取り込みました。これを契機に、気候変動に関連するリスクへの対応のみならず、サステナブルな社会の実現につながるサービスの開発を推進していきます。今後も、気候変動に伴う事業への影響を定期的に見直すことで、最新の気候変動リスクの把握ならびに機会を捉え、脱炭素活動の推進へとつなげます。また、気候変動への対応に関する情報発信を通じて、ステークホルダーの皆さまとの意見交換を深め、気候変動に対する取組み及び開示水準の向上を図っていきます。

 

<気候変動シナリオ>

 気候変動問題による当社事業への影響を把握し、気候変動に関連するリスクと機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的に、シナリオ分析を実施しました。2100年の世界平均地上気温が産業革命前と比較し上昇した4℃及び1.5℃シナリオを用いることとし、リスクと事業機会の抽出における時間軸については、2030年及び2050年でのインパクト評価としました。

・気候変動に起因するリスク

分類

内容

顕在化の時期

影響の程度

対策

4℃

1.5℃

2030年

2050年

2030年

2050年

法規

・新たな政策や規制(炭素税、排出権取引制度、省エネ規制 等)への対応に際するコスト増加

5年~

中~大

・事業運営に伴う温室効果ガス排出量の更なる削減

評判

・気候変動対応の遅れによる社会的な信頼の低下

5年~

小~中

・法規への対応状況だけに留まらない適切な情報開示の継続

物理

・気象災害に起因するサービス提供基盤の障害発生の増加

5年~

小~中

小~中

・事業継続に関わる防災対策の継続

 

・気候変動に関する機会

分類

内容

顕在化の時期

影響の程度

対策

4℃

1.5℃

2030年

2050年

2030年

2050年

市場

・グリーンシティの構築に繋がるサービスの需要拡大

・ニューリアリティを実現するサービスの需要拡大

・再生可能エネルギーの普及やサーキュラーエコノミーの発展に繋がるサービスの需要拡大

5年~

中~大

・グリーンシティの構築やニューリアリティを実現するサービスの積極展開

・再生可能エネルギーの普及やサーキュラーエコノミーの発展に繋がるサービスの拡充

評判

・気候変動対応による社会的な信頼性の向上

3年~

小~中

小~中

・温暖化ガス排出低減(脱炭素)につながるサービス展開を含む情報開示の継続

(注)リスク、機会ともに、内容に記載の各項目が事業収益に与える影響を、相対的に小、中、大の3段階で評価しています。

 

③ リスク管理

 当社は、全社リスク管理のためにリスクマネジメント規程及び危機管理規程を制定しています。本規程に則り、リスク・コンプライアンス委員会において当社事業への影響が想定されるリスク情報が集約、管理されています。管理対象となるリスクは、当社事業への影響度などを基準に当委員会にて評価され、重要度の高いリスクに対して対応方針や対策を検討、策定のうえ、各部門において対策を実施する流れとなります。気候変動に関連するリスクについても、当委員会において全社のリスク管理プロセスに統合して管理されています。当連結会計年度においては、CO2排出リスクを評価・特定したうえで、当社グループの事業に与える影響を討議・確認しています。また、当社のリスク管理プロセスは、内部監査室によるリスク管理状況の監査と有効性評価が実施され、取締役会及び監査役会に報告されています。

 

④ 指標及び目標

 当社では、気候変動に関連するリスク管理及び機会実現の評価のため、温室効果ガス排出量を指標とする方針です。2021年12月期から温室効果ガス排出量の計測を実施しており、2035年でのScope1・2のネットゼロ実現を念頭に、カーボンニュートラルの実現に向けた中長期的な目標値を設定するとともに、Scope3を含めた温室効果ガス排出量の目標値を設定のうえ公表する予定です。

 

2021年度

(t-CO2)

2022年度

(t-CO2)

2023年度

(t-CO2)

Scope1(自社による温室効果ガスの直接排出)

1,085

961

926

Scope2(他社から提供された電気等の使用に伴う間接排出)

648

601

551

(注)当社事業所を対象として算出しています。

 

(3)人的資本

① ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスに関しては、サステナビリティ全般に関する考え方に組み込まれています。詳細については、「(1)サステナビリティ全般への取り組み ① ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

 当社グループの掲げる企業理念や経営上の目標を実現し、企業価値の向上を図るための源泉となるものは人材であり、人材こそが付加価値を生み出していくものと考えています。ゆえに、「当社グループの成長の源泉は、ヒトづくりである」との考えのもと、組織・人材の強化を目指しています。

 

1.D&Iの推進

 当社グループは、多様性とインクルージョン(D&I)を重視し、多様な人材の採用とキャリアの発展をサポートできるような積極的な取り組みを行っています。女性の活躍促進として、採用拡大や働きやすい職場環境づくりに取り組み、その一環として、長時間労働の削減や育児短時間勤務適用期間の拡大(中学校入学まで)などを実現しています。また、障がい者雇用における活躍促進の取り組みとして、屋内農園型障がい者雇用支援サービスIBUKIを導入しています。埼玉に開設した農園にてハーブ等の栽培・育成に従事しており、ダイバーシティの一環として生産したハーブを社内で配布し、その出来栄えの感想をフィードバックするなど相互コミュニケーションの場を設けています。

 

2.パフォーマンスの向上

 組織成果および個人のパフォーマンス向上を促進するため、役職者層を中心とした教育研修機会を強化しています。個々人が積極的にスキルアップするために、資格を取得することを奨励する資格推奨制度や、社外のオンライン講座やプロコーチによる個別コーチングなど、各種教育プログラムを用意しています。また、働きやすい環境づくりとして、社員一人ひとりが異なるライフステージや家庭状況にあることを踏まえ、多様で柔軟な働き方を選択しながら安心して働き続け、能力を最大限発揮できる職場を目指しております。また、出社勤務とともにテレワーク勤務を活用することができる勤務体制を取り入れ、組織と個人のパフォーマンス向上を行っています。

 

3.エンゲージメントの向上

 「働きがい」「エンゲージメント」の定期的な確認と意欲的に働き活躍することを支援し、経営と従業員の接点を強化、共有する仕組みを整備しています。

 四半期毎のエンゲージメント調査や毎月のパルスサーベイを実施し、従業員からの様々なアラートへの個別相談によるフォロー、組織コンディションの早期課題発見として活用しています。また、自身のキャリアプランにあった成長機会の提供を目的に社内から人材を募るキャリアマッチング制度を導入しています。

 その他具体的な取り組みに関しては、当社ウェブサイトをご参照ください。

https://www.broadleaf.co.jp/sustainability/diversity/

https://www.broadleaf.co.jp/sustainability/employee/

 

③ リスク管理

 人的資本に関するリスク管理に関しては、サステナビリティ全般に関する考え方に組み込まれています。詳細については、「(1)サステナビリティ全般への取り組み ③ リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、企業理念や経営上の目標を実現し企業価値の向上を図るために、人的資本分野での取り組みの実施と定期的なモニタリングは重要と考えており、各取り組みや指標データの収集を進めております。今後は、取り組みの中でもより重要なものを指標として選定し、目標を設定してモニタリングできるように進めております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努めるとともに、万が一リスクが顕在化した場合にはその影響を最小限にとどめるべく対応する所存であります。なお、以下のリスクは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境の変化と法規制について

当社グループは、主にモビリティ産業に対し、クラウドサービス及びパッケージシステムの提供を行っております。そのため、当社グループの業績は、かかる業界における競争環境、システム投資の動向、法規制の影響を受ける場合があります。当社グループは事業領域の拡大に努めておりますが、モビリティ産業へ新たな競合企業が参入した場合や、車検制度等の自動車関連の法規制が改正された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新への対応について

当社グループは、顧客や市場のニーズに対応した競争力のある商品・サービスの提供を目的として中期的な商品開発方針を定め、新技術の情報収集や研究開発に注力し、当社グループの成長を牽引する新商品を適切な時期に市場投入することに努めております。しかし、予想以上の急速な技術革新や代替技術・競合商品の出現、依存する技術標準・基盤の変化等により、新商品開発を適切な時期に行えず市場投入が遅れる場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) ネットワーク障害について

当社グループは、コンピュータシステム及びそのネットワークに商品開発や営業活動の多くを依存しているため、安全性を確保するように努めると共にコンピューター賠償責任保険への加入を行い、万一のための対策も講じております。しかしながら、地震・火災などの自然災害、コンピュータウィルスの感染、サイバーテロなどに起因するシステムトラブル、さらには、公衆回線などネットワークインフラの障害により、当社グループのシステムなどが正常に稼働しない状態が発生した場合には、当社グループの業務に直接障害が生じるほか、当社グループが提供するサービスの低下を招くなど重大な支障が生じることにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 第三者が提供するサービス基盤の障害について

当社グループの提供しているサービスの中には、第三者が提供するサービス基盤上に構築され顧客に提供されているものがあります。第三者側の問題でサービス基盤が停止することにより、当社グループのサービスが正常に提供することができない状態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 商品の不具合について

当社グループの事業におけるシステム開発及び構築等においては顧客の検収後にシステムの不具合(いわゆる誤作動・バグ)等が発見される場合があります。当社グループは、開発プロセスをより成熟させるための取組みを行っており、今後においてもシステムの開発段階から納品までの品質管理の徹底及びシステムテストによる検査等対応策を講じることで不具合等の発生防止に努めてまいります。しかしながら、今後、当社グループの過失によって生じた不具合等により顧客に損害を与えた場合や当社グループの商品が機能不足と認識された場合には、損害賠償責任の発生や当社グループの信用の低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 機密情報・個人情報の漏洩及び情報管理について

当社グループでは、商品開発及び営業活動におきまして、機密情報やノウハウ及び顧客・個人情報を取り扱っております。そのため機密情報管理体制の整備、社員教育の徹底や情報漏洩防止ソフトウェアの完備等の対策により、ネットワークを通じた機密情報への侵入、情報データの持ち出し等による機密情報の漏洩防止に努めております。しかしながら、外部からの当社グループコンピューターへの不正アクセス、当社グループ役員及び従業員の過誤等による情報の漏洩、その他不測の事態により、これらの情報が外部に流出する可能性は皆無ではなく、この様な事態が生じた場合、営業的損失や業務そのものの停止による損失にとどまらず、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、対応費用を含め当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 知的財産の保護及び侵害について

当社グループは、システム開発業務を行っており、円滑な事業運営のために商標及び特許出願等、知的財産権等の保護を図っております。しかしながら、一般的にシステム及びソフトウェア等に関する分野については、知的所有権の権利の範囲が必ずしも明確であるとはいえず、当社グループが知的所有権を取得している場合においても十分な権利の保護が得られない可能性があり、当社グループの知的財産権が侵害されることによって当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは第三者が保有する知的所有権侵害を防ぐため、専門家による調査を行っております。しかしながら、現在の特許制度のもとでは調査の限界もあり、厳密性を維持することが困難になってきています。また、当社グループが事業展開において用いる技術ノウハウ等について当社グループが認識しない第三者が既に知的所有権を取得している場合や今後において知的所有権を取得した場合には、使用差止及び損害賠償請求等の訴えを起こされる可能性や当該知的所有権の使用にかかるロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の獲得及び育成について

当社グループの事業領域の拡大を図るため、スキルが高い優秀な技術者や顧客へのコンサルティングサービスを提供するセールススタッフを確保することが必要不可欠であると考えております。そのため、当社グループは採用活動により優秀な人材を獲得すると共に、スキルアップ支援など積極的な教育を行っております。しかしながら、現在の情報通信産業は人材の流動性が高く、また技術革新の速度が非常に速いことから、適切な人材を獲得及び育成が想定どおりに進まない場合や在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 訴訟のリスクについて

当社グループは、事業を遂行していく上で、各種関係法令を遵守し、また社員がコンプライアンスを理解し、実践することに努めております。しかしながら、国内外を問わず訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 海外の事業展開について

当社グループは、中国及び東南アジア等において事業を行っております。これらの地域において、予期しえない景気変動、情報インフラの整備状況、知的財産保護の欠如、不安定な国際情勢及び法規制や租税制度の変更など、様々な問題及びリスクに対応できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 企業買収等について

当社グループは、今後の事業拡大及び収益力向上のため、国内外を問わず企業の買収や子会社設立、合弁事業の展開、アライアンスを目的とした事業投資等を実施する場合があります。当社グループは、投融資案件に対しリスク及び回収可能性を十分に事前評価し、投融資を行っておりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予測することは困難な場合があり、投融資先の事業が計画通りに進展しない場合や、効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、今後もシナジーを最大限に活用し、グループ全体の企業価値向上を目指してまいりますが、事業展開が計画通りに進まないことに伴う収益性の低下や時価の下落等に伴い、資産価値が低下した場合は、減損損失の発生や売却等での売却損により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 事業の継続について

当社グループは、日本を中心に中国及び東南アジア等の海外事業を展開しており、地震、台風や洪水等の自然災害、政治や経済の不安定な局面、新型ウィルス等の流行等の様々なリスクにさらされています。当社グループではこれらのリスクに対し、事前の予防対策及び発生時の緊急対応体制の整備等を行っておりますが、想定を超えた規模で発生した場合等は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)におけるわが国経済は、景気の緩やかな回復基調となった一方で、エネルギー価格の高騰や為替変動、中東情勢の影響など、景気を下押しするリスク要因もあり、不確実性が高い状況が継続しました。

IT投資動向に関しては、業務改革だけでなく生成AIを利用した新たなデジタルサービスの創出など、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが活発となりました。当社グループのお客様においても働き方改革や人手不足への対応に留まらず、生産性向上を目的としたサプライチェーンの再構築やデジタル行政への対応をはじめ、幅広い領域でIT投資が積極化しました。

このような経営環境のもと、当社グループは中期経営計画(2022-2028)に掲げる2つの成長戦略「クラウドの浸透」「サービスの拡張」を推進しています。具体的には、パッケージソフトをご利用中のモビリティ産業のお客様によるクラウドソフト『.cシリーズ』への切り替えを計画的に行うとともに、新たなお客様の獲得にも注力しています。また、クラウドソフトのメニュー拡充や性能向上に加え、当社グループが保有するビッグデータやAI技術を活用したプラットフォーム型サービスの研究開発を進めています。

当連結会計年度においては、パッケージソフトからクラウドソフトへの切り替えが進んだほか、新たなお客様の獲得も順調に推移したことから、クラウドサービス売上は前期比48.6%の増加となりました。また、モビリティ産業のお客様によるクラウドソフトへの切り替えが順調に進む中、非モビリティ産業向けパッケージソフトの大口案件の獲得により、パッケージシステム売上は同1.1%の増加となりました。

クラウドソフトへの切り替えに伴いサービス区分別売上の構成比に変化が生じますが、全体売上にとって増加要因となります。この増加要因は、モビリティ産業のお客様によるクラウドソフトへの移行が完了する2028年まで継続する見込みです。

コスト面では、クラウドソフトの機能拡張や性能向上に向けた開発を積極化するとともに、業務プロセスの効率化を推進しました。さらに、営業活動や管理業務におけるコストの最適化を進め、販売費及び一般管理費は前期比1億12百万円の減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上収益は180億45百万円(前期比17.3%増)となりました。営業利益は6億74百万円(前期19億2百万円の損失)、税引前利益は5億45百万円(同19億21百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3億43百万円(同14億87百万円の損失)となり、いずれも前期比で黒字転換しました。

なお、財政状態の状況については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (a) 財政状態の分析」に記載しております。

 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により得られた資金が65億31百万円、投資活動により使用した資金が43億8百万円、財務活動により使用した資金が18億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億86百万円増加の43億6百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、65億31百万円(前期比90.7%増)となりました。この主な要因は、契約負債の増加額31億17百万円、減価償却費及び償却費29億18百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、43億8百万円(前期比17.4%増)となりました。この主な要因は、投資の売却及び償還による収入3億31百万円があったものの、無形資産の取得による支出45億53百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、18億35百万円(前期は7億5百万円の収入)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入47億円増加があったものの、短期借入金の純減額29億円、長期借入金の返済による支出26億27百万円、リース負債の返済による支出8億80百万円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当社グループは、単一セグメントのため、製品及びサービス分野ごとに記載しております。

区分

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

クラウドサービス      (千円)

7,781,413

148.6%

パッケージシステム     (千円)

10,263,902

101.1%

合計(千円)

18,045,315

117.3%

(注)金額は販売価格によっております。

 

(b) 受注実績

当社グループは、主に業務アプリケーション製品の開発、販売及び保守の事業を行っており、個別受注に基づく製品の生産の割合が少ないため記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当社グループは、単一セグメントのため、製品及びサービス分野ごとに記載しております。

区分

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

クラウドサービス      (千円)

7,781,413

148.6%

パッケージシステム     (千円)

10,263,902

101.1%

合計(千円)

18,045,315

117.3%

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

なお、重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

当社グループは企業理念である「感謝と喜び」の心を根本として、中期経営計画(2022-2028)で掲げた2つの成長戦略「クラウドの浸透」「サービスの拡張」を推進し、計画最終年度となる2028年12月期の業績計画では、連結売上収益315億円、営業利益130億円(営業利益率41.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益80億円を目指しております。計画3年目の当連結会計年度は、お客様のDXニーズに沿った提案を積極的に実施し、引き続き主力商材『.cシリーズ』への切り替えを進めると共に、新規顧客の開拓を強化したものの、お客様総数は計画を下回る結果となりました。また、クラウドソフトウェアの販売対象となるお客様の規模や業種が広がったことで、ライセンス平均月額売上は計画を上回る結果となりました。

当連結会計年度における取組みとして、2024年5月に当社が開発・提供する製造業向け改善ソリューション『OTRS』が、株式会社日本能率協会コンサルティング(以下、JMAC)の「IoT7つ道具」に認定されました。「IoT7つ道具」とは、総合コンサルティングファームであるJMACが、製造業のクライアントがDX推進を検討する際、多数のDXソリューションの中から何を設定すれば良いか迷う、という課題を解決するため、2019年6月に独自に立ち上げた認定制度です。『OTRS』は、映像による動作分析・時間分析などの機能により、生産・製造現場の作業時間短縮・省力化・コスト低減を実現するソフトウェアです。実際の作業映像を分析することで、ムリ・ムダ・ムラをなくし、作業の標準化や改善によるコストダウン、品質の均一化を図ることができることに加え、作業手順書や動画マニュアルの作成も可能です。このほか、高精度な作業分析を可能にする『OTRS+AI』やモバイル端末で利用できる『Mobile OTRS』など、ものづくりの現場の即戦力として活用できるオプション機能を搭載しております。コロナ禍以降、原材料やエネルギーコストの上昇や人手不足など、大きく事業環境が変化している製造業が発展していくためにDXは必要不可欠であり、『OTRS』を活用した改善活動は、「IoT7つ道具」の評価基準に合致していると評価され、認定されました。

2024年8月には日本最大級の製造業の課題解決メディア『ものづくりドットコム』を運営する連結子会社である株式会社産業革新研究所が、国立大学法人東京工業大学 オープンイノベーション機構の『オープンイノベーションのためのエコシステム構築事業』に協賛機関として参画いたしました。今回の参画を通じて、双方の強みを活かし、製造業の活性化とイノベーションの加速を目指します。

2024年9月にはクラウド型自動車部品流通ネットワークシステム『Partsman.c』の提供を開始しました。当社グループは中期経営計画(2022―2028)において、クラウド基盤である『Broadleaf Cloud Platform』を起点とした「クラウドの浸透」と「サービスの拡張」を基本戦略としております。整備業向けの『Maintenance.c』、鈑金業向けの『Repair.c』に続き、新たに自動車部品商向けの『Partsman.c』の提供を開始したことで、基本戦略のひとつである「クラウドの浸透」を一層加速させるための強固な基盤が整いました。今後は当社のクラウドサービスと、『Broadleaf Cloud Platform』上で展開される様々な業種・業界のパートナー企業の多様なサービスを連携させることで、「サービスの拡張」を実行してまいります。そしてモビリティ産業の事業者のみなさまの業務効率化とともに、事業全体を支えるトータルマネジメントシステムへと進化してまいります。また、自動車ガラス商向けクラウドサービス『Glass.c』の機能拡張を実施し、提供を開始しております。第一弾として、2023年に業務に欠かせない「検索」、「見積」、「発注」に特化した機能の提供を開始いたしましたが、この度の機能拡張により、「受付業務」から「検索」、「見積」、「発注」、「作業指示」、「工程/動態管理」、「販売管理」、「請求業務」、「在庫管理」など、お客様の業務全般をカバーする機能を搭載しました。これにより幅広いユーザーの方々にご利用いただくことが可能になりました。

また、持分法適用関連会社であるZenmov株式会社(以下、Zenmov)は、NEDO(国立研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」の一環である「エネルギー消費行動の変容を目的としたスマートモビリティの実証研究(フィリピン)」(以下、本実証研究)の助成先として採択されています。Zenmovは現地協力企業と連携して、Zenmovが開発したクラウド型交通管制システム「Smart Mobility Operation Cloud」(以下、SMOC)の導入を完了し、2024年9月より実証運転を開始しました。実証運転の対象地は、フィリピンのスマートシティとして開発中のクラークエリアです。SMOCを導入・運用することで、同エリアでの公共交通の利便性、輸送効率を向上させ、エネルギー消費量と温室効果ガス(GHG)排出量の削減を目指します。

 

当連結会計年度の目標の進捗状況は、以下のとおりであります。

 

経営上の目標の達成状況

 

2024年12月期

目標

2024年12月期

実績

達成率(%)

売上収益(百万円)

17,600

18,045

102.5

営業利益(百万円)

50

674

1,348.2

親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円)

40

343

858.2

 

中期経営計画で成長戦略として掲げている「クラウドの浸透」の達成状況

 

2024年12月期

実績

クラウド化比率

24.0%

『.cシリーズ』ライセンス数

14,034

『.cシリーズ』ユーザー維持率

99.7%

『.cシリーズ』平均月額売上収益

24,319円/月

 

(a) 財政状態の分析

ⅰ.資産

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より31億45百万円増加の398億95百万円(前期比8.6%増)となりました。流動資産は11億57百万円増加の82億11百万円(前期比16.4%増)、非流動資産は19億87百万円増加の316億84百万円(前期比6.7%増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、営業債権及びその他の債権が6億54百万円、現金及び現金同等物が3億86百万円増加したことによるものです。非流動資産の増加の主な要因は、有形固定資産が3億20百万円減少したものの、無形資産が24億58百万円増加したことによるものです。

ⅱ.負債

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末より24億88百万円増加の167億51百万円(前期比17.4%増)となりました。流動負債は26億2百万円増加の136億81百万円(前期比23.5%増)、非流動負債は1億14百万円減少の30億71百万円(前期比3.6%減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、短期有利子負債が9億97百万円減少したものの、契約負債が31億17百万円、その他の流動負債が2億96百万円増加したことによるものです。非流動負債の減少の主な要因は、長期有利子負債が1億17百万円減少したことによるものです。

ⅲ.資本

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より6億57百万円増加の231億43百万円(前期比2.9%増)となりました。資本合計の増加の主な要因は、利益剰余金が3億50百万円増加、自己株式が1億19百万円減少、資本剰余金が1億10百万円増加したことによるものです。

 

 

(b) 経営成績の分析

ⅰ.売上収益

当連結会計年度の売上収益は180億45百万円(前期比17.3%増)となりました。これは、主力商材である『.cシリーズ』への切り替えを進めると共に、新規顧客の開拓を強化したことによりお客様数が増加したことによるものです。

当社グループはITサービス事業の単一セグメントでありますが、売上区分別の状況は次のとおりです。

 

(単位:百万円)

区 分

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

前期比(増減額)

クラウドサービス

5,236

7,781

2,546

ソフトウェアサービス

4,587

7,197

2,610

マーケットプレイス

649

584

△65

パッケージシステム

10,149

10,264

115

ソフトウェア販売

2,983

3,630

647

運用・サポート

7,166

6,634

△532

売上収益合計

15,385

18,045

2,660

 

ⅱ.営業利益

売上原価は63億34百万円(前期比4.8%増)となりました。これは、主にPCやモニター等の周辺機器の仕入高が増加したことによるものです。販売費及び一般管理費は111億10百万円(前期比1.0%減)となりました。これは、主に業務プロセスの効率化を推進し、さらに営業活動や管理業務におけるコストの最適化を進めたことによるものです。その他の営業収益は78百万円(前期比38.3%増)となりました。その他の営業費用は6百万円(前期比92.4%減)となりました。これは、主にのれんの減損損失が減少したことによるものです。

これらの結果、営業利益は6億74百万円(前期19億2百万円の損失)となりました。

ⅲ.当期利益

金融収益は37百万円(前期比31.5%減)となりました。金融費用は79百万円(前期比12.1%増)となりました。法人所得税費用につきましては前連結会計年度より6億9百万円増加の2億13百万円となりました。

これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は3億43百万円(前期14億87百万円の損失)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績は、外部要因としては①モビリティ産業の環境変化②技術革新への対応③法的規制④訴訟等により影響を受ける可能性があります。

一方、当社グループの経営成績に影響を与える内部要因としては、①システムトラブル②商品不具合③情報管理④知的財産の保護⑤人材の獲得及び育成等が挙げられます。当社グループは、継続的に内部管理体制の改善、組織体制を整備することでこれらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。

なお、経営成績に重要な影響を与える要因についての詳細につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

運転資金及び設備投資資金につきましては、内部留保又は金融機関からの借入により資金調達することとしております。金融機関からの資金調達につきましては、長期借入のほか、効率的な運転資金の調達を図るため、総額38億円のコミットメントラインを設定しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 

会社名

契約締結先

契約内容

契約締結日

契約期間

当社

一般社団法人日本自動車

整備振興会連合会

自動車整備標準作業点

数表等の入手

2021年10月22日

2022年4月1日から1年間

以後1年毎自動更新

当社

コグニビジョン株式会社

自動車部品情報の入手

2024年6月1日

2024年6月1日から1年間

以後1年毎自動更新

当社

コグニビジョン株式会社

自動車修理工数情報の

入手

2017年4月1日

2017年4月1日から1年間

以後1年毎自動更新

 

6【研究開発活動】

当社グループは、顧客や市場の広範囲にわたるニーズに対応した競争力のある商品・サービスの提供へ向けて研究開発を行っております。当連結会計年度では、Broadleaf Cloud Platformの機能拡張とプラットフォーム上で稼働する新しいクラウドサービスの開発を進めており、当連結会計年度の研究開発費は23百万円となりました。

今後、Broadleaf Cloud Platformの拡大を推進する中で、モビリティ産業向けシステム販売からの事業ドメイン拡大を掲げ、当社グループの強みであるモビリティ産業のデータベースを活用した分析サービスを順次提供していくことに加え、AI、Fintechやブロックチェーン等の先端技術を取り入れた革新的な事業を創出する企業への進化を目指し、研究開発を強化してまいります。