第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、「人間社会と自然環境からできるだけ有用な情報を集め、かつ、人間社会と自然環境にできるだけ有用な情報を発信する仕組みを提供することによって、自然環境と調和した人間社会の発展に貢献すること。」を企業理念とし、データセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション(ストレージ(大容量記憶装置)・ソリューション)を中心に業容を拡大し、多様化・複雑化する顧客ニーズを捉えてまいりました。また当社は、事業環境の変化に対応しながら、グループシナジーを創出し、子会社を含めた当社グループ全体で価値を創造してまいります。

 

(2)経営環境と経営戦略

生成AIやソフトウェア・ハードウェア技術の進化、企業のDX推進やデータ活用に対する取り組みに関連する市場の拡大等、情報通信業界は急速に変化しております。このような業界環境の中、当社グループに関連するデータセンター市場、クラウド市場は拡大傾向が続くと見込まれ、ケーブルテレビ市場も一定の規模があります。市場規模が拡大する中で、当社グループは成長機会を逃さないためにも事業環境の変化に対応し、コンピュータプラットフォーム事業とメディアソリューション事業の2つのセグメントで事業運営を行っております。

コンピュータプラットフォーム事業においては、当社は、データセンター、クラウド・ソリューション、デー タ・ソリューションを提供してまいりました。これまでの姿勢は、ITサービスを従来型のITベンダー企業の供給者側論理に基づく取組姿勢でした。しかし、世界は、DX(デジタル変革)という一大転換点を迎えております。当社としては、このDXという転換点を、過去の供給者側論理によるITシステムの利用ではなく、需要者側論理に基づく、ユーザー企業主導のITシステムの利用であると位置づけ、 DXビジョンの起点といたします。また、日本の社会課題として、首都圏と大企業への一極集中があります。
 当社は、今後、ユーザー視点に立脚し、社会課題を解決し、地方創生と中小企業の活性化に貢献できるよう3つの事業の変革を行い、ユーザーが最適なデータセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューションを享受できる環境を整備し、ユーザー企業が自由に当社のサービスとソリューションを選択可能とする以下の事業変革を引き続き行ってまいります。
 まず、データセンター事業の刷新を図ります。具体的には、RTT (Round-Trip Time、ラウンドトリップタイ ム、信号やデータを発信してから、応答が返ってくるまでにかかる時間)で分類し、全国からデータが集中する全国型 DC(National Data Center)(RTT:20~100ms)をコアデータセンターとして位置づけます。次に、新たに政令指定都市などの地域の中心都市に地域型データセンター(Regional DC)(RTT: 5~20ms)、さらに、新世代モバイル通信網である5GおよびBeyond5Gの低遅延特性を活用するエッジ型データセンター(RTT:1~5ms)の三階層データセンターを整備し、ユーザー企業や政府・自治体へのニーズに応えてまいります。これらの施策の一環として、データセンター事業におけるアセットライト事業モデルの推進、ハイパースケールデータセンター事業への進出に取り組んでまいります。
 次に、クラウド事業の刷新を図ります。具体的には、自社オリジナルのクラウドサービスの性能、機能、信頼性を向上させ、当社の提供するデータセンターで各種クラウドサービスの利用促進を図る接続環境を強化してまいります。また、海外の巨大IT企業の提供するメガクラウドサービスやSaaS事業者との連携も強化してまいります。
 また、ストレージ事業の刷新を図ります。スケールアウト(台数による大型化可能な)NAS(Network Attached Storage、アプライアンス〔専用〕ストレージ)、SDS(Software Defined Storage、汎用サーバを多数接続しソフトウェアで定義した統合型ストレージ)、ハードディスク型ストレージ、半導体型ストレージのあらゆる組み合わせ提供を可能としてまいります。
 当社は、上記3つの刷新によって、ユーザー企業が、特定のクラウドベンダーやITベンダーにロックインされ ず、柔軟性のある情報システムを構築できるようユーザー企業のDXを支援するために、DataセンターカンパニーからDXセンターカンパニーへの転換を図ってまいります。
 メディアソリューション事業においては、ジャパンケーブルキャスト株式会社(以下、JCC)は、日本全国のケーブルテレビ事業者向けのコンテンツプラットフォーム、日本全国のケーブルテレビ事業者及び地方自治体向けに展開しているインフォメーションプラットフォームを提供してまいりました。JCCの属するケーブルテレビ業界が、放送の高画質化(SD標準から4K8K超高精細)、限定受信方式(CAS)の効率化・高セキュリティ化(C-CASから ACAS)等、大きく変化しております。次世代放送サービスへのスムーズな移行を進めるとともに、トータルオペレーションの効率化を図ってまいります。なお、地方自治体のデジタル化推進により、防災や地域情報配信に関するニーズが高まっています。これに伴い、ケーブルテレビ業界が持つ地域密着型の特性を活かし、ケーブルテレビ事業者を通じて自治体との連携を強化し、防災や地域情報発信に関わる事業の拡大を進めてまいります。

また、当社グループ内における連携だけでなく、グループ外の他企業との連携も図り、新たなサービスの創出に努めてまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループでは、売上高成長率、営業利益率等、持続的成長性及び収益性に関する財務的指標の向上を目指した事業運営を推進しております。

 

(4)優先的に対処すべき課題等

当社グループはDX(デジタルトランスフォーメーション)センターカンパニーとしての特徴を生かし、2つの事業セグメントに区分し、事業展開しております。以下の課題に対処してまいります。

①中期的な目標達成に向けた業績向上への継続的な取り組み

当社は、公表いたしました2025年12月期業績予想値、2025年から2027年のROE8%とする中期的な目標の達成に向けて、業績向上への継続的な取り組みを実施いたします。具体的には、1.データセンターでは、当社の強みである都市型データセンター「新大手町サイト」の中長期的な稼働率の向上と新たな事業領域の進出に取り組みます。新たな事業領域では、2026年開業に向けた合同会社石狩再エネデータセンター第1号でのアセットライト事業モデルへのシフト及び、ハイパースケールデータセンター等大規模なデータセンター開発プロジェクトの立ち上げを目指してまいります。2.クラウド・ソリューションでは、収支改善に伴い売り上げと利益が増加傾向にあり、今後は自社クラウド関連の案件増加を通じて、更なる業績向上に取り組みます。3.データ・ソリューションでは、データストレージの市場拡大を見据え、主力である「Dell PowerScale / Isilon」等のプロダクト拡販及び保守サービスの活用提案に加え、カナダSuperna社が開発したサイバーセキュリティソリューション「Eyeglass」の提供による付加価値を高め、安定的な利益基盤の強化に取り組みます。

 

②企業価値向上のための中長期的なサステナビリティへの取り組み

当社は、持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすとともに、中長期的な視点でのサステナビリティは企業価値向上のため重要な施策と位置付けております。環境負荷の低減、情報セキュリティ、人的資本の活用等、当社におけるサステナビリティへの重点テーマを模索し、その取り組みを促進させるため、より充実した推進体制の構築に取り組みます。

 

③人材の確保や育成

当社グループが今後も継続的に事業を発展させるためには、当社グループの成長に必要な人材と新人の確保・育成及び、とりわけ優秀なエンジニアの確保が必要であると考えております。そのため、定期的な新卒採用及び中途採用を実施し、バランスのとれた採用及び人材の育成強化や適正配置を図りながら、事業成長を支える人材の確保・育成に努めてまいります。

 

以上の課題に取り組み、データセンター業界のリーディングカンパニーとして、企業価値を高めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業理念である「人間社会と自然環境からできるだけ有用な情報を集め、かつ、人間社会と自然環境にできるだけ有用な情報を発信する仕組みを提供することによって、自然環境と調和した人間社会の発展に貢献すること」を実現するため、以下に取り組んでおります。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループは、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティをめぐる課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、SDGs(持続可能な開発目標)などの国際規範にも沿ったサステナビリティに関する諸方針として、「ブロードバンドタワーグループサステナビリティ方針」を整備しております。

なお、上記の方針の下、当社はマテリアリティ(優先課題)を特定しており、今後のサステナビリティに関する取組を促進させるため、より充実したガバナンス体制の構築等を目指してまいります。

 

②戦略

サステナビリティにおけるマテリアリティ(優先課題)として、気候変動を挙げております。今後、より包括的な気候変動戦略を策定し、TCFDの提言に沿った気候関連リスクと機会の分析、およびそれに基づく戦略の開示を目指します。

なお、現段階では、以下の取り組みを通じて気候変動対策を推進しております。

気候変動については、地球温暖化の抑制に向けた取組が世界中で加速する中、これまでも当社は、当社の主力事業であるデータセンターにおいて、さまざまな省エネルギー・省資源対策を行ってまいりました。データセンターは、その性質上、一般にサーバ・通信機器・ストレージなどの稼働およびそれらの冷却に大量の電力を消費しており、当社が運営するデータセンターでは、以下の通りさまざまな省エネルギー・省資源対策を行っております。

(ア)「新大手町サイト」における再生可能エネルギーでの電力供給:

新大手町サイトは電力使用に伴う二酸化炭素 (CO2) の排出量は実質ゼロであり、年間約8,000トンの排出量の削減が見込まれます。トラッキング付FIT非化石証書活用による再エネ電力は、「地球温暖化対策推進法」(温対法) に基づき、電気の使用に伴う排出量をゼロとして算定することが可能となります。またRE100、CDP、SBT4といった様々な国際的なイニシアティブにも適応可能となります。これにより、環境配慮に向けた企業活動を推進できるデータセンターとして主力で最新の新大手町データセンターの完全再生可能エネルギーによる電力調達を実現しました。

(イ)事業領域の拡大における再生可能エネルギーの利用:

2024年6月、当社は合同会社石狩再エネデータセンター第1号と建物賃貸借予約契約、コンサルティング業務委託契約および建物管理業務委託契約を締結し、2026年の開業に向けた本格的な事業推進を開始しました。北海道石狩市の再生可能エネルギー100%で運用される本施設は、国内外のデータセンター需要増加に対応し、クリーンエネルギー活用の先駆けとなることを目指しています。石狩再エネデータセンターは、冷涼な気候を活用し、再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱)を最大限に利用することで、環境負荷を低減します。また、北極海経由の海底ケーブル敷設計画が進む中、ヨーロッパやアメリカとの最短通信ルートを確立する戦略的な拠点としても注目されています。今後、データセンターの持続可能な運営を支援しながら、再エネの活用拡大に取り組んでまいります。

(ウ)太陽光発電事業:

当社は、群馬県みなかみ町に太陽光発電所(メガソーラ―)を設置しており、太陽光発電事業について、開始当初より環境負荷の低減につながる活動を継続的に推進しております。

 

今後は、これらの取り組みを基盤として、より具体的な気候変動対応戦略を策定し、気候変動に関するリスクおよび機会の特定を進めるとともに、持続可能な社会の実現に向けた施策を強化してまいります。

 

③リスク

サステナビリティ全般に関するリスクの対応は、組織横断的に実施するため常勤の取締役6名で構成される常勤役員会にて、必要に応じて、審議しております。今後は、コーポレート・ガバナンス体制を通じる等、サステナビリティ全般の各種方針・事業、マテリアリティ(優先課題)におけるリスクおよび機会の特定を行い、議論を重ね、より充実したリスク管理体制の構築を目指してまいります。

 

④指標及び目標

上記の通り、サステナビリティをめぐる課題への対応について、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しておりますが、現時点ではサステナビリティ全般に関する指標および目標について、具体的な数値の設定はしておりません。今後は、サステナビリティ全般の各種方針・事業、特定したマテリアリティ(優先課題)における評価指標や具体的な事例、実績等、サステナビリティ全般に関わる検討を行い開示の拡充に努めてまいります。

 

(2)情報セキュリティへの取組

当社は、持続可能な社会の実現に向けて17の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するには、当社事業と関連性のあるデジタル技術やデジタルサービス等の浸透によるDXが必要不可欠と考えております。同時に、特に、サイバー攻撃が社会に与える影響はより甚大になっていくと考えており、そのサイバーリスクに対するサイバーセキュリティの確立が重要であると認識しております。当社のこの取組を、グループ全体に共有しつつ、各グループ会社は、自社の事業に即した取組を検討中であります。

 

①ガバナンス

当社は、2005年に社内システムの情報セキュリティ確立のため、情報セキュリティマネジメントシステム (ISMS) の国際規格である ISO/IEC 27001 (JIS Q 27001) の認証を取得し、全社へ適用範囲を拡大し継続運用しております。

また、当社の提供するクラウドサービスである「c9 Flexサービス Vシリーズ/Nシリーズ」について、ISO/IEC 27017 (ISMS クラウドセキュリティ)認証を取得しております。ISO/IEC 27017とは、通常のISO/IEC 27001 認証に加えて、クラウドサービス固有の管理策(ISO/IEC 27017) が適切に導入、実施されていることを認証するものです。なお、国内企業として初めて取得したクラウドセキュリティアライアンス (CSA) のクラウドコントロールマトリックス (CCM)を用いた認証制度である「STAR認証」は、自己評価に切り替え、最高位である「ゴールド」レベルの運用基準を維持する等、安全なサービスの提供に努めております。

情報セキュリティに関しては、必要に応じて、内部統制室およびISMSに関する専門的なチームより、常勤の取締役6名で構成される常勤役員会へ提言を行い、情報セキュリティ全般に関わる方針や取組を検討いたします。

 

②リスク

情報セキュリティに関するリスクに適切に対処するべく、当社は社内に内部統制室およびISMSに関する専門的なチームを設置しており、必要に応じて、常勤の取締役6名で構成される常勤役員会へ検討状況等を報告いたします。

また、特にサイバーリスクに対する対応は、迅速かつ最新の情報収集が必要であると認識していることから、社内の内部統制室及びISMSに関する専門的なチームが主導し、近年のランサムウェアによる攻撃の増加等最新の情報収集や社内システムにおける情報セキュリティに関するインシデント、事故の検知・対応・報告・周知する体制を確立しております。周知は、情報共有という形式で全社的に毎月実施しており、全社的にサイバーリスクの低減に努めております。

 

(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは、企業価値の向上のため、多様なバックグラウンドを有する優秀な人材を確保・育成し、社員それぞれの意思や能力、状況に応じた柔軟な働き方を選択できる制度の導入、非金銭的報酬としての当社の本社オフィス環境の提供等、生産性向上やワーク・ライフバランスの実現に取り組んでおります。

 

①優秀な人材の確保

さまざまな人がアイデアを出し合うことで当社グループ全体としてのサービスの質の向上にもつながると認識しており、これまで採用において性別、国籍、学歴などにとらわれない採用活動に取り組んでおります。また、新卒者だけでなく、優秀な経験者の採用も進めており、若年層においては業務経験等に応じて研修を実施する等、育成に注力し、組織力向上を図っております。管理職への登用につきましては、性別等による区別なく、会社のミッションに共感し、優れた能力・スキル、実績を有する管理職にふさわしい人物を登用しております。

 

②柔軟な働き方と快適なオフィス環境

時差勤務制度、テレワーク勤務制度を導入しており、育児介護休業制度や業界水準を上回る年間休日の設定等とあわせ、業務内容や社員自らの意思、社員個々の事情に応じて、柔軟な働き方を選択できるようにしております。

また、一部の子会社も同居する当社の本社オフィスでは、業務に応じて働く場所をフレキシブルに選択できるABW(Activity Based Workplace)を導入し、社員一人ひとりのパフォーマンスを最大限発揮できるよう環境を整えております。

 

③指標及び目標

上記のとおり、当社グループは、性別、国籍、学歴などに関わらず、グループ各社の事業活動に必要な人材を登用しており、持続的な企業価値向上のために人材投資は重要と認識しておりますが、現時点では、人材採用の指標及び目標、また、人的資本に関する指標及び目標について具体的な数値の設定はしておりません。今後も一人ひとりの能力を最大限発揮できる環境を整備し、具体的な数値の設定も検討してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業活動に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業もしくは本株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

 

① 当社グループの事業内容について
a)事業環境について

 (当社について)

調査会社の調査によると、データセンタービジネス市場は、IoT、人工知能などのシステム基盤としての需要増が見込まれるIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)の伸びが期待されるとともに、BCP(Business Continuity Plan)を意識したデータセンターへのシステム運用のアウトソース化や冗長化を意識した複数センターの利用、データセンターの老朽化による新設データセンターへのシステム移設等の要因で、今後も成長が望める市場であります。しかしながら、価格競争の激化、顧客ニーズの多様化等、引き続き厳しい競争環境下にあると認識しております。

当社は、2018年8月に新大手町サイトを開設し、更なるノウハウの蓄積に取り組むとともに、新規事業や新サービスを創出し、より付加価値の高いサービスを提供することで競合会社との差別化を図っておりますが、開設から20年以上運用している大手町のデータセンター(第1サイト)については売り上げの減少に伴う利益の減少を見込んでおります。このような状況の中で、当社が優位性を発揮し一定の地位を確保できるか否かについては不確実な面があります。

今後、さらに競争が激化し競合他社の影響等により、サービス価格引下げ等に応じざるを得ない事態が生じた場合、お客様との契約内容の見直しによる影響が生じた場合、及び新データセンターの受注・稼働状況が計画に比べ大幅な乖離が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、新たに進出するハイパースケールデータセンター事業については、ハイパースケールデータセンターの需給バランス、土地情報の有無、電源へのアクセスの有無、共同投資家との交渉等の様々な不確実性がありますが、可能な限り早期の実現を目指してまいります。

(ジャパンケーブルキャスト株式会社について)

連結子会社ジャパンケーブルキャスト株式会社(以下、JCC)の売上高は、ケーブルテレビ事業者、番組供給事業者及び有料多チャンネル放送契約世帯数等のケーブルテレビ関連市場に依存しております。ケーブルテレビの有料多チャンネル放送契約世帯数の規模は大きいものの、他の動画配信サービス等との競合や、視聴者の趣味嗜好の変化、人口減少等によってケーブルテレビの有料多チャンネル放送契約世帯規模が縮小した場合、あるいはこのような傾向を受け、当社サービスを利用するケーブルテレビ事業者が有料多チャンネル放送サービスの提供を終了するような場合、料金体系が改定された場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、新4K8K衛星放送が開始されたことに伴い、JCCでは次世代高精細放送の普及促進並びにプラットフォームの拡充に向け、ACASに対応した高度ケーブル自主放送サービスにて2K(HD)・4Kチャンネル配信を実施しており、これらへの対応には多額の投資や費用が生じております。このため、想定した売り上げが計上できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

b)システム障害について

当社のデータセンターは、大規模地震に耐えられる耐震構造または免震構造、ガス消火設備、停電時に備えてバックアップ電源として非常用自家発電装置の設置、ネットワークの冗長構成等、24時間365日安定した運用ができるように、最大限の業務継続対策を講じております。
 しかしながら、サイバーアタック、システム・ハードの不具合、電力会社の電力不足や大規模停電、想定した規模をはるかに超える地震、台風、洪水等の自然災害、戦争、テロ、事故等予測不可能な事態によってシステム障害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

c)データセンターの情報セキュリティ管理について

当社のデータセンターサービスは、顧客企業のサーバを預かり、インターネットへの接続環境を提供する他、サーバ運用に伴う様々なサービスを提供しております。データセンター設備内部におきましては監視カメラによる監視を行っているほか、顧客ごとに付与する専用入館カードによって入退出の制限と記録管理を行う等、厳重なセキュリティ体制を構築し、万全を尽くしております。

しかしながら、何らかの原因で、万一、外部からの不正アクセス等により情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループに対する損害賠償の請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

d)データセンターの賃貸借契約について

当社は、データセンター用の不動産(データセンター用フロア)を自社で保有することなく、他社の不動産(データセンター用不動産)に自社の仕様にあわせた設備を設置、顧客にサービスを提供するデータセンターを中心に展開しております。

当社としては、不動産の所有者との間で賃貸借契約を締結しておりますが、所有者が何らかの理由で、契約の継続につき全部もしくは一部を拒絶した場合、または契約内容の変更等を求めてきた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

e)電力事情について

当社のデータセンターでは顧客のサーバを設置するとともに、インターネットへの接続回線や保守・運用サービス等を提供しているため、災害や停電等異常時にもサービス継続が可能な設備が必要となります。さらに、消費電力量が多い施設であるため、様々な施策のもと、データセンターの省電力化の対策を進めておりますが、昨今の国際情勢等に伴うエネルギー価格の高騰等に起因する電気料金の更なる引き上げが発生し、それにより顧客との取引に支障が出るような場合、当社グループの事業及び今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、電力消費に関して地球温暖化に係る環境規制等がデータセンター事業者に対してなされた場合も、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

f) 法的規制について

当社は、電気通信事業者として総務省に届出を行っており、電気通信事業法及び関連する省令等を遵守しております。現在のところ、これらの法律による規制の強化等が行われるという認識はありませんが、今後これらの法律及び省令が変更された場合や当社グループの事業展開を阻害する規制がなされた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

g) 主要顧客との取引について

当社グループの主要顧客は、LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)であり、2023年12月期の売上高に占めるLINEヤフーの割合は9.1%であり、2024年12月期の同割合は10.6%と上昇しております。売上高に占めるLINEヤフーの割合は、上昇しており、同社に対する依存度は高い傾向が続いております。今後、LINEヤフーのデータセンターに対する活用方針の見直しや転換等がなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

h) ファンド事業について

当社の連結子会社であるGiTV株式会社は、GiTV FundⅠInvestment,L.P.及びGiTV FundⅡInvestment,L.P.を組成しております。しかしながら、GiTV FundⅡInvestment,L.P.のファンド募集において出資者から十分な資金を集めることができない場合には、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、全てのファンドにおいて、投資先の業績が悪化した場合や投資時点において想定した通りに投資先が事業を展開できない場合には、投資有価証券の評価損が発生する可能性や、投資の回収ができない可能性があります。加えて、投資先の株式等が市場において十分な流動性を有していない場合や、経済環境の変動、法規制の変更、政治的要因等の影響により、当初の計画通りに資金化できない可能性があります。これにより、エグジット機会が制約され、投資回収が困難となる可能性があります。

i) 新規投資について

当社グループが事業拡大を行うためには、設備投資、シナジー効果を見極めた上での企業再編や資本提携が必要であります。しかしながら、投資のための資金、投資後の投資先の管理体制、投資による会計上の減損処理の発生の可能性等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

j) 固定資産の減損や投資有価証券の評価損について

当社グループが保有する固定資産や投資有価証券について、経営環境の悪化等により事業の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合には、固定資産の減損損失や投資有価証券の評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

k) シンジケートローンによる資金調達に伴う財務制限条項への抵触に伴うリスク

当社は新データセンターへの投資のために、取引銀行等5社とコミット型シンジケートローン契約を締結しています。当該契約には一定の財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

財務制限条項の内容については、以下のとおりでありますが、当連結会計年度末において、当該財務制限条項に抵触しておりません。

・2018年6月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計額を、2017年6月期末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の80%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の80%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。

・2020年12月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における連結損益計算書に記載される経常損益を2回連続して損失としないこと。

 

② その他
a)人材の確保や育成について

当社グループの成長に必要な人材と新人の確保・育成及び、とりわけ優秀なエンジニアの確保が必要であると考えております。そのため、定期的な新卒採用及び中途採用を実施し、バランスのとれた採用及び人材の育成強化や適正配置を図りながら、事業成長を支える人材の確保・育成に努めてまいります。しかしながら、人材確保や優秀な人材の流出や育成・採用等が計画通りに進まない場合は、事業推進を行う上で、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

b)配当政策について

当社は、中長期的に企業価値を向上させるとともに、株主の皆様へ利益還元することを重要な経営課題として取り組んでおります。当社は、将来の事業展開に必要な内部留保を確保しながらも、継続的かつ安定的な配当による株主還元を行う考えでありますが、業績、財政状態及びその他の状況の変化によっては、配当政策に影響を及ぼす可能性があります。

c)コーポレート・ガバナンス体制について

当社では、企業価値の向上を図り、企業の社会的責任を果たし、社会やステークホルダーから高い信頼や誠実な企業として認識を得るためには、透明性が高く環境の変化に迅速に対応できる経営体制の確立とコンプライアンス遵守の経営を追求することが不可欠であると考えており、コーポレート・ガバナンス体制の充実を、経営の最重要課題と位置づけて積極的に取り組んでおります。
 また、更なるガバナンス体制を構築するために、当社及び当社グループが一丸となって内部管理体制を構築できるよう取り組んでおります。しかしながら、適材適所における人材配置等適切な体制や整備に時間を要する場合には管理体制に支障をきたす可能性があります。

d)筆頭株主との関係について

当社の筆頭株主である株式会社インターネット総合研究所とは今後も良好な協力関係を継続していく予定ですが、同社の経営方針の変更等が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善がみられるなど緩やかな回復基調が続いております。一方で、不安定な世界情勢や、円安を背景とした資源価格や原材料価格の高騰、さらには欧米諸国での政策金利の引き上げによる為替相場の変動、米国新政権の動向など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属する情報サービス産業においては、生成AI、ソフトウェア・ハードウェア技術の進展、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応やデータ活用に対する取組み等により、データセンター市場、クラウド市場等は今後も中長期的に拡大していくと見込んでおります。
 このような環境の下、当社グループは、当社グループが展開するコンピュータプラットフォーム事業とメディアソリューション事業について、事業の変化に対応しながら事業運営をおこなっております。
 
 当連結会計年度におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。

 

(コンピュータプラットフォーム事業)

コンピュータプラットフォーム事業においては、データセンター、クラウド・ソリューション、データ・ソリューション、その他に分け、サービスを展開しております。

データセンターでは、昨今のデータ通信量の増加により、低遅延かつ優れた接続性を特長とした都市型データセンターの需要が高く、今期計画のネットワークサービス等の販売が好調に推移した結果、売り上げが増加しました。また、サービス価格の見直しやデータセンターの運用コストの削減等、事業全体の収支構造を改善した結果、増益となりました。なお、新大手町サイトの契約率・稼働率は、高い水準を維持しております。また、2024年6月には、北海道石狩市において再生可能エネルギー100%で運用されるデータセンター(以下、「石狩再エネDC」)の事業化に向けて、合同会社石狩再エネデータセンター第1号(以下、「ISRD」)と、建物賃貸借予約契約、コンサルティング業務委託契約および建物管理業務委託契約を締結しました。石狩再エネDCでは、建物や設備をISRDが所有し、当社はISRDから建物管理業務の委託を受け、併せて、石狩再エネDCのテナントとして一部の区画内でデータセンター事業を展開する予定です。今後はこの石狩再エネDCでの実績を基に、SPC(Special Purpose Company)を用いたストラクチャーやパートナー企業との協業モデルを積極的に活用し、これまでよりも更にアセットライトな事業モデルにシフトすることによって、ハイパースケールデータセンター等、大規模なデータセンター開発プロジェクトの立ち上げを目指しております。

この結果、データセンターの売上高は5,115百万円(前年同期比0.9%増)となりました。

クラウド・ソリューションでは、クラウド市場の拡大を背景に、当社独自のc9サービス、SaaS(Software as a Service)サービス等の売り上げは堅調に推移し、パブリッククラウドサービス等の売り上げは増加しました。

この結果、クラウド・ソリューションの売上高は1,928百万円(前年同期比20.5%増)となりました。

データ・ソリューションでは、大容量化への対応、安定運用等、お客様のニーズに即したストレージの活用方法を提案しております。当社では、主力としてDell Technologies社製の「Dell PowerScale / Isilon」、ランサムウェア対策としてカナダSuperna社が開発した「Eyeglass」ソフトウェア製品群の日本国内での提供・サポートを行っております。また、日本を代表する大手自動車企業や大手証券会社、大手法律事務所向けの案件を獲得しました。また、大規模環境で活用されるペタバイト規模の拡張性をもつ「Scality RING」の大型案件を獲得しております。一方で、大型案件の反動減により、前年同期に比べ売り上げが減少しておりますが、保守サービス等の売り上げ増加により、増益しております。

この結果、データ・ソリューションの売上高は2,582百万円(前年同期比7.7%減)となりました。

その他では、株式会社ティエスエスリンクが情報漏洩対策ソフトウェア製品の開発、販売等を行っております。受注が堅調に増加し、その他の売上高は167百万円(前年同期比4.1%増)となりました。

以上の結果、コンピュータプラットフォーム事業の売上高の合計は、主にクラウド・ソリューションの売り上げ増加により、9,792百万円(前年同期比1.7%増)となりました。営業利益は、主にデータセンターにおける事業全体の収支構造の改善およびデータセンター関連サービス等の売り上げ増加により566百万円(前年同期は15百万円の損失)となりました。

 

(メディアソリューション事業)

メディアソリューション事業では、ジャパンケーブルキャスト株式会社がケーブルテレビ事業者向けデジタル多チャンネル配信のプラットフォームサービス「JC-HITS」を中心としたコンテンツプラットフォームのサービスと、ケーブルテレビ事業者のコミュニティチャンネル向けデータ放送配信サービス「JC-data」と地方自治体向け「地域・防災DXサービス」を中心としたインフォメーションプラットフォームのサービスを展開しております。

コンテンツプラットフォームのサービスは、ケーブルテレビ局の多チャンネル放送サービスのユーザー数の減少が影響し、売り上げが減少しました。また、インフォメーションプラットフォームのサービスは、地方自治体によるデジタル田園都市国家構想関連の補助金利用の活発化を背景に、新規受注を獲得し、売り上げが増加しております。

この結果、メディアソリューション事業の売上高は、インフォメーションプラットフォームのサービスの売り上げ増加があったものの、コンテンツプラットフォームのサービスの売り上げ減少により3,555百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は、インフォメーションプラットフォームのサービスの売り上げ増加と販管費等の削減等により、227百万円(同166.1%増)となりました。メディアソリューション事業を取り巻く環境下では地方自治体によるデジタル田園都市国家構想関連の補助金利用が活発化しており、引き続き、インフォメーションプラットフォーム関連サービスの販売促進活動を精力的に行い、売り上げの増加を目指してまいります。

 

 以上の活動により、当連結会計年度における当社グループの売上高は13,423百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は668百万円(前年同期は84百万円の損失)となりました。経常利益は営業利益の増加の他、投資事業組合運用益等の営業外収益が増加したことにより889百万円(前年同期は152百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として固定資産減損損失および投資有価証券評価損を計上したものの、経常利益の増加により404百万円(前年同期比305.3%増)となりました。

 

② 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における総資産合計は、売掛金、有形固定資産および無形固定資産等は減少したものの、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ313百万円増加19,791百万円となりました。

負債合計は、未払法人税等、前受金、その他流動負債は増加したものの、借入金の返済に伴う減少等により、前連結会計年度末に比べ20百万円減少7,790百万円となりました。

純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の増加に伴う利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ334百万円増加12,000百万円となりました。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の42.6%から1.1ポイント増加し43.7%となりました。

なお、当社は、新大手町サイトの投資に伴う資金需要に対し、機動的な資金調達を行うため、2018年3月に取引銀行等5社と総額40億円のコミット型シンジケートローン契約を締結しており、当連結会計年度末の本契約に基づく借入金残高は18億75百万円となりました。

 

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末と比較して1,438百万円増加し、7,585百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上の他、非現金支出費用である減価償却費およびのれん償却等の計上、売上債権の減少、未払消費税等およびその他の流動負債の増加等により2,761百万円の収入(前年同期は737百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入はあったものの、有形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出等により585百万円の支出(前年同期は595百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入、GiTV Fund Ⅱ Investment,L.P.への非支配株主からの払込みによる収入等はあったものの、長期借入金の返済による支出、配当金の支払等により737百万円の支出(前年同期は996百万円の支出)となりました。
 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
 

 

 

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

自己資本比率(%)

36.2

38.9

39.9

42.6

43.7

時価ベースの
自己資本比率(%)

84.0

47.6

48.6

40.4

57.0

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(%)

281.1

317.7

262.0

494.2

106.3

インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)

40.5

32.9

40.5

19.8

81.4

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

(受注実績)

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

金額(千円)

コンピュータプラットフォーム事業

9,792,977

101.7

メディアソリューション事業

3,555,213

99.3

合計

13,348,191

101.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

LINEヤフー株式会社

1,199,166

9.1

1,419,233

10.6

ソフトバンク株式会社

1,578,269

11.9

709,204

5.3

 

3 セグメント別販売実績の合計と連結損益計算書の売上高との差額75,289千円は、報告セグメントに帰属しない収益であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 ① 経営成績等の分析

 (売上高)

売上高は前年同期比1.4%増となる13,423百万円となりました。連結売上高における事業別(セグメント別)の構成比率は、コンピュータプラットフォーム事業が約73%(前年同期約73%)、メディアソリューション事業が約27%(前年同期約27%)となり、売上高の構成比率は前年同期とほぼ同一となりました。

 (営業損益)

営業利益は668百万円(前年同期は84百万円の損失)となりました。営業利益を事業別に区分すると、コンピュータプラットフォーム事業が566百万円(前年同期は15百万円の損失)、メディアソリューション事業が前年同期比166.1%増となる227百万円となっております。コンピュータプラットフォーム事業は、主にデータセンターにおける事業全体の収支構造の改善およびデータセンター関連サービスの増収効果により増益となりました。メディアソリューション事業は、主に地方自治体向け地域防災DXソリューション等のインフォメーションプラットフォームサービスの増収効果の他、販管費等の削減により増益となりました。

 (経常損益)

経常利益は889百万円(前年同期は152百万円の損失)となりました。これは営業利益の増加に加えて、主にGiTV Fund Ⅰ Investment,L.P.およびGiTV Fund Ⅱ Investment,L.P.等に係る投資事業組合運用益125百万円(前年同期は投資事業組合運用損54百万円)、投資有価証券売却益51百万円(前年同期は5百万円)を営業外収益として計上したことにより増益となりました。

 (税金等調整前当期純損益)

税金等調整前当期純利益は471百万円(前年同期は215百万円の損失)となりました。当期はコンピュータプラットフォーム事業において固定資産減損損失196百万円(前年同期は4百万円)、GiTV Fund Ⅰ Investment,L.P.において投資有価証券評価損220百万円(前年同期は181百万円)を特別損失として計上したものの、経常利益の増加により増益となりました。

 (親会社株主に帰属する当期純損益)

親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比305.3%増となる404百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。

 

 ② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達及び資金の流動性については、自己資金のほか、金融機関からの借入により行っております。なお、新大手町サイトへの投資資金として機動的な資金調達を行うため、2018年3月に取引銀行等5社と総額40億円のコミット型シンジケートローン契約を締結しており、当連結会計年度末の本契約に基づく借入金残高は18億75百万円であります。また、ハイパースケールデータセンター事業への進出のため、2021年12月21日開催の取締役会において、第三者割当による新株式及び第11回新株予約権の発行を決議し、資金需要の充足を図っております。

 

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a)投資有価証券の減損

当社グループは、市場価格のない株式等について、投資先の財政状態等に基づき実質価額を評価し、当該価額が著しく低下し、回復可能性が見込めないものについて減損の対象としております。

 回復可能性の評価にあたっては、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、経営環境等の変化により、個々の投資先に関する状況の変化があった場合、投資有価証券の評価に影響を及ぼす可能性があります。

 b)有形固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

割引前将来キャッシュ・フローの総額は、各社の事業計画を基礎としておりますが、経営環境の変化等により、当該計画の見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 c)のれん及び顧客関連資産の減損

当社グループは、のれん及び顧客関連資産が帰属する資産グループに減損の兆候があり、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

割引前将来キャッシュ・フローの総額は、各社の事業計画を基礎としておりますが、経営環境の変化等により、当該計画の見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 d)繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、各社における将来減算一時差異等残高について、各社の収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の見積りによって、繰延税金資産の回収可能性を各社ごとに判断したうえで繰延税金資産を計上しております。

一時差異等加減算前課税所得の見積りは、各社の事業計画を基礎としておりますが、経営環境の変化等により、当該課税所得の見直しが必要となった場合、繰延税金資産の計上額に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

(1) 第1サイトに関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

2006年3月1日

建物賃貸借契約

自:2006年3月1日
至:2008年5月31日
(以後2年毎の自動更新)

2022年7月31日

サービス利用契約

自:2022年8月1日
至:2023年7月31日
(以後1年毎の自動更新)

 

 

(2) 第3サイトに関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

KDDI株式会社

2005年9月1日

データセンターサービス契約

 自:2005年9月1日
 至:終期なし

(ただし、事前通知により解約することが出来る) 

 

 

(3) 西梅田サイトに関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

住友不動産株式会社

2005年12月27日

貸室賃貸借契約

自:2006年1月1日
至:2015年12月31日
(以後2年毎の自動更新)

 

 

(4) 第5サイトに関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

富士ソフト株式会社

2014年12月26日

データセンターサービス契約

自:2015年2月1日
至:2020年2月29日
(以後1年毎の自動更新)

 

 

(5) 新大手町サイトに関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

みずほ信託銀行株式会社

日本郵政株式会社

日本郵便株式会社

株式会社ゆうちょ銀行

株式会社かんぽ生命保険

日本電信電話株式会社

独立行政法人都市開発機構東日本都市再生本部

エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社

2018年7月20日

施設等賃貸借契約

自:2018年8月15日
至:2033年2月14日
(以後2年毎の自動更新)

 

 

(6) 販売先とのデータセンターサービス基本契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

ヤフー株式会社

2003年3月31日

以下のサービス及び設備の提供

(1) インターネットへの接続(インターネット接続サービス)

(2) インターネット接続サービスを利用するための機器(対象ハードウェア)の販売

(3) 対象ハードウェアを保管・運用するスペースの使用権(スペースサービス)

(4) 上記(1)から(3)までのサービス及び対象ハードウェアに関する管理、企画及びコンサルティング(プロフェッショナルサービス)

 自:2009年8月31日
 至:2011年8月30日

(以後原則1年毎の自動延長)

 

 

(7) 業務・資本提携に関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

ヤフー株式会社

2009年8月31日

(1) ヤフー株式会社に対し、データセンターサービスを安定的かつ継続的に、市場競争力のある価格にて提供するよう努める。

(2) ヤフー株式会社と協力して、データセンターサービスの運用に伴うコストの圧縮を行う。

(3) ヤフー株式会社が指名した取締役候補者1名を選任する場合には必要な法令上の手続を実施する。

(4) ヤフー株式会社との間で締結されているデータセンターサービス関連契約の契約期間を本契約締結日から2年間とする。当該契約期間満了後は、事前に書面による契約終了の通知がない限り、自動的に原則1年間延長され、以後も同様とする。

自:2009年8月31日

至:契約終了を書面 で合意するまで

 

 

(8)石狩再エネデータセンター事業に関する契約

契約先

契約年月日

契約の内容

契約期間

合同会社石狩再エネデータセンター第1号

2024年6月28日

建物管理業務受託契約

自:2026年4月1日
至:2041年3月31日
 (以後原則2年毎の自動更新)

 

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は104百万円であり、主にコンピュータプラットフォーム事業に係るものであります。

コンピュータプラットフォーム事業では、当社内に設置したCloud&SDN研究所において、データセンターとクラウド・ソリューションに関連して、SDN(Software Defined Networking)技術を応用したInternet eXchange(IX)の研究及び実証実験を進め、学術系IX (DIX-IE) の接続提供と、活動を通して得た技術応用としてデータセンター顧客のセンター間、クラウド、IXサービスとの相互接続するサービス(dc.connect NeX)のプロダクト基礎技術を開発・提供するとともに、更なる高度化にも取り組んでおります。同研究所では、都市型データセンターの競争力強化を目的に、データセンター間接続に使われる次世代の光伝送技術、最新ネットワーク技術であるEgress Peer Engineering (以下、EPE) の研究開発を進めております。光伝送技術は、データセンター間の接続に使われている長距離の光ファイバーの接続を、大容量化、多重化し、低遅延で伝送する技術であり、データセンター間接続でコスト効率が良い網設計と、それに伴う高速な光伝送部材の調査と実験を実施しております。これらの取り組みで得た技術は、当社ネットワーク設計ならびに、当社プレゼンス向上を目的に業界全体への貢献の為、コミュニティ活動を通した技術フィードバックを行っております。EPEは、ネットワークの混雑状況に応じて最適な経路を動的に選択する技術であり、コンテンツ配信の効率化、通信の低遅延化、高スループット化を実現します。この技術により、より快適なユーザー体験を提供するとともに、ネットワーク運用コストの削減にも貢献します。また、総務省の情報通信機構の共同研究において、「Beyond 5Gに資するワイドバンドギャップ半導体高出力デバイス技術/回路技術の研究の受託開発」に取り組んでおります。本研究では、ローカル5Gの特長である超高速・大容量通信、多数同時接続、超低遅延・高信頼通信の実現を目指し、高出力・低消費電力化したパワー半導体や広帯域線形回路技術の開発を進めています。

当社は、研究開発を通じて、データセンターおよびネットワークサービスの品質向上と運用効率の最適化を図り、顧客満足度向上と事業競争力の強化を目指します。なお、連結子会社の株式会社ティエスエスリンクでは情報漏洩対策ソフトの開発を進めております。