第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前中間会計期間については中間財務諸表を作成していないため、前年同中間会計期間との比較分析は行っておりません。

 

(1)財政状態の状況

(資産)

 当中間会計期間末における流動資産は1,312,267千円となり、前事業年度末に比べ44,140千円減少いたしました。これは主に契約資産が180,600千円、原材料及び貯蔵品が41,987千円増加したものの、現金及び預金が372,230千円減少したことによるものであります。固定資産は208,978千円となり、前事業年度末に比べ47,994千円増加いたしました。これは主に投資その他の資産が57,328千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は、1,521,245千円となり、前事業年度末に比べ3,853千円増加いたしました。

 

(負債)

 当中間会計期間末における流動負債は638,132千円となり、前事業年度末に比べ279,060千円増加いたしました。これは主に短期借入金が200,000千円、未払金が97,869千円増加したことによるものであります。固定負債は253,930千円となり、前事業年度末に比べ38,760千円減少いたしました。これは長期借入金が38,760千円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、892,062千円となり、前事業年度末に比べ240,300千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当中間会計期間末における純資産合計は629,182千円となり、前事業年度末に比べ236,447千円減少いたしました。これは主に新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,361千円増加したものの、中間純損失の計上により利益剰余金が246,352千円減少したことによるものであります。なお、欠損填補により資本金452,420千円及び資本準備金686,174千円を繰越利益剰余金に振り替えております。

 この結果、自己資本比率は40.5%(前事業年度末は56.7%)となりました。

 

(2)経営成績の状況

 当社は、「見えないリスクを可視化する」とのビジョンのもと、ドローン・ロボット等(以下「ドローン等」という。)により取得したインフラ施設・設備等の情報を、顧客の安全性・生産性向上に資するデータに加工し提供することで、喫緊の社会課題であるインフラ等の老朽化への対処や、人手不足・担い手不足解消のためのソリューションを展開しております。当該課題解決が、国内外企業の産業競争力の強化と、当社のミッションである「誰もが安全な社会を作る」の実現につながると考えております。また、将来的には、当社の得意とする屋内の閉鎖空間(狭く、暗く、危険な空間が多い)を自由に飛行する自律型ドローンや、鉄道業における人手不足や安全性の課題を解決するための鉄道環境に特化したドローンソリューションを展開するべく、研究開発活動や事業活動を進めております。加えて、日本国内におけるユーザーと同じ課題を抱える海外企業への展開を通じて、日本のモノづくりを海外へ広めることも使命の一つとして考えております。

 

 当社がソリューションを提供している事業領域は、プラントメンテナンス・インフラメンテナンス・建設業界であり、施設・設備の老朽化・人手不足といった共通の課題を持っております。当社の主力製品・サービスであるドローン・デジタルツインは、上述の事業領域における社会課題を解決するソリューションとして期待されており、年々ニーズは高まっています。ドローン市場は2028年に9,054億円(出典:インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2024」)、DX市場は2030年に2.3兆円(出典:株式会社富士キメラ総研「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)にまで拡大する見込みであります。また、ドローン市場においては、2020年9月に、内閣府から関係省庁へ申し合わせがなされており、例えば、国民保護法に定められる生活関連等施設に該当する発電施設・ダム・鉄道施設等に用いられるドローンに関しては、セキュリティが担保されたドローンを調達する方針で、民間企業においても当該方針に追随する動きがあります。加えて、海外においても、米中摩擦に起因し米国において中国製ドローンを排除する動きや、当該動向に追随するオーストラリアやインドなどの潮流もあり、日本産ドローンが国内外問わずプレゼンスを獲得できる環境が整備されつつあります。

 さらに、目視点検等アナログな手法の代替手段の一つとして、ドローン等のデバイスやデジタル技術を用いた点検が導入・普及されることを企図し、2023年6月14日に、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律が可決され、ドローンによる点検の認知度向上が期待されております。加えて、国土交通省は、2020年3月にBIM/CIM(※1)の活用ガイドラインを発表しBIM/CIMの原則適用を進めており、図面等の管理手法・建設現場の管理・維持管理の在り方の抜本的な変革の流れや、働き方改革関連法案に基づき2024年4月1日から始まった、建設や物流などの適用猶予事業者に対する労働時間規制強化の動きもあります。

 

 このような環境の中、インフラ業界のDXを進めるべく、屋内狭小空間におけるドローン点検の社会実装や、アナログ手法による設備点検や調査のデジタル化を推進するため、当社の成長戦略に沿った様々な活動を行いました。

 具体的には、2025年1月にKDDIスマートドローン株式会社と、ドローンやデジタルツイン事業の分野において、両社の知見及びネットワークその他の経営資源を相互に有効活用し、事業の更なる拡大を進めることを目的として業務提携を開始しました。また、2025年1月に埼玉県八潮市にて発生した道路陥没事故において、当社開発の狭小空間点検ドローン「IBIS2」を用いて、事故発生以降調査困難であった下水管の内部調査を行いました。

 その他の活動としては、主要業界の深掘りによる業界拡張とユースケース増大を企図し、世界最先端の研究施設「J-PARC」にて当社のドローン技術で施設点検の効率化と自動化を推進するプロジェクトを開始しました。また、デジタルツイン事業のサービス領域拡大のため、西部ガスホールディングス株式会社と共同実証実験を実施し、「IBIS2」とレーザースキャナーを活用した建物のBIM化に成功し、建設業界のデジタル化に向けた取り組みを進めました。

 

 さらに、下記の通り、当中間会計期間においても新たに自治体等との取組み実績が増え、各機関との連携拡大を進めております。

機関・自治体

内容

取組背景

陸上自衛隊

南海トラフ地震を想定した大規模訓練「南海レスキュー訓練」に参加

陸上自衛隊中部方面隊と連携し、各種検証を実施

連携や

取組範囲拡大

富山市

富山市上下水道局が保有する浄化センター内の配管や雨水貯留施設などの付設設備において、人が進入できない或いは進入することが困難・危険なエリアの点検を実施

連携や

取組範囲拡大

千葉市

当社の小型ドローン「IBIS2」が千葉市トライアル発注認定事業に認定

認定期間中、競争入札によらず千葉市との随意契約が可能となる

本領域に関する

事業化推進

 

 

 そして、成長戦略のうち、前事業年度に採択された内閣府の主導するSBIR制度(※2)に基づく国家プロジェクト3件も下記の通り順調に進捗いたしました。

SBIR案件名

管轄・

主導先

内容

進捗

「災害時に生き埋めになった生存者を迅速に捜索するセンシング技術やロボティクス技術の開発」

経済産業省

及び警察庁

災害現場にて生き埋めになった生存者を捜索するドローン技術の開発プロジェクト

要件定義、仕様調整、設計及び開発が完了

2025年2月に警察庁が提供する実験設備での実証実験が成功し、今後は警察庁と活用可能性について協議を進める

建設施工・災害情報収集における高度化省力化・自動化・脱炭素化の技術開発・実証

国土交通省

建設現場の業務効率化を目的としたドローンを用いたDXソリューション開発プロジェクト

補助金の最大交付額4.7億円

3次元データを活用できる出来高/出来形業務を主なターゲットとしてユースケースの検討を完了

現場実証を重ね、具体的なビジネスモデルの検討、及びソリューション開発を継続

「鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術開発・実証」

国土交通省

鉄道環境に対応したドローンを用いた鉄道点検ソリューションの構築を目指すプロジェクト

補助金の最大交付額52億円

原理試作機の開発が進捗中

2025年夏ごろに各システムの連結試験を計画

 

 また、海外に関する活動としては、2024年11月1日付で韓国に当社の100%子会社であるLiberaware Korea Co., Ltd.を設立しており、市場開拓に向けた活動を進めております。

 その他、屋内狭小空間における自律型ドローンをはじめとした次世代IBISや次世代ソフトウェア等のプロダクト開発に係る研究開発活動も順調に進捗いたしました。

 以上の活動の結果、当中間会計期間の経営成績は、売上高615,134千円、営業損失306,233千円、経常損失244,722千円、中間純損失246,352千円となりました。

 

[用語解説]

※1 BIM/CIM:BIMとは、「Building Information Modeling」の略称であり、コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに管理情報などの属性データを追加した構築物のデータベースを、建物の設計、施工から維持管理までのあらゆる工程での情報活用を行うためのソリューションを指す。

CIMとは、「Construction Information Modeling」の略称であり、管理対象となる機器などを識別したり複数の対象間の関係を記述する方法を定めた標準を指す。

 

※2 SBIR制度:SBIR制度とは、「Small Business Innovation Research」の略称であり、内閣府を司令塔とした予算支出目標を設定、研究開発初期段階から政府調達・民生利用まで、各省庁連携で一貫支援し、イノベーション創出、ユニコーン創出を目指す制度を指す。

 

 なお、当社はインフラDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。当社の主なサービス別に区分した売上高の状況は次のとおりであります。

 

 

(単位:千円)

事業別名称

当中間会計期間

(自 2024年8月1日

  至 2025年1月31日)

ドローン事業

点検ソリューション

128,326

プロダクト提供サービス

169,505

小計

297,831

デジタルツイン

事業

データ処理・解析サービス

96,937

デジタルツイン

プラットフォーム

31,147

小計

128,084

ソリューション開発事業

189,217

合計

615,134

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ372,230千円減少し、689,015千円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、466,534千円となりました。これは主に、税引前中間純損失244,722千円、契約資産の増加額180,600千円、未払金の増加額107,940千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、65,633千円となりました。これは主に、関係会社株式の取得による支出52,177千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、159,937千円となりました。これは主に、短期借入金の増加額200,000千円、長期借入金の返済による支出38,760千円によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 当中間会計期間における研究開発活動の金額は、295,627千円であります。

 なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(8)経営成績に重要な影響を与える要因

 該当事項はありません。

 

(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。