当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当社グループは、「医食の研究で貢献」というミッションを掲げ、人々の持続可能な健康的で幸せな社会の実現を目指しております。
その実現に向け、食品、化粧品、医薬品の開発を科学的根拠に基づいて行い、独自の研究成果及び製品を「BtoB事業」「BtoC事業」「バイオメディカル事業」の3事業において広く社会に提供しております。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、経済・社会活動の正常化が進み、インバウンド・賃上げの動きにより、緩やかな景気回復基調が続く一方、欧米諸国の金利引下げにより金融政策による為替変動、円安の進行による物価上昇、中東情勢の深刻化による地政学リスクの高まりなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するヘルスケア業界におきましては、機能性表示食品制度を巡る今後の在り方が議論されるなど、食品の安全性に注目が集まっておりますが、消費者の医療、健康及び美容に対するニーズは引続き継続しております。
こうしたヘルスケアニーズに応えられるリーディングカンパニーとなるべく、当社グループは「中期経営計画2026」のテーマ「新価値創造 1Kプロジェクト」を掲げております。この実現のため、研究開発投資、新製品の開発及び販売チャネルの開拓、組織体制の強化に注力いたしました。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に採択された「バイオものづくり革命推進事業」では、繊維、農業及び電子材料素材など幅広い産業利用に適した特性を持つ「卵殻膜素材」を開発・量産化するための投資を行っております。
特に、卵殻膜繊維「ovoveil(オボヴェール)」は、販売開始に向けた製品開発、生産設備への投資、販路拡大に注力いたしました。
新製品への投資では、当第2四半期連結会計期間において、新規顧客獲得件数が前四半期末と比べ65,000件超増加するなど、顕著な転換を実現いたしました。これは、医薬品・医薬部外品の新製品を中心に、顧客獲得効率の向上の機会を捉え、投資額を急増(前四半期末比19.6%増)させたことによります。顧客獲得ペースは、2023年7月期第2四半期以来の2年ぶりの高い水準であり、当期及び来期の収益に大きく寄与いたします。
これらの取り組みにより、当社グループの研究開発費は638百万円(前年同期比32.4%増)となりました。新製品育成のための広告宣伝を強化すると同時に、既存製品は広告宣伝費全体の最適化を進めており、当中間連結会計期間における広告宣伝費は、17,442百万円(前年同期比2.7%増)となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は29,857百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益は623百万円(前年同期比59.4%減)、経常利益は645百万円(前期同期比58.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は229百万円(前年同期比70.1%減)となりました。
前第2四半期連結会計期間から当第2四半期連結会計期間までの各四半期別の業績推移は以下のとおりです。
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前期 |
当期 |
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前第2四半期 連結会計期間 |
前第3四半期 連結会計期間 |
前第4四半期 連結会計期間 |
当第1四半期 連結会計期間 |
当第2四半期 連結会計期間 |
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売上高(百万円) |
15,510 |
15,518 |
14,975 |
14,596 |
15,260 |
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営業損益(百万円) |
933 |
1,730 |
1,847 |
882 |
△258 |
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経常損益(百万円) |
937 |
1,680 |
2,025 |
888 |
△243 |
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
<バイオメディカル事業>
①創薬事業
創薬事業では、「自己免疫疾患」及び「がん」や「炎症性疾患」等の難治性疾患を対象とした抗体医薬品及びペプチド医薬品の研究開発を行っております。
a.抗体医薬品
抗体医薬品開発の基盤となる「ALAgene technology(アラジンテクノロジー)」は、これまで治療できなかった疾患に対する抗体及び既存医薬品よりも優れた薬効を持つ抗体を作製する当社独自のプラットフォーム技術です。
当社は、本技術を用い、自己免疫疾患を対象として開発した抗体医薬品候補に関して、2021年に田辺三菱製薬㈱とライセンス契約を締結しておりました。当連結会計年度においては、本抗体医薬品候補について、田辺三菱製薬㈱による第Ⅰ相臨床試験(臨床試験ID:jRCT2031240187)が開始されました。
さらに、本技術を活用・高度化することで、当社は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(国際競争力のある次世代抗体医薬品製造技術開発)」における主要メンバーとして参画しております。本事業において当社は、あらゆる疾患を標的とした次世代抗体医薬品候補となり得るリード抗体の取得に成功し、低分子抗体や二重特異性抗体等の次世代抗体医薬品の開発プロセスに進んでおります。
「自己免疫疾患」においては、当社内の「国際PAD※1研究センター」において、一連のPAD関連ターゲットに対する創薬研究を推進しております。
「がん」や「炎症性疾患」等の各種難治性疾患においては、標的分子に対する抗体を取得・精製し、薬効薬理試験等の創薬研究を推進しております。
この他、専門チームによるAI創薬にも積極的に取り組んでおります。抗体作製におけるヒト化やアフィニティマチュレーションなどの工程をAI等のIT技術を活用することで、大幅に開発の効率化を図っております。
b.ペプチド医薬品
当社は、当連結会計年度において国立循環器病研究センターと、指定難病のカダシル(英文名:CADASIL)に対するペプチド医薬品開発を目指した共同研究を開始いたしました。カダシルは、ある遺伝子の異常により脳梗塞や認知症などの重篤な症状を引き起こしますが、いまだ根本的な治療方法はありません。
当社は、国立循環器病研究センターと共同でカダシル治療薬開発を推進し、難病に苦しむ患者様に有効な治療薬を届けることで、人々の健康に貢献いたします。
②研究支援事業
研究支援事業では、タンパク質を網羅的に解析するプロテオーム解析を受託サービスとして行っております。最新機種を用いた「DIAプロテオーム解析」により、高精度・短納期なサービスを実現しております。
また、微量なタンパク質の変化が解析可能な「Olink Target」サービス及び「Olink Flex」サービスも、国内の研究機関、製薬企業等からの受注が堅調で、バイオメディカル事業における収益獲得に貢献しております。
以上の結果、バイオメディカル事業の当中間連結会計期間の売上高は、135百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント損失は199百万円(前期同期は224百万円のセグメント損失)となりました。
<BtoB事業>
BtoB事業では、機能性素材、健康食品及び医薬品等の研究開発及び製造を行い、食品・医薬品メーカー、流通事業者等に販売をしております。当事業が属する機能性表示食品及び健康食品等ヘルスケア市場は、健康維持、増進への高い意識を背景に、市場規模が拡大しております。
機能性素材の売上高は、1,308百万円(前年同期比38.3%増)となりました。当社の主力商品である「ファーマギャバ」は、北米地域のサプリメントメーカー向け販売が好調を維持するなど、GABAの市場拡大が継続しております。また、国内では、大手コンビニチェーン向けのデイリー食品に「ファーマギャバ」が採用されました。日常の食事からGABAを摂取する機会の増やす取り組みを通じ、市場拡大を目指してまいります。
機能性製品の売上高は、289百万円(前年同期比22.2%減)となりました。国内販売では、自社ブランド製品(NB※2)など最終製品について、コンビニ、ドラッグストアなど流通事業者向け販路拡大に注力いたしました。これらの販路拡大をさらに推し進めるため、2024年10月に伊藤忠商事㈱と資本業務提携契約を締結いたしました。同社がもつネットワークを通じて、当社の機能性素材・機能性製品を国内・海外市場へ販売してまいります。
明治薬品㈱が手がける医薬品製造受託の「CMO※3事業」の売上高は、1,648百万円(前年同期比25.8%減)となりました。新工場建設を見据え、中長期的な受託案件の拡大に向け、製薬メーカーへの営業活動を強化しております。
また、同社の機能性食品・医薬品をドラッグストアチャネル等で販売を行う「CHC※4事業」の売上高は513百万円(前年同期比18.7%減)となりました。自社製品販売の強化策としての、ドラッグストア専売の「ニューモ育毛剤」は、テスト販売で高い売上実績を達成したため、大手チェーンでの配荷拡大に注力しております。
以上の結果、当中間連結会計期間のBtoB事業の売上高は3,760百万円(前年同期比9.8%減)、セグメント利益は709百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
<BtoC事業>
BtoC事業では、「発明企業の通販事業」として当社独自の機能性素材を配合したサプリメント及び医薬部外品(「タマゴ基地」ブランド)並びに化粧品(「フューチャーラボ」ブランド等)、明治薬品㈱が製造する機能性表示食品等の商品を、通信販売方式で消費者へ直接販売を行っております。
魅力的な新製品開発及びその魅力が伝わるプロモーション強化を目指し、顧客獲得効率指標のCPO※5及び収益性指標のLTV※6を重視する広告宣伝費の適正化を図りながら、広告宣伝投資を積極的に行ってまいりました。
特に、当第2四半期連結会計期間における広告宣伝費は9,436百万円となり、2023年7月期第2四半期以来2年ぶりの高い水準となりました。この結果、2025年1月末時点の当社グループ全体の定期顧客件数は、前四半期末と比べ65,065件の増加に転じ、796,729件(前年同期900,914件、前年同期比11.6%減)となりました。
「医薬品・医薬部外品」の売上高は、19,382百万円(前年同期比2.5%増)になりました。明治薬品㈱が手がける「ラクトロン錠」「てんらい清流錠」「ノルクスK錠」「ヘルスパンC錠」など、医薬品新製品を中心に新規顧客獲得が好調に推移し、同社の定期顧客件数は前期末から2.2倍となりました。主力の「ニューモ育毛剤」の累計出荷件数は、2025年2月17日時点で3,000万本を突破いたしました。また、医薬品「ニューZ」は、WEB広告での受注が好調な結果、ニューモブランド全体の定期顧客件数の増加につながりました。
その他製品群につきましては、収益性指標を重視し、広告宣伝費の抑制を行った結果、「サプリメント」の売上高は3,271百万円(前年同期比21.7%減)、「化粧品」の売上高は2,842百万円(前年同期比28.4%減)となりました。
以上の結果、BtoC事業の当中間連結会計期間の売上高は、25,958百万円(前年同期比5.1%減)、広告宣伝費は、17,324百万円(前年同期比2.7%増)、セグメント利益は985百万円(前年同期比43.1%減)となりました。
※1 PAD (Peptidylarginine deiminase):標的タンパクのアルギニンをシトルリン化する酵素
※2 NB (National Brand):自社ブランド商品
※3 CMO(Contract Manufacturing Organization):医薬品製造受託機関
※4 CHC(Consumer Health Care):ドラッグストアでの医薬品及び機能性食品等の販売
※5 CPO(Cost Per Order):顧客1件を獲得するために要した広告宣伝費
※6 LTV(Life Time Value):顧客生涯価値
②財政状態の状況
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,597百万円減少し、32,975百万円(前期比9.8%減)となりました。これは主に、現金及び預金の減少4,559百万円、繰延税金資産の増加563百万円、仕掛品の増加285百万円によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ4,059百万円減少し、20,927百万円(前期比16.2%減)となりました。これは主に、短期借入金の減少4,000百万円、長期借入金の減少446百万円、未払法人税等の減少376百万円、広告宣伝費の増加等による未払金の増加904百万円によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ462百万円増加し、12,048百万円(前期比4.0%増)となりました。これは主に、自己株式の処分による増加1,174百万円、配当金の支払による利益剰余金の減少421百万円、その他有価証券評価差額金の減少271百万円によるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間の末日における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,559百万円減少し、11,006百万円(前期比29.3%減)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益645百万円、減価償却費336百万円、売上債権の増減額205百万円、棚卸資産の増減額△170百万円、未払金の増減額849百万円、未収消費税等の増減額△299百万円、法人税等の支払額△1,313百万円の計上等により、19百万円の収入(前年同期は2,835百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△425百万円、投資有価証券の取得による支出△64百万円等により、464百万円の支出(前年同期は602百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額△4,000百万円、長期借入金の返済による支出△446百万円、自己株式の処分による収入761百万円、配当金の支払額△421百万円等により、4,110百万円の支出(前年同期は1,542百万円の支出)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更または新たな発生はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、638百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
該当事項はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループを取り巻く事業環境は、「(1)財政状態及び経営成績の状況 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は長期借入金を基本としております。
なお、当中間連結会計期間の末日における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、12,456百万円となっております。また、当中間連結会計期間の末日における現金及び現金同等物の残高は、11,006百万円となっており、必要な資金は確保されていると認識しております。
(9)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
借入に関する契約
当社は、運転資金の機動的な調達を目的として、株式会社滋賀銀行との間でコミットメントライン契約を締結いたしました。
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資金使途 |
運転資金 |
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借入先 |
株式会社滋賀銀行 |
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借入極度額総額 |
3,000百万円 |
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借入利率 |
基準金利+スプレッド |
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契約締結日 |
2024年12月30日 |
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契約期間 |
3年間 |
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担保等の状況 |
無担保、無保証 |
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財務制限条項 |
① 各連結会計年度の末日における連結貸借対照表において、純資産の部の合計額を、前連結会計年度の末日における純資産の部の合計額の75%以上に維持すること。 ② 各連結会計年度の末日における連結損益計算書において、2期連続して経常損失を計上しないこと。 |
資本業務提携契約
当社は、2024年10月22日開催の取締役会において、伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事」)との間で資本業務提携を行うことを決議し、同日資本業務提携契約を締結いたしました。
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相手先 |
契約締結日 |
内容 |
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伊藤忠商事 |
2024年10月22日 |
当社グループがもつヘルスケア分野における研究開発力・製品開発力と、伊藤忠商事がもつ国内外への販売力・事業開発力を強固に連携し、両社の業績及び企業価値向上を目指す。 ①業務提携の内容 ・当社グループが開発・製造した機能性素材・機能性製品を、伊藤忠商事が持つネットワークを通じて国内・海外市場へ販売する ・協業推進のために必要な人材リソース及びノウハウ等の提供及び共有を行う ②資本提携の内容 当社は、第三者割当による自己株式の処分により、伊藤忠商事に普通株式872,400株を割り当てる。 |