第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

a.ミッション

 当社は「make IT simple」というミッションを掲げております。企業はコーポレート・ガバナンスを強化し、常にビジネスの「見える化」を進めています。更に、環境・グローバル・M&A等を考慮し、ビジネスモデルを含め、あらゆる変化に対応するためITを強化しています。これらに迅速に対応するためには、ITをsimpleにまとめ上げ、様々な変化に対して迅速に対応する必要があります。まさに時代は「make IT simple」を求めています。当社は「make IT simple」を実現するソフトウエア製品、サービスを提供してまいります。

b.製品・サービスの指針

 当社が目指す製品とサービスの指針は「Less is More」です。バウハウス(注)第3代目校長であった建築家ミース・ファン・デル・ローエ氏の言葉より「無駄を省くことで、さらにより良いものになる」という考えでパフォーマンスの高い製品開発を続け、お客様に喜んでいただけるサービスを常に強化しています。

c.経営理念

 当社の経営理念は「謙虚・誠実・進取」です。人を敬い尊敬することで相手を認め(謙虚)、人や仕事に真面目に対応し(誠実)、自ら進んで新しいことを取り入れてまいります(進取)。

d.CREDO

 当社は、当社の従業員が心がけるべき行動指針として以下のCREDOを掲げています。

・イノベーションを起こすことにチャレンジするベンチャーです

 ベンチャーのメンバーであることを自覚して、成長し続けるために誠実に努力し、イノベーションを起こすために謙虚に学び、変化や失敗を恐れずに全力でチャレンジを続けます。

 

・お客様を大切にする会社です

 カスタマーサクセスに関係のないメンバーは一人もいないことを自覚し、お客様の話をよく聞き、課題を把握し、お客様の質問に真摯に応え、お客様がイメージしている理想を超える良いサービス・製品を安定的に提供し続けます。カスタマーサクセスを実現できるメンバーを集めて育て、すべての活動をカスタマーサクセスに生かすよう努めます。

 

・シンプルで洗練された会社であり続けます

 シンプルで洗練された会社であり続けるために構成されたメンバーであることを自覚し、当たり前の活動とは何かを常に考え、自らの意思で難しいといわれることにチャレンジし、効率よく物事を進めるためにフォーカスし、高いレベルで活動するよう努めます。

 

・私たちはスピードが速く、柔軟にチャレンジする会社です

 強い意識をもちスピード感のある活動を行い、社会環境の変化を敏感に感じ、変化を恐れず、柔軟に対応していくよう努めます。また、行動せずに問題を起こさないことを良しとするのではなく、チャレンジすることを良しとする雰囲気を大切にするよう努めます。

 

・謙虚で誠実な行動をとるメンバーの集まりです

 経営理念である「謙虚」「誠実」を実践することを常に心がけて活動していきます。

 お客様、パートナー、社内外メンバーに関係なく相手を尊重し、理解に努め、謙虚な言葉と行動をとるよう努めます。

 

・適切なコミュニケーションが取れるメンバーの集まりです

 適切なコミュニケーションをとり、会社・チーム・個人の目標が同じベクトルになるよう努め、バランス感覚を持って活動します。

 

 (注) 1919年、ヴァイマル共和政期ドイツのヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校

 

(2)経営戦略等

 当社はSFA、CRM、会計、契約、ファイルストレージといった多彩なクラウドサービスとの親和性の高いサービスを提供することで、各クラウドサービスの特長を最大限に活かしながら、「つながる」ことでこれまでにない価値を創出するということを武器に、それをより強固なものとし、データオプティマイズソリューション及びセールスマネジメントソリューションを安定的に成長させると共に収益向上を目指してまいります。

① データオプティマイズソリューション

 当社は、従来のペーパーワークのフローとフォーマットを変えずにデジタル化を進めることで、ペーパーレス化が進むビジネス環境において帳票業務を効果的に他のシステムと結び付け、帳票を貴重な情報資産として蓄積・共有する新たな価値を創造してきました。

 ビジネスコミュニケーションに不可欠な帳票のビジネスフローをデジタル化することで、ビジネスそのものを変革したいというニーズが増えており、それに伴い「帳票DX」や「カミレス」といったサービスの導入も増加しています。

 今後は、ターゲットとする業界や業種に対して効果的なマーケティング活動を展開し、データオプティマイズソリューションの認知度を一層向上させ、顧客基盤を拡大し、また、新たな収益の柱を生み出すために、新機能の提供と新しいサービス展開を、これまで以上に積極的に行ってまいります。

② セールスマネジメントソリューション

 セールスマネジメントソリューションでは、サブスクリプション型ビジネスに特化した販売管理サービス「ソアスク」を提供しております。見積・契約・納品・請求など一連の販売に関する業務をスムーズにつなげる機能を備えており、顧客との新しい関係を容易に構築するとともに、サブスクリプションビジネスの特徴である長期的で安定した成功をサポートしています。

 近年、モノのサブスクリプション管理の需要が増えており、そのニーズに応えるために「モノスク」というモノのサブスクリプション管理に特化した販売管理サービスの商談と導入も増加しております。

 今後は「ソアスク」と「モノスク」機能をともに強化していくとともに、効果の高いマーケティング活動を行うことにより、「ソアスク」「モノスク」の認知度を向上させ、顧客数を拡大してまいります。

 以上①及び②の戦略を着実に遂行していくために、優れた人材の積極的な採用と人材育成にも力を入れてまいります。

 

(3)経営環境

 IT専門調査会社であるIDC Japan株式会社(以下、「IDC」とします。)は国内第3のプラットフォーム市場を調査し、2024年~2028年の市場予測を2025年1月17日に発表しました。本調査によると、第3のプラットフォーム市場とは、クラウド、モビリティー、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術を基盤とし、AI、AR/VR、IoTなどの革新技術を含む市場を指し、今後のITサービス市場は、この第3のプラットフォームが牽引し、数々のイノベーションを創出していくものと予測されており、当社が提供しているデータオプティマイズソリューション及びセールスマネジメントソリューションがターゲットとするDX市場は、この第3のプラットフォームに関連したITサービス市場に内包されます。

 本調査によると、2024年の国内第3のプラットフォーム市場の市場規模は25兆1,484億円で、前年比成長率は11.7%を見込んでいます。地政学的な不確実性の高まりやインフレを契機とする経済悪化のリスクといった不安要素はあるものの、レジリエンシーの強化や脱炭素化の取り組みに積極的な産業や企業が牽引する形でデジタルビジネス向け投資が継続するとみており、2028年には31兆169億円に達して、2023年~2028年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.6%になると予測しています。

 また、同市場を産業分野別に分析すると、金融分野においては、多くの銀行が政策金利の緩やかな上昇に伴う収益の改善を背景として、クラウドベースでの顧客情報基盤整備、Generative AI(生成AI)を含むAIを活用した業務効率化、スマートフォンアプリ開発による非対面チャネルの強化を積極的に行っています。証券/投資サービスは、大手証券会社、ネット証券を中心として、新NISA制度の開始、資産運用ビジネスの規制緩和などによって増加した個人投資家の囲い込みを図るためにデジタルチャネルの強化が継続しているほか、AIを活用した業務効率化の取り組みが継続しています。機関投資家向けの「アルゴリズム取引」の高度化など、市場運用分野での高度なAI活用も進んでいます。また、「中央官庁」「地方自治体」においては、デジタル庁が主導するデジタルガバメント政策に基づく情報連携基盤の整備、デジタルサービスの拡充や、地方自治体における業務システムの標準化/共通化が進んでいます。2025年度末(2026年3月)の期限までに標準化対応が完了する自治体におけるIT支出は落ち着く一方、政令指定都市を中心として期限に間に合わずに支出タイミングが先送りになる自治体が出てくるとみています。デジタル田園都市国家構想に基づく政策や、各自治体独自のデジタル施策向けの支出などによって、2025年における地方自治体の第3のプラットフォーム向け支出は高い成長率になると予測しています。この領域は、当社が主にデータオプティマイズソリューションの提供を通して、実績や知見を蓄積してきた領域となります。

 一方、第3のプラットフォームへの支出規模が最も大きく、これまで高い成長率を示してきた製造分野は、2024年以降は他の産業分野と比較するとやや低い成長率になると予測されていますが、2024年の製造業の設備投資は拡大基調であり、サプライチェーンや工場/プラントのOT(Operational Technology)領域などにおけるデジタルレジリエンシーの強化意識は強く、また脱炭素化/GX(Green Transformation)の取り組みが現在の想定以上に広く早く進むことで、2024年以降の成長率を上振れさせる可能性があります。この領域は、当社が主にセールスマネジメントソリューションにおいて、2007年からサブスクリプション型ビジネスに参入し、実績や知見を蓄積してきた領域となります。

 当社は実績や知見を蓄積してきたこれらの領域において他社との間においての競争優位性を保持できているものと認識しており、今後も高い市場成長が見込まれるDX市場へのデータオプティマイズソリューション及びセールスマネジメントソリューションの拡大に注力してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 将来の事業成長とともに収益基盤の安定化を図るため、期末ARR、ARR成長率、解約率、ストック売上、ストック売上比率を重要な経営指標としております。

重要な経営指標

内容

期末ARR

期末時点での年間経常収益(Annual Recurring Revenue)のことであり、クラウドサービスのなかでも毎年得ることのできる収益を指します。初期費用といった一時的な売上は含みません。

ARR成長率

前期末と比較した、期末ARRの伸び率を指します。

解約率

前月末ARRにおける当月の解約ARR比率の期中平均を指します。

ストック売上

総売上のうち、クラウドのライセンス利用料売上や製品保守売上といった将来的に継続する可能性の高い売上を指します。

ストック売上比率

総売上におけるストック売上の比率を指します。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 信用力の向上及び知名度の向上

 数あるクラウドサービスのなかで当社のサービスを選んでいただくためには、当社及び当社サービスの知名度向上と信頼性及び信用力の向上が不可欠と考えております。当社のブランド価値、知名度及び信頼性向上のため、よりお客様のニーズに応えたサービスの開発だけでなく、積極的にPR施策を行ってまいります。

② エンタープライズ市場の開拓

 これまでは市場に拘らずにお客様を開拓してきましたが、中長期的に成長していくためには、エンタープライズ市場の開拓が重要な課題であると認識しております。そのための製品開発、マーケティング、営業、コンサルティングの各領域での積極的な投資、パートナーとの関係強化、信用力の向上を目的とした継続的な広報活動に引き続き取り組んでまいります。

③ 優秀な人材の確保

 当社の中長期的な企業価値の向上に向けて優秀で意欲的な人材を採用し、その人材の育成・定着化を継続し、良好な文化を築いていくことは経営基盤を強固にしていくために非常に重要な課題であると認識しております。当社としては、積極的な採用活動を継続していくとともに、教育施策を推進して人材の育成・教育を推進し、高い意欲をもって働ける環境や仕組みの構築に引き続き取り組んでまいります。

④ 収益基盤の多様化

 当社のビジネスは従来Salesforce連携サービスの比率が大きく、Salesforce市場の拡大とともに成長してまいりました。短期的な視点では、同市場には依然として当社にとって広大な市場があり、成長できる分野であると予想しています。一方、中長期的な視点では同市場に変化が生じた場合には当社の経営成績に影響を及ぼすリスクがあると認識しております。当社はSAP連携やSmartHR連携など、Salesforce以外の連携先との体制構築に引き続き取り組んでまいります。

⑤ 社内管理体制の充実

 社内管理体制におきましては、内部統制システムの更なる強化を推し進め、業務効率の向上を図るとともに、安心・安全な情報セキュリティ体制、迅速な経営判断と情報開示体制に基づく強固なコンプライアンス体制の構築に取り組んでまいります。

⑥ 継続的な新サービス、新機能の提供

 当社が競争優位性を確保しながら持続的に成長するためには、新サービスや新機能の提供、ユーザビリティの向上などにより、サービスの付加価値を高めていくことで、高い継続率を維持していくことが重要な課題であると認識しております。現在のサービスの機能強化と新サービスの提供を継続的に推進し、競争優位性の保持に注力してまいります。

⑦ 資金調達力の拡大

 当社の売上・利益の一層の拡大及び経営基盤の安定を図る上で、そのために必要な投資資金は、自己資金の充当をベースとしながらも、設備の拡充や新たなサービスや事業の開発といった成長のための新規投資が発生した場合など、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等も含めた多様な資金調達の検討を行ってまいります。また、当社事業とのシナジーが期待できる企業との連携を積極的に推進してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)基本的な考え方

 当社は、「make IT Simple」のミッションのもと、シンプルにまとめ上げたITの力により、お客様のビジネスの生産性向上を通じて、お客様の成功と幸福な社会の実現を追求しています。持続的に高品質なサービスを提供し企業価値を向上させるために、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置づけております。社会全体の持続的な発展と当社の成長を実現するため、さまざまな課題に対して積極的かつ優先的に対応してまいります。

 当社の中期ビジョンとして「ARR100億円、ARRのCAGR30%以上、Rule of 40%の達成」を掲げており、これを実現するために次の3点を成長戦略のポイントとして位置付けております。

 

①エンタープライズ市場の開拓

②人材領域

③収益基盤の多様化

 

 これらの実現に向け、サステナビリティ分野において以下のテーマを重要な戦略として位置づけ、重点的に取り組んでおります。

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

 当社の中期ビジョンを実現するために、以下の機関及び委員会を設置し、サステナビリティに関するガバナンス及びリスク管理を効果的に行っています。また、重要な課題は、中期経営方針の中で取り上げる等、対応策の推進を図っております。

①取締役会

 当社の取締役会は、経営上の重要な事項に関する意思決定の中枢として機能しています。月に1回の定時取締役会だけでなく、迅速な対応が求められる場合には臨時取締役会を開催し、柔軟かつ機動的な経営上の意思決定を可能にしています。この取締役会は経営陣の責務を確認し、サステナビリティに関連する事項に対する方針を策定・評価します。

②監査役会

 取締役会に対する業務執行の監督機能を果たすために、監査役会を設置しています。月に1回の定時監査役会だけでなく、監査役会メンバーと取締役会メンバーの情報交換会を通じて、透明性と連携を図りつつ、組織全体の健全性を保つよう努めています。監査役は取締役会に出席し、必要に応じて意見を提供しています。

③リスク・コンプライアンス委員会

 リスク管理の推進と情報の共有化を目的として、リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催しています。リスク・コンプライアンス委員会は、代表取締役社長が委員長となり、構成メンバーを業務執行取締役、内部監査人、常勤監査役とし、必要に応じて臨時に関係者が参加し、サステナビリティを含めた組織全体にわたるリスクの特定、評価、対処を行っています。

④衛生委員会

 従業員が生き生きと働ける職場環境をつくるために、衛生委員会を設置しています。人事担当、衛生委員、産業医などが参加し、労務管理や職場衛生環境の整備に関する報告および審議を行います。

⑤情報保護委員会

 当社サービスの継続利用の前提として、セキュリティの確保は必要不可欠であると考えております。当社では、ISO27001(ISMS認証)、ISO27017(ISMSクラウドセキュリティ認証)を取得して継続的なセキュリティマネジメント体制を構築しております。また、すべての役員及び従業員が情報セキュリティ方針を遵守・運用するため情報保護委員会を設置し、情報セキュリティのリスク管理に努めております。

 

(3)人的資本に関する方針及び戦略、並びに指標及び目標について

①方針及び戦略

 当社はお客様の成功こそ真のカスタマーサクセスと考え、カスタマーサクセスを実現するためにビジネスサイクルを構築しました。このビジネスサイクルを誠実に遂行する人材こそが最も重要な資本と考えて、組織、体制、文化の構築・改善に取り組んでおります。また、社会が必要とする新しい製品・サービスの開発には、多様な価値観や好奇心から生まれる斬新な発想やチャレンジ精神、高い専門性を持つ多様なプロフェッショナルのチームとしての実装力が必要となります。当社における人材が継続して活躍していくためには、日々変化、進化する知識の習得に加え、実務経験を通して自らが変化、進化し、絶えずチャレンジし続けるマインドとチャレンジできる職場環境が重要となります。少子高齢化による生産年齢人口の減少傾向が顕著なうえに、社会活動のあらゆる場面でDX化が進んでいる状況においては、深刻なIT人材不足が予想されており、当社及び社会の持続性を支えるためにも、ITによる社会変革に必要な人材を確保・育成していくとともに、多様な価値観を持つ多様な人材が、やりがいを持って生き生きとチャレンジできる環境の整備を進めてまいります。

 人材採用方針及び戦略としては、思想、信条、性別、国籍等に関係なく、能力だけではなく、当社の経営理念である「謙虚・誠実・進取」を体現でき、チームでの成功を大切にし、自ら成長を願う人材を重視しています。そのために新卒採用を積極的に行い、優秀な人材の確保に努めております。様々な経験、スキルを有し、即戦力となる中途採用も同時に積極的に行っております。また、当社の採用は役割型採用を方針としております。役割型採用を実現することで入社後のギャップを最小限にとどめ短期離職の発生を防ぎ、やりがいをもって中長期的に働いていけるよう努めております。

 人材育成方針及び戦略としては、従業員の内発的動機を引き出すことを主眼においています。従業員それぞれが高い専門性を持ち続けることを奨励しており、社内研修や外部セミナーへの参加の他、業務書籍購入制度や自己学習でスキルアップ支援するSelf Learning Support制度を導入して自発的な取組みを促進しています。また評価制度にはMBO(Management By Objective and self control)を採用しており、こちらは個々人に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する手法です。マネジャーとメンバーがお互いに合意できる個人目標を作って、定期的に1on1を実施する過程で良い関係を持ち、良いチーム運営をして結果を出すことを目的としております。

 多様性確保のための方針及び戦略としては、当社のメンバーが、それぞれのライフスタイルや結婚・出産・介護等のライフイベントに応じて多様な働き方ができるように、時差出勤制度、リモートワーク制度、裁量労働制度、時短勤務制度、傷病休暇制度、趣味や得意分野での社外での活動を可能とする副業制度を導入しています。また社員間のコミュニケーションを奨励するために、コミュニケーション補助やシャッフルランチ、ピアボーナスなど様々な施策を促進しております。組織全体でダイバーシティとインクルージョンに対する意識を一層高め、多様性とチームでの成功を尊重する文化を醸成しています。

 また、良好な職場環境の構築のため、3ヶ月に1回パルスサーベイを行い職場環境およびハラスメントの調査を行っております。あわせてコンプライアンス研修も定期的に実施することで、コンプライアンス管理体制の強化を通じてハラスメントの防止に努めております。

②指標及び目標

 当社は現時点で、サステナビリティに関する指標及び目標は設定しておりません。今後、企業価値向上に向けたサステナビリティに関する指標及び目標について社内で検討を進めてまいります。

 また、人材の育成及び社内環境整備に関しましては、現時点では指標及び目標は設定しておりません。従業員が働きやすい環境整備については今後も継続して取り組んでいくとともに、当社にとって適切で測定可能な指標及び目標設定につき検討してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)DX投資の動向の影響について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社の事業は国内市場に依存しており、国内顧客企業のDX投資の動向に影響を受けます。当社はDX投資における顧客ニーズにあった付加価値の高いサービスの提供、新しいサービス開発を行っておりますが、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や為替相場の変動などにより、国内外の経済情勢の悪化や景気動向の減速等することで、顧客企業のDX投資意欲が減退した場合、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)特定の取引先への依存について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は株式会社セールスフォース・ジャパンとの間で、Salesforce プラットフォームを仕入れ、その上にアプリケーションを追加して販売することのできるOEMパートナー契約、及びSalesforce プラットフォームに当社サービスを連携して提供することができるISVforceパートナー契約を締結しております。提出日現在において当社サービスの売上のうち9割程度が同社と連携したサービスとなっており、当社が当該契約の各条項において重大な違反を発生させた場合や、当社が契約内容の円滑な履行が困難となった場合には、同社から解約をすることができることとなっております。当該契約の継続に支障を来す要因が発生した場合には、同社と連携したサービスを提供できなくなり、同社からの当社サービスの提案もなくなるため、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、これらの契約の内容については、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。

 また、同社は日本において同社のサービスを継続的に利用している多くの顧客を持っており、日本からの撤退の予定はなく、今後の当社との関係は安定して継続する見込みでありますが、仮に同社の事業方針の変更等により、取引関係の解消又は取引条件の大幅な変更がなされた場合や、株式会社セールスフォース・ジャパンの競争力が低下し、市場規模が縮小した場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 提出日現在において、上記契約の継続に支障を来す要因の発生はなく、同社の事業方針の変更、同社の競争力の低下、取引関係の解消又は取引条件の大幅な変更に関する情報はございませんので、中期的には同社との連携サービスを増やすなど関係性をより強化していきますが、長期的には同社への依存度を下げるべく同社以外の他社サービスとの連携サービスを継続的にリリース・検討してまいります。

 

(3)技術革新への対応について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社が属しているソフトウエア業界の特徴として、変動費となる原材料仕入が少なく人件費等の固定費水準が高いため、限界利益率が高いことがあげられます。そのため、売上高が増加した場合の増益額が他の産業に比べ大きい一方、売上高が減少した場合の減益額も他の産業に比べて大きく、利益の変動額が大きい傾向にあります。このような環境の中、急速な技術革新により、現在保有する技術・ノウハウなどが陳腐化した場合、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の主要な事業領域は、IT技術の進化及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており変化の激しい業界となっております。そのため、継続的に新しい技術要素をITエンジニアに習得させてまいりますが、何らかの理由で技術革新への対応が遅れた場合、当社が提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、予定していない技術要素への投資が必要となった場合、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)優秀な人材の確保及び育成について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社が事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最重要課題であると認識しております。当社では、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の改善や研修の実施等の施策を通じ、新入社員及び中途入社社員の育成、定着に取り組んでいます。当社では今後もこれらの施策を継続していく予定ではありますが、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材が十分に確保・育成できなかった場合や、採用後の人材流出が進んだ場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)レピュテーションリスクについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は、顧客への販売活動、IR、広報等のあらゆる情報発信においてコンプライアンスに沿った対応をすることを研修指導しておりますが、クレーム等の発生によりインターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等によって、何らかの否定的な風評が広まった場合、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しております。当社では、取締役会、経営会議やリスク・コンプライアンス委員会において風評の発見や対策等を行っており、リスクの低減に努めてまいります。

 

(6)感染症等の蔓延について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社が事業を展開する事業領域においては、技術者による専門的な技術の提供が主要な業務であるため、新型コロナウイルス感染のほか、伝染性疾患、インフルエンザ等の季節性感染症等の蔓延により、事業活動の停止や制限等の影響を受けます。

 当社では、従業員の健康は直接業績に影響するものと考え、日頃より健康管理の重要性を従業員に指導し、健康診断の定期受診や予防接種の受診を奨励しておりますが、当社が事業展開する地域において、感染症の流行及び拡大が発生した場合、並びにこれに伴う政府及び行政による緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が発出された場合には、当社又は当社の取引先の事業活動に悪影響をもたらし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した際には、当社は感染拡大を防止するため、従業員の時差出勤やテレワークの実施、従業員とその家族を含めた衛生管理の徹底等を実施してまいりました。

 今後新たな感染症の蔓延が発生した場合は、顧客のIT投資等の中止や延期等により、当社又は当社の取引先の事業活動に多大な影響をもたらし、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)競合について(発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社の事業は、既存の競合企業数は多く、高額な投資も不要であり許認可も必要としないことから、新規企業の参入障壁も低い業界であります。当社では、市場環境の変化やニーズ、同業他社の動向をタイムリーに把握し、常に機能強化または新サービスを積極的に提供することや、特許や商標の出願・登録を積極的に進めるほか、価格だけでなく付加価値で対抗できるブランディングを図っておりますが、今後、同業他社による新商品や新サービスの出現等によって価格競争が激化する結果、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報セキュリティについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は、当社サービスに顧客が入力する情報を取り扱うことはありませんが、当社の業務遂行の一環として、機密情報を取り扱うことがあります。当社では2016年5月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)のISMS認証並びに2018年5月にクラウドセキュリティ(ISO27017)の認証を取得しており、情報管理に取り組んでおります。しかしながら、これらの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社の社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)個人情報の取扱いについて(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社は、当社サービスに顧客が入力する個人情報を取り扱うことはなく、自ら個人情報を収集する業務を行っておりませんが、当社の管理業務、並びに当社が事業を展開する顧客先における一部業務においては、名刺情報などの個人情報を取り扱う場合があります。当社は、当社の管理業務、並びに顧客の業務に対する安全性と信頼性に重点を置くため、個人情報マネジメントシステムを構築し、プライバシーマークの認定を受け、部門ごとに個人情報保護部門管理者を設置し、個人情報の安全な管理と運用に十分配慮しておりますが、個人情報が外部に漏えいするような事態となった場合には、当社の信頼失墜による売上の減少及び損害賠償等により、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)協力会社の活用について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社では、必要に応じてシステムの設計、構築等について協力会社等に外注しております。現状では、協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保ち、エンジニアの確保に注力しておりますが、協力会社において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11)クラウド売上のランニング利用料について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社の売上は主にクラウド売上であり、その中でもクラウドサービス利用の対価であるランニング利用料が多くを占めております。このランニング利用料は、受注金額が契約期間にわたり按分されて売上計上されるため、その正確性を確保するために業務手順の自動化等、社内業務とシステム両面から改善を図っております。しかしながら、もし異常な取引や処理の誤りが生じた場合、売上が月別に分散されることから特定の月単位での誤りが表面化しにくく、異常の発見が遅れることにより、的確な経営判断の妨げや会計処理を誤るリスクがあり、発生した場合には当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)不採算案件の発生について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

 高度化、複雑化、短納期化するソフトウエア開発等の業務においては、開発途中での要件変更、品質の低下、納期遅延などの問題が発生するリスクがあります。当社では、業務管理部門、品質管理部門は各プロジェクトの品質、コスト及び納期等の状況を見極め、異常を検知・予測し、早期に対策を講じて不採算案件の発生防止に努めております。しかしながら、このような取り組みにもかかわらず障害が防止できない場合、追加費用が発生して採算が悪化し、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)ソフトウエアの減損について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

 当社はクラウドサービス事業に関わるソフトウエアを開発しており、現時点でソフトウエアを無形固定資産に計上しております。当社は、ソフトウエアの減損に係るリスクを低減するために、事業の収益力強化に努めており、ストック売上及びストック売上比率を重要な経営指標に含めております。データオプティマイズソリューション及びセールスマネジメントソリューションにおけるランニング利用料は、リカーリングレベニューであり、契約が継続される限りは毎年継続的に売上が計上され、契約数が増加すればその分売上も増加します。当社は、事業の安定と収益力の強化のため、このリカーリングレベニュー及びリカーリング比率の拡大を図っております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウエアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)代表者依存度について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 創業以来、代表取締役社長を務めている里見一典は、当社の経営方針や事業戦略構築等において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い代表者に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、現状においては何らかの理由により代表者が退任するような事態が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:新株予約権行使時、影響度:小)

 当社では、当社の取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日の前月末日現在の新株予約権による潜在株式総数は141,100株であり、発行済株式総数2,285,300株の6.17%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(16)係争や訴訟について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 本書提出日現在において当社の業績に重要な影響を及ぼす係争や訴訟は提起されておりませんが、取引先とのトラブルの発生等、何らかの問題が生じた場合には係争や訴訟に発展する可能性があります。当社は、他社の持つ特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう各事業部門が管理部の法務業務担当者と連携して細心の注意を払って事業を遂行しておりますが、係争や訴訟に発展した場合、その内容及び結果によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)自然災害等の発生について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

 当社では、大規模な地震や台風等の自然災害に備えてテレワークの導入や事業継続計画(BCP)の策定による事業の復旧や継続を速やかに遂行する体制を構築しておりますが、自然災害の規模によっては事業活動が停止あるいは著しく制約される可能性があり、その内容によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(18)配当政策について(発生可能性:低、発生可能性のある時期:中期、影響度:小)

 当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展のための内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。
 しかしながら現段階においては、当社は成長過程であると認識しており、今後の事業戦略に応じて、新製品の開発や市場開拓等事業領域拡大のために、内部留保の充実を優先するため、配当を行っておりません。将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針でありますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は1,993,565千円となり、前事業年度末に比べ1,162,651千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資等及び契約負債の増加により現金及び預金が1,140,253千円増加したことによるものであります。固定資産は300,962千円となり、前事業年度末に比べ35,311千円増加いたしました。これは主に、クラウドサービスの機能開発により無形固定資産が46,672千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は、2,294,527千円となり、前事業年度末に比べ1,197,962千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は1,215,101千円となり、前事業年度末に比べ275,789千円増加いたしました。これは主に、契約負債が217,574千円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、1,215,101千円となり、前事業年度末に比べ275,789千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は1,079,425千円となり、前事業年度末に比べ922,173千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ385,650千円増加したこと、当期純利益を150,872千円計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は47.0%(前事業年度末は14.3%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国の経済は、雇用環境の改善やインバウンド需要の増加など、経済活動の正常化を背景に緩やかな回復が続いております。一方、米国の政権交代に伴う経済政策や国際関係の変化が、景気や金利の変動、為替相場に不安定な影響を及ぼしております。また、エネルギー価格の高騰や給与の上昇の影響による物価の上昇に加え、中国経済の減速、韓国の政治的不安定さ、中東やウクライナ情勢の混迷、欧州各国の経済課題など、世界的な不確実性が増しており、先行きは依然として不透明な状況であります。

 当社の事業展開する企業向けクラウドサービス市場においては、フルリモートワークやハイブリッドワーク等の多様な働き方への対応によるペーパーレス化の進展、生成AIを活用したソリューションやデータ分析基盤の進化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性の高まりなどにより、時間や場所にとらわれず利用が可能で、自社でシステム運用する必要がないクラウドサービスへの投資が引き続き活発化しております。

 当社は「make IT simple」というミッションのもと、企業活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するため、お客様の生産性を上げ、お客様を成功に導くための「データオプティマイズソリューション」及び「セールスマネジメントソリューション」のクラウドサービスを展開してまいりました。

 これらの結果、当事業年度における売上高は2,104,685千円(前年同期比30.1%増)、営業利益は214,215千円(同92.7%増)、経常利益は210,739千円(同91.7%増)、当期純利益は150,872千円(同57.4%増)となりました。また、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、無形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ385,650千円増加したこと、契約負債が217,574千円増加したこと、税引前当期純利益を210,741千円計上したこと等により前事業年度末に比べ1,140,253千円増加し、当事業年度末には1,766,770千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は438,878千円(同57.5%増)となりました。これは主に、契約負債の増加額217,574千円、税引前当期純利益210,741千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は69,930千円(同15.7%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出65,927千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は771,300千円(前年同期は55,424千円の支出)となりました。これは、株式の発行による収入771,300千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

事業の名称

当事業年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

クラウドサービス事業(千円)

2,104,685

130.1

 (注)1.当社はクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2022年12月1日

至  2023年11月30日)

当事業年度

(自  2023年12月1日

至  2024年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

59,892

3.7

215,211

10.2

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

 この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。

(繰延税金資産)

 当社は、繰延税金資産について、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異のうち将来の税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で認識しております。課税所得が生じる可能性の判断においては、将来の中期経営計画を基礎として、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。当該事業計画の主要な仮定は、ARR成長率、解約率等の予測に基づく売上高の見込みであります。この仮定は、収益力増加のための人員増加、広告宣伝及び販売促進施策の期待効果、過去の実績、顧客の市場動向等を反映しております。繰延税金資産の金額は、今後の事業年度における課税所得が見積りと異なった場合に、将来減算一時差異の回収可能性の判断が変化することで増減する可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、前事業年度に比べ486,527千円増加して2,104,685千円(前年同期比30.1%増)となりました。

 これは主に、既存顧客へのサービスが大幅に増加するとともに、営業を強化したことで新規顧客が増加したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は、1,066,199千円(同30.4%増)となりました。

 これは主に、事業規模の拡大に伴い、クラウドサービスの新規・追加機能開発に係る費用やデータセンターの利用料及びSalesforceプラットフォーム利用料が発生したことによるものであります。

 以上の結果、売上総利益は前事業年度に比べ237,713千円増加して1,038,486千円(同29.7%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、主に事業拡大に伴う社員数の増加及び給与水準の向上による人件費の増加、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度「ISMAP」への登録活動等により、824,270千円(同19.5%増)となりました。

 以上の結果、営業利益は前事業年度に比べ103,024千円増加して214,215千円(同92.7%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は、78千円となりました。これは主に、受取利息によるものであります。また、営業外費用は、3,554千円となりました。これは主に、新株発行に係る費用によるものであります。

 以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ100,785千円増加して210,739千円(同91.7%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

 特別利益は、1千円で、固定資産売却益によるものです。特別損失はありませんでした。

 また、法人税等調整額を含む法人税等は59,868千円となりました。

 以上の結果、当期純利益は前事業年度に比べ55,038千円増加して150,872千円(同57.4%増)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の資金の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。現時点で予定されている重要な資本的支出はありません。事業上必要な資金は手許資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していく方針でありますが、資金使途及び需要額に応じて柔軟に検討を行う予定であります。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して経営者の問題意識と今後の方針

 経営者の問題意識と今後の方針に関して経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は将来の事業成長とともに収益基盤の安定化を図るため、期末ARR、ARR成長率、解約率、ストック売上、ストック売上比率を重要な経営指標としており、当事業年度においては、新規・増額ARRの継続的な獲得及び解約率を減少させることに成功し、期末ARRが前事業年度に比べ386,628千円増加した結果、売上高も堅調に推移いたしました。

 

前事業年度

(自  2022年12月1日

至  2023年11月30日)

当事業年度

(自  2023年12月1日

至  2024年11月30日)

期末ARR(千円)

1,504,142

1,890,771

ARR成長率

44.1%

25.7%

解約率

0.53%

0.47%

ストック売上(千円)

1,302,353

1,797,242

ストック売上比率

80.5%

85.4%

 

5【経営上の重要な契約等】

相手方の名称

契約の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社セールスフォース・ジャパン

OEMパートナー契約

2015年6月10日

Salesforce プラットフォームを仕入れ、その上にパートナー(当社)が開発したアプリケーションを追加して顧客に販売することのできる契約です。

当社が顧客と契約するライセンス利用料の一定割合を1年ごとに支払います。

2015年6月10日から2018年6月9日まで

(1年ごとの自動更新あり)

株式会社セールスフォース・ジャパン

ISVforceパートナー契約

2014年10月10日

Salesforce プラットフォームに当社サービスを連携して提供することができる契約。

当社が顧客と契約するライセンス利用料の一定割合を1カ月ごとに支払います。

2014年10月10日から2017年10月9日まで

(1年ごとの自動更新あり)

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。