独立監査人の監査報告書

 

 

 

令和6年6月20日

株式会社高田工業所

 

 

 

 

取締役会 御中

 

 

 

PwC Japan有限責任監査法人

福岡事務所

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

田 邊 晴 康

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

山 本 憲 吾

 

<財務諸表監査>

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社高田工業所の令和5年4月1日から令和6年3月31日までの第77期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社高田工業所の令和6年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

直接原価をインプットの指標とするインプット法による完成工事高の計上

【注記事項】(重要な会計上の見積り) 1.インプット法による完成工事高の計上

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、令和6年3月期において完成工事高43,886,257千円を計上している。そのうち、直接原価をインプットの指標とするインプット法を適用している取引(竣工済の工事を除く。)は8,241,359千円(完成工事高に対する割合18.78%)である。

 会社は、工事収益総額、工事原価総額及び会計年度末における工事進捗度について信頼性のある見積りを行い、インプット法の適用を行っている。会社は、信頼性のある見積りを行うため、工事着工前に工事原価総額について実行予算を策定している。

 建設業においては、工事着工後も当事者間の合意によって、工事の追加や削減、工事の内容(仕様、設計、デザイン、工事方法、場所、工期等)の変更などが行われることが少なくない。また、現場の価格交渉等により、外注費や材料費が変動する可能性や、当初予算策定時に想定していなかった工期の変更などが生じ、工事収益総額及び工事原価総額が変動する場合がある。

 このような状況において、実行予算の策定及び見直しが適時・適切に実施されなかった場合、工事原価総額の見積りが適切に行われず、結果としてインプット法による完成工事高が適切に計上されない可能性がある。

 インプット法による完成工事高の計上及び工事原価総額の見積りは、工事請負契約の契約内容や施工状況等に著しい変化がないものと仮定して行っているものの、これらの仮定は工事内容や工期の変更などにより変動することもあり、適時・適切に見積りを見直すことは経営者の重要な判断を伴うため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、インプット法による完成工事高の計上及び工事原価総額の見積りを検討するにあたり、主として以下の手続を実施した。

① 内部統制の評価

工事等の実行予算の策定プロセスに関連する内部統制の整備・運用状況の有効性について、特に以下の内部統制に焦点を当てて評価を実施した。

・ 実行予算の策定及び適切な承認が行われる統制

・ 工事契約の変更やその他の事後的な事情の変化を識別

し、工事原価総額の見積りを適時に実行予算へ反映する統制

② 工事原価総額の見積りの合理性の評価

・ 前期末決算日において仕掛中であった工事の工事原価

総額について、その後の実績との比較を行い、工事原価総額に関する経営者の見積りの精度を検討した。

・ 工事原価総額の見積りに使用される実行予算とその基

礎となる原価積算資料との整合性を確認し、重要な仮定については、積算の根拠となった見積書等との突合、または決算日後に発生した実績工事原価と工事原価総額の見積りとの比較検討を行った。

・ 決算日において仕掛中の工事について、工事現場の視

察を行い、現場における進捗状況と工程表を照合し、予算表に反映されている進捗率と乖離が生じていないか検討した。

・ 生産会議資料の閲覧を行い、実行予算の見直しに関す

る判断について、工事担当者への質問を行うとともに、見直しの根拠資料との突合を行った。また、適時・適切に実行予算へ反映しているかを確かめた。

・ 決算日後に行われた工事原価総額の見積りの重要な変

更の有無について確認した。

 

 

 

契約書等で確定していない完成工事高の計上

【注記事項】(重要な会計上の見積り)2.契約書等で確定していない完成工事高の計上

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、令和6年3月期において完成工事高43,886,257千円を計上している。そのうち、完成工事高42,956千円(完成工事高総額に占める割合は0.1%)については、得意先からの最終的な注文書や契約書が未入手であるため、過去の実績等に基づき収益を見積ったうえで概算計上している。

 工事の受注にあたっては、通常、会社は工事着工前に得意先から注文書や契約書を入手するが、プラント建設業・プラント保全業においては、工事着工後も当事者間の合意によって、工事の追加や削減、工事の内容(工事範囲、仕様、設計、デザイン、工事方法、工期等)の変更などが行われることが少なくない。また、保全業務においては、作業実績金額の精算に伴って注文金額が事後的に確定することがある。

 このように得意先から適時に注文書や契約書を入手できない場合において、会社は、個別の工事に要した原価やこれに基づき提出する見積書、得意先との交渉過程で得られる内示・査定情報、過去に行った得意先との交渉結果などに基づき契約金額の見積りを行っている。

 上記から、契約書等で確定していない完成工事高の計上は、当事者間での実質的な合意の有無及び当該合意の内容に基づく対価の見積りに関する経営者の判断を伴い、財務報告に与える質的な重要性が高く、証明力の強い監査証拠の入手が必要となることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、契約書等で確定していない完成工事高の計上を検討するため、主として以下の手続を実施した。

① 内部統制の評価

完成工事高の概算計上を適切に行うために会社が構築した内部統制の整備・運用状況の有効性について、以下の内部統制に焦点を当てて評価を実施した。

・ 契約金額(工事金)の見積りが必要とされる工事案件

について、概算工事金計上のための申請書が受注部門により作成され、概算計上が網羅的かつ適切に行われる統制

・ 工事金が概算計上された工事案件について、金額決定

時に概算工事金の決定報告書が受注部門により適切に作成され、確定額の計上が行われる統制

② 概算計上の合理性の評価

・ 概算工事の計上根拠資料の閲覧及び担当者への質問及

び過去の類似的な工事案件との比較により、完成工事高を概算計上している合理的な理由について検討した。

・ 得意先に提出した見積書等と原価の発生状況を示す生

産管理表との整合性を検討した。

・ 得意先との交渉資料等の根拠資料を閲覧し、当事者間

での実質的な合意の有無及び当該合意の内容に基づく対価の見積りに関する経営者の判断の合理性について検討した。

・ 決算日以降に確定した概算工事金については、概算計

上額と確定額を工事案件ごとに比較し、差額についてはその要因を質問し、概算計上時点において最善の見積が行われていなかった可能性の有無について批判的に検討した。

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

 報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E00209-000 2025-03-10