第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 会社経営の基本方針

当社グループは、「人と社会を健康に美しく」を企業理念に掲げ、新型コロナウイルス感染症の影響で、「非対面」、「リモート」が常態化するというパラダイムシフトがおきた我が国において、特に医療・ヘルスケアの領域に着眼し、それらの分野でのパラダイムシフトを起こし、より良い生活文化の創造と発信を通じて、社会すべての人々の健康で幸福な生活の実現に貢献するという使命を基に、事業展開を行っております。

上記使命の要約は以下のとおりとなります。

① ヘルスケアテックカンパニーとして、デジタル技術の活用により、人々の幸福な生活に欠かせない医療・ヘルスケア領域を革新します。
② 医療・医薬分野のデジタルトランスフォーメーションを推進し、医療サービスの向上と社会保障制度の負担減に貢献します。
③ ヘルスケア領域において、特に「ケンビキョウイイ」(注)の分野における商品やサービスの開発に注力し、人々の健やかな生活を支えます。

(注)「ケンビキョウイイ」とは、「健康・美容・教育・癒し・医薬・医療」を指します。

 

(2) 経営戦略及び経営上の目標達成状況を判断するための経営指標等

当社グループでは、事業を継続的に発展させていくためには、収益力を高め、適正な利益確保を図ることが重要と認識し、客観的な指標として、売上高、EBITDA(注1)を重視しており、その中長期的な向上を図る経営に努めてまいります。また、当社事業モデルを勘案したうえでの重要な経営指標は、未病・予防期間の長期化、疾病期間の短縮化を実現する“SOKUYAKUヘルスケア経済圏”における活動人口を表す「QAU(注2)」、および経済規模を示す「ARR(注3)」としております。

(注)1.「EBITDA」とは営業利益+減価償却費+のれん償却費+無形資産償却費のことをいいます。

   2.「QAU」とは四半期間でのBtoCサービスのアクティブユニークユーザー数のことをいいます。

   3.「ARR」とは年間経常収益であり、QAUから生じた売上高の年換算額のことをいいます。
 

(3) 経営環境及び市場戦略

当社グループの事業が対象とする市場は、健康食品や機能性表示食品、一般医薬品等のEC・通信販売市場及び調剤薬局市場であります。

日本国内における消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場は、インターネットやスマートフォンの普及の拡大の影響で、今後も引き続き堅調に推移していくと予想されております。2023年における日本国内の物販系分野のEC市場規模は14兆6,760億円で、前年比4.8%の伸び率となっております(注1)。その要因には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により外出を控え自宅にいながら買い物を楽しむという消費行動が、消費者の間で徐々に外出機会が回復した2023年においてもさらに定着しつつあること、ネット上での販売商品の多様化、市場参加者(売り手)の増加、 物流事業者による宅配時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増大化等が挙げられます。なお、2023年の物販系分野のEC化率は9.4%と、2022年の9.1%から上昇しております(注1)。しかしながら、米国のEC化率は約16%であり、近年ECの市場規模拡大が著しい中国のEC化率は既に45%を超えている(注1)ことと比較すると、我が国におけるBtoC-EC市場はまだ飽和しておらず、今後も伸びる可能性が十分にあると考えられます。
  このような背景のもと、健康食品市場の市場規模は、2022年で8,861億円、2023年(見込)で8,995億円(前年対比1.5%増)と、市場が拡大しております(注2)。また、一般用医薬品における通販市場の市場規模は2022年で403億円、2023年(見込)で445億円(前年対比10.4%増)と推計されており(注3)、こちらも増加トレンドにあります。このような経営環境を踏まえ、当社は新商品の投入、定期会員へのサービス拡充などを通じて、引き続き健康食品等の通信販売事業を行うヘルスケアセールス事業及び医薬品の通信販売事業を行うメディカルケアセールス事業において、安定的な収益基盤を構築してまいります。

 

一方、調剤薬局を取り巻く市場環境につきまして、調剤医療費(調剤報酬)は2023年では約8.3兆円の市場規模となっております(注4)。また、処方箋枚数は2023年で年間8.8億枚前後となっており(注4)、65歳以上が我が国の人口の3分の1を占めると言われる2025年に向けて、今後も増加していくことが予想され、調剤薬局の果たすべき役割期待と業務負担は今後も重くなるものと考えられます。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、調剤薬局を含む医療機関においては、病院内・薬局店舗内での感染を恐れた患者の通院・来店差し控え、医療情報の不透明性や手続きの煩雑性等、現在の医療制度の脆弱性が露呈し、医療サービスを受けたくても受けられないという状態に陥りました。他方、受け入れ側の医療機関に関しては、2018年の時点で39兆円である医療費は、65歳人口が我が国人口の全体の3分の1を占めるとされる2025年には26%増の49兆円に膨らむとされているにもかかわらず、医療従事者数は2018年とほぼ横ばいの水準に留まると予想されており(注5)、医療現場の人手不足から効率化・生産性向上が今後ますます必要になるといえます。
  このような経営環境を踏まえ、医療業界の課題をITで解決し、誰もが自分自身にあった適切な医療サービスをタイムリーに受けられる社会の実現を目指して、オンライン診療・オンライン服薬指導、そして処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供可能な医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」の提供を2021年2月に開始しました。令和4年度診療報酬改定によりオンラインでの初診料の引き上げやオンライン服薬指導の実施要件が緩和されるなど、医療体制のオンライン化の推進が図られ、医療現場の効率化・生産性向上に向けた取り組みが進んでおり、「SOKUYAKU」の提携医療機関及びユーザーは急速に増加しております。引き続き「SOKUYAKU」の事業拡大に向け、着実に事業を推進してまいります。

(注)1.令和5年度電子商取引に関する市場調査 2024年9月 経済産業省
       2.2024年版 健康食品の市場実態と展望~市場調査編~ 株式会社矢野経済研究所
       3.一般用医薬品データブック2023-2024 株式会社富士経済
       4.令和5年度 調剤医療費(電算処理分)の動向 厚生労働省
       5.2040年を見据えた社会保障の将来見通し 2018年5月21日 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、健康・美容・医療医薬の分野で事業展開を行っており、オンライン診療、オンライン服薬指導処方箋医薬品の宅配事業を含む医療プラットフォームサービス事業「SOKUYAKU」並びに医薬品及び医薬部外品の通信販売事業を含むメディカルケアセールス事業、健康食品の通信販売事業を行うヘルスケアセールス事業、及び他社商品のマーケティング支援を行うヘルスケアマーケティング事業を運営しております。今後もこれらの事業の持続的成長を実現させていくため、以下の項目を対処すべき課題として、引き続き取り組んでまいります。

 

① コーポレートブランドの価値の向上

当社の経営理念・ビジョン実現のためには、お客様から支持される商品・サービスを提供し続けることに加え、多くの方々に愛着を持っていただける会社になることが不可欠であると考えております。テレビのインフォマーシャル広告や著名人等を使用したキャスティングで自社ブランド商品の知名度は徐々に浸透してまいりましたが、更なる事業拡大及び競合企業との差別化を図るにあたり、引き続きインフォマーシャル広告やSNSを使った広告に加え、適切な情報開示と、積極的な広報活動及びCSR活動を行ってまいります。その一環として、当社は2020年12月1日に国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」に即した企業活動を行うことを宣言しました。具体的には、①オンライン医療サービスアプリの開発や低糖質米の開発プロジェクトなどの社会における健康的な生活の確保、健康増進に貢献する②女性や外国人労働者の活躍を推進するなどの性別、障がい、人種、民族様々な状況に関わりなく、健康で働きがいのある職場環境を創り、社員が幸せに生きる明るい未来を創造する③バイオマスプラスチック配合のレジ袋の導入などの環境に配慮した取り組みで、CO2の削減と廃棄ロスゼロを目指す、以上3点になります。このような活動を推進し、引き続き当社のコーポレートブランド価値の向上を図ってまいります。

 

 

② お客様との継続的な関係構築

当社グループのヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業においては自社ブランド商品(酵水素328選シリーズ、ホワイピュア、トンデケア、JFD等)の通信販売事業による売上高の比率が高く、一定の間隔で同一商品を継続的にお届けする定期購入サービスを利用するお客様に支えられております。そのため、お客様との継続的な関係を構築することが、今後の持続可能な安定収益を確保するために極めて重要となるものと考えております。更なるお客様満足度の向上に向けて、新たな商品ラインナップの展開や販促品・同梱販促物等のクオリティアップ、徹底した商品の品質の追求、お客様に寄り添ったアフターサポートサービスの拡充、デジタル化による各種手続き等の利便性向上などに取り組んでまいります。

 

③ 広告投資における課題

ヘルスケアセールス事業における当社商品ブランドはダイエット訴求の商材が中心となっております。中でも主力商品である「酵水素328選もぎたて生スムージー」では、ダイエットの結果が出るおよそ3か月から6か月を経過したタイミングで定期コースを休止する顧客が比較的多い傾向にあります。そのため、当事業で安定した収益を確保するためには、既に定期コースに申し込み済みの会員顧客の満足度を向上させる取り組みと共に、新規の顧客を継続的に獲得することが重要と考えております。新規顧客を獲得するためには広告投資が必要不可欠でありますので、媒体ごとの広告市況や顧客の反応、CPO(定期顧客一人あたりの獲得単価)等を随時モニタリングしながら、継続的に効果的かつ効率的な広告投資が実施できるよう取り組んでまいります。

 

④ 情報管理体制の強化

当社グループが事業活動を行う中で、お客様の個人情報を取扱うことが多いことから、一般財団法人日本情報経済社会推進協会運営のプライバシーマーク制度や情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS(ISO27001))の認証取得や社内規程の整備及び業務フローの厳格な運用等を行っております。

今後、当社グループが業容を拡大するにおいて、お客様の信頼性の更なる向上のため、セキュリティに関するシステムの整備や社員の教育を行い、個人情報管理体制の強化を図ってまいります。

 

⑤ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化

当社の会計監査人である監査法人アヴァンティアより、一部の広告売上取引における売上高及び原価の計上について、不適切な会計処理がある旨の疑義(以下「本事案」といいます。)が生じているとの指摘を受けて、特別調査委員会を設置のうえ、本事案及び類似する事象の有無等についての調査を進め、2024年11月11日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。調査報告書において指摘を受けた事項を踏まえ、当社として、本事案の原因は以下のとおりであると認識しております。

 

ⅰ 役職員のコンプライアンス意識醸成が不十分であること

本事案に関与した元役員は、不適切な会計処理であることを知りながら予算達成のために本事案をはじめとする会計操作を起草し実施した点、また、本事案に関与した従業員は、いずれも当初より不適切な会計処理であることを認識していたり、法令違反の認識はなかったものの、モラルに欠けた事案である認識を持っていたことから、当社においては、役職員のコンプライアンス意識醸成が不十分であったと認識しております。

 

ⅱ 牽制機能の低い組織体制であること

本事案に関与した元役員は、当社組織上、業務執行部門であるヘルスケア事業本部を管掌するのに加え、管理部門である総務部、経理財務部及び人事部を束ねるコーポレート本部並びに経営企画本部も管掌しておりました。そのため、元役員は管理部門を含む全ての本部長を評価する立場にあったことから、当該元役員に対する牽制機能が十分に発揮されないという構造的な問題があったと認識しております。

 

 

ⅲ 内部通報制度が有効に機能しなかったこと

本事案に関与した従業員は、本事案に関与した元役員の指示に基づき加担しつつも、一定の問題認識は持っていたことを踏まえると、本来は内部通報制度により不正告発をすべきところ、そのような選択を検討した事実はありませんでした。

当社の内部通報制度は、総務部や外部の弁護士へ役職員全員が直接通報することができ、かつ、役職員全員が見ることができる社内イントラへの掲示がされているものの、役職員に対する内部通報制度の周知が十分になされていなかったことから、当社の内部通報制度は有効に機能しなかったと認識しております

 

ⅳ 本質的な議論を回避する社内情報共有文化・作法であったこと

本事案は、通常の取引とは異なる商流である点や、取引金額の大きさを踏まえると、当該商流に参加することの経済合理性について会社として慎重に検討すべきところ、一部の役職員の間だけで情報共有や意思疎通が行われ、それ以外のメンバーへの説明を意図的に省略する、聞こえのよいところだけを説明することにより、取締役会や監査役会への情報提供が十分になされることはありませんでした。その結果、取締役会や監査役会において十分な議論を行うことができなかったと認識しております。

 

ⅴ 各取締役の役割分担と監視機能が不十分であったこと

執行サイドの各取締役は、SOKUYAKU事業とそれ以外の事業といった事実上の分業体制があり、本来期待される取締役間での牽制機能が弱い状況にありました。このような各取締役の役割分担に加えて、本事案に関与した元役員が1人で事業部と管理部門を所管する組織体制が相まって、実質的に当該元役員に対する牽制機能は不十分であったと認識しております。

 

ⅵ 実績モニタリング体制がとられていなかったこと

当委員会は、当社において広範に不適切な会計処理が行われたことの大きな要因として、本事案に関与した元役員が売上及び営業利益の計画達成は外部に約束した当たり前のこと、と強く考えていたことにあると認識しております。

当社の事業であるD2C通販事業は、売上高と広告費との相関関係が複雑な構造であり、単に結果としての財務数値だけを比較しても実態を把握することが難しい特徴があります。広告費をかければ売上があがるという単純なものではなく、広告の効果は初回顧客の獲得に効果があり、広告支出を絞ると一時的に新規顧客獲得は鈍る一方で、既存顧客からの売上は維持される結果、利益が発生する構造にあります。

そのため、月次あるいは週次での会計数値を用いた予実比較では、このような構造を背景にした広告施策の影響がどのように事業成果に影響しているか、取締役および予算策定責任事業部が適切に把握することが困難でありました。

したがって、例えば、実績が予算を下回る環境下で、実績を上振れさせる目的の不正な施策の実行を適時に検知すべく、予実比較のみではなく、案件ごとの月次利益率分析などの実績モニタリングを実施すべきであったところ、これができていなかったと認識しております。

 

ⅶ 内部監査機能が不十分であったこと

当社の内部監査室は、本事案について特別調査委員会の組成後に認識するに至りました。内部監査室による日常的な監査手法も、個別取引サンプル抽出による取引証憑の追跡調査が主たる手法で、内部統制のキーコントロール変更の有無が中心になっているとのことであり、本事案のような不正検出に向けた内部監査となっていなかったと認識しております。

 

 

ⅷ 会計監査人へ会計処理にかかる方針を相談する上で必要な情報伝達が不足していたこと

当社はこれまでも会計処理にかかる方針については会計監査人と相談してまいりましたが、一部の会計論点については当社の判断とその論拠を踏まえた十分な情報伝達ができておりませんでした。また、ポジションペーパーを作成することなく口頭での相談で済ませてしまった結果、事後的な会計上の解釈の齟齬が生じてしまったと認識しております。

 

当社は特別調査委員会の再発防止策の提言を踏まえ、下記を含む再発防止策を策定・実行し、適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。

 

ⅰ コンプライアンス意識の強化

 ア.経営トップからの継続的なメッセージの発信

コンプライアンスを最優先とした組織風土を醸成するために、経営トップ自らコンプライアンス遵守が経営の最重要課題であることを再度明確にし、年に一度代表取締役社長自らスピーチを行うとともに、その後スピーチの概要を改めてグループ全役職員に対してメールで配信することで、役職員に対し継続的にメッセージを発信いたします。

  イ.役職員のコンプライアンス意識向上

経営トップからの継続的なメッセージの発信に加えて、コンプライアンス意識の維持向上のため、グループ全役職員を対象に、本事案等を踏まえたコンプライアンス研修を定期的に実施いたします。

 

ⅱ 執行サイドに対する牽制機能の強化

 ア.取締役執行役員CFOの選任と社外取締役の増員

当社では、事業執行サイドの最高責任者である専務取締役執行役員COOが事業本部のみならず、コーポレート本部及び経営企画本部等も所掌していたことから、事業本部における予算達成のために企図された不正に対し、管理部門による内部牽制が十分に機能しづらい体制となっておりました。

これを是正するために当社は、コーポレート本部及び経営企画本部を所掌する最高財務責任者(CFO)を取締役に選任することで管理部門による牽制機能を強化してまいります。

さらに、社外取締役を増員することで、取締役会の監督機能を強化してまいります。

  イ.異常検知のための実績モニタリング

本事案は広告施策がどのように事業成果に影響しているのかについて売上高と広告費には明確な相関関係が存在しないという特殊性から、従来主に行っていた予算実績差異分析によるモニタリングに加え、コーポレート本部が主体となって、一定金額以上の案件に対して利益率実績の月次推移分析等といった方法により、異常をいち早く検知することができるモニタリング体制を構築し、検知した異常については、その取引の商流や条件の経済合理性を検討し最高財務責任者(CFO)に報告することを徹底いたします。

 

ⅲ 内部通報制度の実効性の向上

当社の内部通報制度は、総務部や外部の弁護士へ役職員全員が直接通報することができ、かつ、役職員全員が見ることができる社内イントラへの掲示がされているものの、役職員に対する内部通報制度の周知が十分になされていなかったことを踏まえ、内部通報制度の実効性を向上すべく、コンプライアンス研修の内容に内部通報制度に関する内容も織り込むことで、制度の周知及び浸透を図ってまいります。

 

ⅳ 取締役会や監査役会へ十分な情報提供を行うことによる監督機能の強化

上記のとおり本事案については取締役会及び監査役会への情報提供が不十分であったがために、十分な議論がされておりませんでした。

そのため、会計上の論点がある事項については最高財務責任者(CFO)より取締役会開催日に先立って取締役及び監査役に対して、審議するための十分な資料を共有することを徹底いたします。

 

 

ⅴ 内部監査体制の強化

内部監査の実効性を確保するため、必要に応じて外部の専門家を利用することで、内部監査の人的リソースを確保いたします。また、不正リスクを考慮した内部監査を実施し、内部監査の過程で不正の兆候等を検知した場合には、監査役会へ報告することを義務化いたします。

さらに監査役、内部監査部門、会計監査人によるミーティングを少なくとも四半期毎に開催し、適時・適切な情報共有と意見交換を実施いたします。

 

ⅵ 会計監査人との連携の強化

会計監査人への相談対象とする会計論点について、相談に先立ち、当社の判断とその論拠についてポジションペーパーを作成いたします。また、当社と会計監査人間で確認・合意した会計処理にかかる方針について事後的な会計上の解釈の齟齬を防ぐため、整理して書面化することを徹底いたします。

 

⑥ 優秀な人材の確保及び育成

今後の一層の事業拡大及び収益基盤の確立にあたり、優秀な人材の確保及び育成が重要と考えております。当社の経営理念やビジョンに共鳴し、当社の持続的な成長を支える優秀な人材を確保・育成するため、採用活動及び研修活動を強化すると同時に、適材適所のアサインメントと適切な人事評価の徹底に努めてまいります。

 

⑦ 医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」事業の拡大

当社グループは、これまで健康食品・医薬品等の通信販売事業で培った、インターネットを活用したEC及び通販事業等の知見・ノウハウを活用し、今後は医療・医薬の分野へ事業領域を拡大してまいります。具体的には、医療制度の規制緩和を受けて、オンライン診療及びオンライン服薬指導に加えて、処方箋の宅配までをワンストップで提供する「SOKUYAKU」事業を展開しております。医療業界には、多種の法令や規制があり、これらの法令遵守を徹底することはもちろんのこと、今後の法令等の改正に合わせて、適時かつ臨機応変な事業展開を推進してまいります。

 

⑧ 中長期的な成長に向けたM&A・アライアンスの推進

当社グループは、ヘルスケアセールス事業等における新商品開発や、メディカルケアセールス事業における新規事業の立ち上げ等を通じて、これまで安定的な成長を実現してまいりました。今後は更なる事業成長及び中長期的な企業価値の向上に向けて、M&Aや他の企業とのアライアンス等にも取り組んでまいります。

これらの活動を通じて、当社の経営理念「人と社会を健康に美しく」に即した事業の拡大や新たな事業機会の創出、人材の獲得、取引先の開拓等に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、「人と社会を健康に美しく」を経営理念に掲げ、サステナブルな社会の実現に貢献すべく、事業に取り組んでおります。

 当社グループは、代表取締役社長が委員長を務める「コンプライアンス委員会」を四半期に1回以上開催しており、サステナビリティに関しては、コンプライアンス委員会にて検討・協議しております。コンプライアンス委員会にて協議された方針やリスク管理を含めた課題などは、経営会議にも共有され、当該リスクに関連する部門の責任者が具体的にその対応を実施しており、必要に応じて取締役会への報告も行われております。

 今後の状況に応じて、サステナビリティ委員会の設置等の体制の強化を検討してまいります。

 

(2)戦略

  人材の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりであります。

 (人材の育成に関する基本方針)

   当社グループは、持続的な成長や企業価値の向上を実現していくうえで、人材は重要な経営資源であると考え 

 ております。

  生産性を高めつつ、従業員ひとりひとりが意欲をもって活躍できる組織を構築することを目的として、公正で 

 納得感のある評価を目指した人事制度及び評価制度の見直しを実施し、2023年6月より運用を開始しております。  

 また、新人事制度に基づく、適材適所を重視した人員配置を行うと共に、新卒採用の強化により中長期的な目線 

 での優秀な人材の確保に努めております。

 (社内環境整備に関する方針)

  社員とその家族の安定した心豊かな生活実現に向け、社員のワークライフバランス、やりがいや一人一人の 

 キャリア志向にあわせた活躍の場・能力向上の場を提供すべく、その対応を進めております。

 

(3)指標及び目標

  人材の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容及び目標については以下のとおりであります。なお目標及び実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

目標

実績(最近事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2025年5月末まで50以上を維持

50.0%

有給休暇取得率

2025年5月末まで70以上を維持

64.8

 

 

3 【事業等のリスク】

  当社グループの事業活動に関するリスクにつきまして、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業もしくは本株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありません。

 

(1) 事業の特徴に係るリスク

① 商品の製造の委託及び品質管理について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループのヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業で販売する自社ブランド商品は、製造業務を外部に委託しております。当社グループでは、製造委託先の品質管理体制及び方法が、当社グループで定めた基準に適合しているか品質監査により確認しております。また、製造された商品の品質に問題がないか製造ロットごとに品質に係る確認書を入手し、規格に適合しているか確認しております。このように、品質管理については万全を期しておりますが、商品の安全性について、万が一異物混入や商品の品質不備が発生し、ブランドイメージの毀損、継続率の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 商品の保管・発送の外部委託について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループのヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業における医薬品通信販売事業では、商品の保管・発送業務を外部委託しております。商品の保管・発送業務については、定期的に実地調査を実施しておりますが、委託業者において、業務の遅延や信用の失墜等の事態が発生した場合には、商品の遅配等が発生する可能性があり、これによる当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、配送料金の値上げ等があった場合にも当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 
③ コールセンター業務の外部委託について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループは、コールセンター業務の一部を外部に委託しております。これは、外部の良質なリソースを活用することで、会員をはじめとするお客様からのご注文やお問い合わせに対し、迅速に対応することを目的としたものであり、現在は、複数のコールセンター運営会社と契約しております。外部コールセンターを活用するにあたり、顧客情報については、IPアドレスの制限や2段階認証により厳重に保護・管理されております。しかしながら、今後、必要に応じた外部委託先の確保ができない場合や、外部委託先において事故・経営不振・個人情報漏洩等不祥事が発生した場合等により、顧客満足度が低下した場合には、継続率の低下、ひいては収益性が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 広告宣伝費について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループは、健康食品を中心とした自社ブランド商品や医薬品等の通信販売事業を行っており、テレビのインフォマーシャル広告やインターネット広告等の顧客開拓を目的とした広告宣伝に係る支出が多額となっております。広告出稿先の選別や広告表現の見直し等により、顧客開拓の効率化を図っておりますが、今後、広告料金の値上げや広告宣伝効率の悪化等により、売上高の減少または広告宣伝費が増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 風評被害について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループ各社及び当社グループの主要な商品に対して、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等によって、何らかの否定的な風評が広まった場合、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ オンライン診療及びオンライン服薬指導の医療上の信頼性について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

メディカルケアセールス事業における医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」事業では、誰もが自分自身にあった適切な医療サービスをタイムリーに受けられる社会の実現を目指して、オンライン診療及びオンライン服薬指導を提供しておりますが、「SOKUYAKU」上で診断する医師や薬剤師が不適切なオンライン診療またはオンライン服薬指導を行い、医療上何らかの問題が発生した場合、オンライン診療またはオンライン服薬指導という新たな医療提供方法自体に対する信頼性、適切性に社会からの疑義がもたらされ、当社グループの事業環境に変化をきたした場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、「SOKUYAKU」事業で取り扱うユーザー(患者)の個人情報については、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に準拠した情報管理体制を構築し、厳重に管理を行っておりますが、万が一ユーザー(患者)の個人情報漏洩が発生した場合には、サービスの信頼性が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、オンライン診療及びオンライン服薬指導の利用促進が議論されておりますが、今後の政府の政策または関連法規など取り巻く環境が変化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 製造委託先の依存について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

ヘルスケアセールス事業において当社グループが販売する「酵水素328選シリーズ」はその製造を株式会社東洋新薬に委託しております。また、同社が契約の条項に違反し、違反事実が是正されない場合、会社の財政状態が悪化した場合等は、契約の取消、解約ができる旨を契約書に記載しております。また、メディカルケアセールス事業における自社ブランド商品についても、商品ごとに委託先は異なりますが、分散は図られておりません。現在は、継続に支障を来す事由は発生しておりませんが、当該依存を解消すべく、複数製造委託先の選定を検討しております。
 今後、製造委託先において事故・経営不振・不祥事等、事業活動において重大な影響が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 

⑧ 物流委託先の分散について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループは、物流委託先につきまして、複数箇所の物流委託先と取引しておりますが、いずれも関東圏にある委託先であります。各委託先では、地震、台風等の大規模災害による停電等への対策は実施しておりますが、その被害の程度によっては事業拠点の損壊やシステム障害の発生等により事業運営上の支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制について

当社グループの事業活動においては、主として以下の法的規制を受けております。当社グループは法令・規制を遵守するための社内の管理体制を構築・整備するとともに、外部機関や弁護士等への相談を行い十分な指導を仰ぐことで、法令等抵触可能性を排除して法令遵守に最大限努めておりますが、万が一、法令等に抵触するような活動があった場合には、行政処分等の対象になることがあり、これによって当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

 

① 特定商取引に関する法律

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループは、ヘルスケア商品等の通信販売事業をおこなっており、当該事業においては、広告の表示に関する規制や誇大広告の禁止等を定めた本法の規制を受けております。万が一、これらの規制に違反する行為があった場合には、業務停止命令などの行政処分のほか、罰則の対象となる可能性があり、これにより当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

② 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループは、当社商品の販促活動の一部としてテレビのインフォマーシャル広告やインターネット広告等の広告宣伝活動を行っており、当該活動は本法の規制を受けております。具体的には、自社の商品の内容や取引条件等に関して広告を行う場合に、万が一、商品の内容について、実際よりも著しく優良と誤認されるおそれのある表示をした場合(優良誤認表示)や、取引条件について、実際よりも著しく有利な取引条件だと誤認させるような表示(有利誤認表示)を行った場合には、所轄官庁である消費者庁による行政処分として、①違反したことを一般消費者に周知徹底すること、②再発防止策を講ずること、③その違反行為を将来繰り返さないことなどの措置を講じること(措置命令)、④違反行為による売上額に3%を乗じた金額を課徴金として納付すること(課徴金納付命令)が規定されております。このような規制がある中で、当社は2016年11月24日から2018年3月15日までの間、自社商品「酵水素328選生サプリメント」の広告宣伝活動において、あたかも当該商品を摂取するだけで、当該商品に含まれる成分の作用により、容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていたとして、消費者庁より2019年3月29日に景品表示法に基づく措置命令及び2020年3月17日に同措置命令に基づく、課徴金納付命令の行政処分を受け、2020年5月に課徴金249,880千円を納付しております。

当社はこの事実を重く受け止め、再発防止に向けて広告審査体制の更なる強化を講じてまいりました。具体的には、定期的な景品表示法関連の研修、広告掲載マニュアル及び広告表示物チェックリストを改訂しチェック項目の更なる拡充とチェック機能の強化を図ることといたしました。またチェック体制の運用についても、従前の社内チェック体制は、担当事業部の担当者及び事業部責任者のチェックに加え、管理部門のチェックを行う二重チェック体制としておりましたが、品質管理部を社長直轄組織へと変更のうえ、同部責任者もチェック担当実施者に加えることとし三重チェック体制に変更いたしました。さらに、社外チェック体制につきましても、これまでは社内で判断がつかない事項が生じた場合に、第三者機関2社のうち1社に確認を実施するものとしておりましたが、改定後は外部機関への照会は必須であるとしたうえで、第三者機関としてさらに2社追加し、原則として合計4機関のうち少なくとも2社以上からのチェックを受けるフローに変更しております。

このような背景を踏まえ、当社グループは引き続き景品表示法に準拠した広告表示を行うことは当然のことながら、コンプライアンスを重視する企業風土を作り、強固な内部統制システムを確立すべき様々な取り組みを行い再発防止に努めております。しかしながら、今後景品表示法に反する広告の表示があった場合には、広告表示の使用停止などの措置命令や、課徴金制度の対象となる可能性があり、これにより当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

③ 健康食品に関係する法令

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループの扱うヘルスケア商品のうち主力商品である「酵水素328選シリーズ」は、いわゆる健康食品にあたります。健康食品には法律上の定義はありませんが、一般の食品と同様に、食品表示法、食品衛生法、製造物責任法(PL法)、農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)、健康増進法などの関係法令の規制を受けております。万が一、これら法律に抵触する事象が発生した場合、行政処分の対象となったり、商品の回収による費用負担や商品に対する風評が発生する可能性があり、これにより当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

 

④ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループは、本法に基づく医薬品販売業(店舗販売業)の許可を得て、自社ブランドの医薬品である「ホワイピュア」「生漢煎®防風通聖散」「生漢煎®八味地黄丸」等の販売及び広告宣伝活動を行っており、これら事業活動は本法の規制を受けております。また、ヘルスケアセールス事業で販売する自社ブランド商品の広告宣伝活動においては、医薬品的な効能効果(医薬品と誤認されるような効能効果)を謳った広告とならないよう、本法の規制を受けております。

万が一、当社グループの事業活動が本法に抵触した場合は、業務の停止や許可の取消し等の処分を受ける可能性があり、これによって医薬品の販売等ができなくなる結果、当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑤ 資格者の確保について(薬機法・薬剤師法)

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

メディカルケアセールス事業における保険調剤薬局は、薬機法の規定により薬剤師の配置が義務付けられており、薬剤師法では、調剤業務は薬剤師が行わなければならないと規定されております。また、メディカルケアセールス事業における通信販売事業は、薬機法により薬剤師又は登録販売者資格を有するものが常駐することが義務付けられております。新たな調剤薬局の出店や通信販売事業の販売拠点の増設により、薬剤師や登録販売者の資格を有するものの確保が困難な状況になった場合は、新たな出店や販売拠点の増設が困難となるため、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ オンライン診療及びオンライン服薬指導プラットフォームサービス事業に関する法的規制に係るリスク

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大
 メディカルケアセールス事業における医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」事業では、医師法、薬剤師法、医療法、健康保険法その他これらに関連する政令、省令、通達、ガイドライン等に準拠した事業運営が必要であります。なかでも、オンライン診療プラットフォーム事業者に対しては、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(厚生労働省 2018年3月、2022年1月一部改正)において、「オンライン診療システム事業者が行うべき対策」が明示されておりますが、当社では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に準拠した堅牢な情報管理体制を構築済みであり、また不正アクセスの防止や医師または患者によるなりすまし防止に対応する等、同ガイドラインに準拠した事業運営を実施しております。
 但し、オンライン診療及びオンライン服薬指導に関連する諸法令については、今後も頻繁に改正されていくことが予想され、万が一当社グループがこれらの法規制に抵触または当社の業務の一部が制約を受けるような場合には、「SOKUYAKU」事業の事業停止やサービスの一部削減等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 

(3) 事業環境に係るリスク

① 競合激化によるリスク

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループの主たる事業のひとつであるヘルスケアセールス事業(健康食品等の販売)は、参入障壁が低く、競合はますます激しくなるものと認識しております。当社では、「酵水素328選シリーズ」等自社ブランド商品を販売してまいりましたが、類似した商品を扱う同業他社の増加等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② Eコマースの普及拡大に伴う法的規制の可能性等に係るリスク

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

スマートフォンやタブレット端末の普及拡大に伴い、インターネットの利用が拡大し、国内におけるEコマースも引き続き成長しております。当社グループの事業もEコマースの普及拡大とともに成長してまいりましたが、今後、インターネット等の利用者及び関連業者を対象とした法的規制が新たに制定され、これにより業務の一部が制約を受けるような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 知的財産権に係るリスク

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループは、自社ブランド商品の販売を主たる事業のひとつとしており、自社ブランドに関して保有する商標権等の知的財産権について、適切な保護及び管理を行っております。また、当社グループが運営するインターネットサイト上で販売する商品及びその広告内容が、第三者の知的財産権を侵害することがないよう留意し、監視・管理を行っております。もっとも、今後不測の事態によって、第三者から知的財産権の侵害を理由とするクレームや訴訟が提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 情報流出によるリスク

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

ヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業のお客様は一般消費者であり、当社グループでは、機密情報、個人情報及び顧客情報等を取扱っております。それら情報及び情報システムにつきましては、「情報システム管理規程」に基づき、厳重に管理・運営すると同時に、プライバシーマークの認証を取得し、個人情報の管理と漏洩防止に努めております。また、2021年2月から開始したメディカルケアセールス事業における医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」事業においては、個人情報保護法に定めるいわゆる要配慮個人情報を取得することもあるため、当社は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS(ISO27001))の認証を2021年2月16日に取得しております。その他機密情報の外部への不正な流出を防止するため、情報の取扱いに関する社員教育、セキュリティシステムの改善、情報へのアクセス管理等、内部管理体制の強化に積極的に取り組んでいます。

また、当社グループは、ECシステムへの不正アクセス防止のため、サーバーを物理的なセキュリティ設備を持つデータセンターで管理しており、インターネットを介した外部からの個人情報等へのアクセスには、制限を設けております。しかしながら、不測の事態により機密情報や個人情報等の流出事故が発生した場合には、社会的信用の失墜等による売上高の減少や、クレーム等に対する対応費用や損害賠償の負担等の発生により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システムトラブルについて

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループは、インターネット通販サイトの運営を主たる事業のひとつとしており、事業の安定的な運営のためのシステム強化及びセキュリティ対策を行っております。しかしながら、地震、火災等の自然災害、事故、停電等予期せぬ事象の発生によって、設備または通信ネットワークに障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ EC通販市場における健康食品市場への高い依存度について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

ヘルスケアセールス事業を展開している健康食品市場は、消費者の嗜好の影響を受けやすく、そのライフサイクルは比較的短い傾向にある為、商品の売上は消費者動向等の影響を受けております。また、ヘルスケアセールス事業ではインターネット広告やインフォマーシャル広告を用いた自社ブランドの商品の販売を行っており、商品の売上にはEC市場の景気動向の影響も受けております。そのため、今後におけるこれらの消費動向や景気動向により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスク

① 人材の確保及び育成について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社は少人数組織であるため、従業員一人当たりの業務領域が広範に亘ることがあります。人材育成の観点では好ましい環境である一方、急速に業務量が増加する局面において役職員の負荷が増大し業務効率に影響を与える可能性があります。

 

当社では、今後事業拡大や企業運営を円滑に遂行していくうえで、優秀な人材を確保することが重要と考えており、随時採用活動を行っております。しかしながら、必要な人材を適切な時期に確保できない場合、または社内の有能な人材が流出した場合には、経常的な業務運営や事業展開に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 小規模組織であることについて

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社は小規模組織であり、現在の組織及び管理体制もこれに応じたものであることから、今後事業拡大に応じた組織整備や管理体制の充実を図る予定であり、引き続き人材採用を積極的に進めてまいります。

しかしながら、事業の拡大に応じた組織整備や管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定人物への依存について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社の創業者であり大株主である代表取締役社長執行役員中村篤弘は、経営方針や事業戦略の決定等、当社の事業活動において重要な役割を果たしております。当社では、同氏への過度な依存を改善するべく、すでに事業体制において組織の構築や人材育成等の施策を実施しております。今後、これらの諸施策への継続的な取組みや当社の実績を積み上げることにより、同氏への過度な依存はなくなり、全社的な体制で円滑に事業を遂行することが可能となると考えております。

ただし、このような体制の構築に至るまでの当面の間は、事業運営上必要な水準を確保するべく、同氏が引き続き事業運営において重要な役割を担うことが見込まれます。同氏の退任予定は現時点でありませんが、当社業務を継続することが困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④  大株主について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社の代表取締役社長執行役員である中村篤弘は、当社の大株主(支配株主)であり、自身の資産管理会社である株式会社篤志の所有株式数を含めると当連結会計年度末日現在で発行済株式総数の68%を所有しております。同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めており、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていませんが、将来、取引先、消費者、各種団体等による訴訟を提起され、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ のれんを含む固定資産の減損について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループでは、のれん等の長期性資産を保有しておりますが、取得にあたっては、投資によって得られるリターン、発生するコストなど投資回収の採算性を評価し投資の意思決定を行っております。また、投資後は、業績進捗について毎期モニタリングを実施するとともに、業績評価を行い、採算性の悪化が見込まれるため今後のキャッシュ・フローの獲得が期待できない場合には、速やかに業績向上に向けた戦略の立案を実施し、その実行に取組んでおります。

 

しかしながら、これらの固定資産について、今後の収益性の低下、市場価額の著しい下落により、将来キャッシュ・フローが生み出せない場合は、減損損失の計上が必要になり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 配当政策について

発生可能性:事業計画の進捗状況による、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループは、株主に対する利益還元は重要であると認識しております。その一方、現在、当社グループは成長拡大の過程にあると考えており、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、更なる事業拡大を図ることも重要な経営課題であると認識しております。そのため、内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応するべく、有効投資をしてまいりたいと考えており、今後の配当実施の可能性、実施時期については未定であります。

 

⑧ M&Aや業務資本提携について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 中

当社グループは、事業拡大等を目的として、M&Aや業務資本提携を一つの選択肢として考えております。M&Aや業務資本提携の実行に際しては、当社戦略との整合性やシナジーを勘案して対象企業を選定し、事業や財務、法務等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、リスクの低減に努める方針であります。

しかしながら、これらのデューデリジェンスで想定・確認がされなかった事項がM&A等の実行後に判明あるいは発生した場合や、市場環境の変化等により事業展開が想定どおりに進まない場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 自然災害等について

発生可能性:中、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度 中

当社グループ及び取引先において、想定を超える大規模な地震等の自然災害や、新型コロナウイルス感染症及びインフルエンザ等の感染症の流行が発生した場合、業務遂行が困難となる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、事業拠点及び物流拠点の分散化により事業の継続性を高めているほか緊急時対応マニュアルの整備、感染症対策等を継続して努めてまいります。

 

⑩ 継続企業の前提に関わる重要事象等

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社グループでは、当連結会計年度まで2期連続で営業損失、3期連続でマイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、当連結会計年度において重要な営業損失553,001千円、経常損失642,540千円及び親会社株主に帰属する当期純損失2,086,426千円を計上しております。また、一部の取引金融機関からの借入については、現時点では期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの財務制限条項に抵触しております。

これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当しております。 当該事象又は状況を解消すべく、以下の対応策により収益性の改善及び財務基盤の安定に努めてまいります。

 

1.事業収益力の改善

ヘルスケアセールス事業及び医薬品通販事業においては、以前より安定的な事業収入を得ており、現時点においても事業活動を推進する上で十分な手元資金を確保しておりますが、今後更に、商材ごとの販売戦略を見直し、強化していくとともに、CPO(定期顧客一人あたりの獲得単価)管理の強化により広告投資を抑制し、事業収益の改善を図ってまいります。

 

 

 2.在庫管理の徹底

顧客の需要分析によるタイムリーな販売予測に基づいた発注を行い、在庫数量を極力少なくすることで在庫回転率を向上させる取り組みを行います。更には、在庫コントローラーの役割を明確にすることで、在庫管理の徹底を図ってまいります。

 

3.資金調達及び財務制限条項への対応

当連結会計年度末日において、一部の借入金は財務制限条項に抵触しておりますが、取引金融機関と資金計画等の協議を行うことで、引き続き緊密な関係を維持し、継続的な支援をいただけるよう努めております。また、資金調達に関して新たな先からの引き合いもあり、資本増強に向けた各種施策について具体的な検討を進めております。

 

従いまして、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

⑪ 内部統制について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度 大

当社の会計監査人である監査法人アヴァンティアより、一部の広告売上取引における売上高及び原価の計上について、不適切な会計処理がある旨の疑義が生じているとの指摘を受けて、特別調査委員会を設置して調査を依頼し、2024年11月11日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。今後は、特別調査委員会からの提言も踏まえ、再発防止策の策定と着実な実行、及び内部管理体制等の強化に努めてまいります。

ただし、これらの再発防止策の策定と着実な実行及び内部管理体制等の強化が適切になされない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関、大株主、取引先、監督省庁等との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜すると共に、当社グループの経営成績及び財政等状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況
当連結会計年度(自 2023年6月30日 至 2024年5月31日)

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行に伴う、社会経済活動の正常化が進み、国内景気は回復傾向となっております。しかしながら、世界的なインフレの加速や急激な為替変動により、依然として先行きは不透明な状況となっております。

当社グループの主たる事業領域である医療・健康産業においては、少子化による人口減少と団塊ジュニア世代が全員65歳以上に達し、超高齢化社会を迎えることにより直面する2040年問題を抱えております。具体的には、社会保障費の高騰や医療人材の枯渇などが挙げられます。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行により、医療資源の拡充や柔軟な医療体制の必要性が再認識されました。このような背景のもと、令和4年度診療報酬改定によるオンラインでの初診料の引き上げやオンライン服薬指導の実施要件緩和など、医療体制のオンライン化の推進が図られ、社会保障費をはじめとする負担軽減や医療現場の効率性・生産性の改善、患者の利便性向上に向けた取り組みが加速しております。

以上の事業環境の中、当社グループは、「人と社会を健康に美しく」を経営理念に掲げ、事業を推進しております。未病・予防→疾病→未病・予防という人々の「ヘルスケアサイクル」において、「疾病期間」の短縮化・「未病・予防期間」の長期化を通じた、健康寿命の伸長による社会保障費の削減に貢献すべく、「ヘルスケアサイクル」のすべてをカバーするサービスの拡充に取り組んでまいりました。

「疾病期間」の短縮化に向けては、オンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配をワンストップで提供するプラットフォーム「SOKUYAKU」の運営を通じ、医療機関のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化の推進や、ユーザー(患者)や医師・薬剤師の利便性向上に努めております。いつでも・どこでも・誰でも、医師・薬剤師と繋がり、薬が受け取れる社会の実現を目指し、2021年2月にサービスを開始した「SOKUYAKU」は、全国の医療機関・薬局との提携及び医薬品の配送網構築に成功し、ユーザーの登録・利用は急速に拡大しております。また、医療機関向けのDX化支援事業や集客サポートをはじめとするマーケティング支援事業など、提携医療機関・薬局に対して提供するToBサービスも順調に伸長しております。

「SOKUYAKU」プラットフォームの基盤を活かした収益モデルの強化を推進しており、月額550円(税込)で家族全員のオンライン診療・服薬指導の手数料が無料となるサブスクリプションプラン「SOKUYAKUプレミアム」や、健康経営を推進する法人向けの福利厚生サービスとして導入法人の従業員が「SOKUYAKU」を利用可能になる「SOKUYAKUベネフィット」、介護・保育施設等の福祉施設向けの日用品宅配サービス 「SOKUYAKUデリバリープラス」等のサービスの提供を開始しております。

「未病・予防期間」の長期化に向けては、人々の健康増進・生活の質向上に資する自社オリジナル医薬品・健康食品・化粧品の販売といったD2C事業(EC・通販事業)と、クライアント企業のヘルスケア商品の販促支援をはじめとするB2B事業の推進に注力しております。

今後も、人々の「ヘルスケアサイクル」に関連するサービスの強化を通じて、超高齢化社会を迎える日本の深刻な社会課題解決の一助となることで、当社グループの更なる拡大・成長に繋げていく考えです。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は17,714,904千円(前年同期比5.2%増加)、EBITDA(注)は△145,236千円(前年同期は△1,522,296千円)、営業損失は553,001千円(前年同期は営業損失1,816,484千円)、経常損失は642,540千円(前年同期は経常損失1,841,199千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,086,426千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,899,919千円)となりました。

(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+無形資産償却費

 

 

 

セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

外部顧客への売上高(千円)

セグメントEBITDA(千円)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率(%)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

(%)

メディカルケアセールス事業

7,675,468

6,837,714

△10.9

△1,016,700

△141,553

ヘルスケアセールス事業

4,110,782

4,546,313

10.6

139,420

388,142

178.4

ヘルスケアマーケティング事業

5,058,321

6,330,876

25.2

82,753

194,292

134.8

調整額

△727,771

△586,118

合計

16,844,572

17,714,904

5.2

△1,522,296

△145,236

 

 

(メディカルケアセールス事業)

 メディカルケアセールス事業では、医薬品のD2C(EC・通販)と、オンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配をワンストップで提供するプラットフォーム「SOKUYAKU」を展開しています。

 医薬品のD2C(EC・通販)では、上期において、生漢煎®防風通聖散等の原料となる生薬の調達が困難となり在庫不足が発生しましたが、現時点では解消しております。

 「SOKUYAKU」では、その利便性の高さから消費者ニーズは依然強く、アプリ会員数は好調に増加し、併せて提携病院数・薬局数も増加しました。さらに、処方薬の当日宅配地域の拡充やアプリのダウンロードが不要となるWebブラウザ版のサービス開始など、ユーザーの利便性を向上させるとともに、更なる会員獲得のための地上波テレビコマーシャルのリニューアルなど、戦略的な広告施策を推進いたしました。

 また、「医薬品・日用品・食品デリバリーサービス」やオンライン診療・服薬指導サブスクリプションプラン「SOKUYAKUプレミアム」、健康経営を推進する法人向けの福利厚生サービス「SOKUYAKUベネフィット」、介護・保育施設等の福祉施設向けの日用品宅配サービス 「SOKUYAKUデリバリープラス」といった新サービスの提供を開始いたしました。

 さらに、株式会社ロイヤリティマーケティングや株式会社ツナググループ・ホールディングスとの提携等の新たな取り組みも開始しております。

 一方で、前期は大型の広告運用案件の受注があった影響で、前年同期比では売上高は減少していますが、当該影響を除外した売上高は順調に伸長しております。

その結果、セグメント売上高は6,837,714千円(前年同期比10.9%減少)、セグメントEBITDAは△141,553千円(前年同期は△1,016,700千円)となりました。

 

(ヘルスケアセールス事業)

 ヘルスケアセールス事業では、健康食品・化粧品分野の新商品の拡販を推進し、消費者の心身両面における健康状態の維持・長期化に向けての商品ラインナップの拡充を図ってまいりました。

その結果、セグメント売上高は4,546,313千円(前年同期比10.6%増加)、セグメントEBITDAは388,142千円(前年同期比178.4%増加)となりました。

 

(ヘルスケアマーケティング事業)

 ヘルスケアマーケティング事業におきましては、ヘルスケア関連のD2C事業者に対するブランディング・マーケティング支援に加え、ダイレクトメール(DM)マーケティング、コールセンター、物流業務などのBPO(Business Process Outsourcing)サービスが業績に貢献いたしました。

その結果、セグメント売上高は6,330,876千円(前年同期比25.2%増加)、セグメントEBITDAは194,292千円(前年同期比134.8%増加)となりました。

 

 

当中間連結会計期間(自 2024年6月1日 至 2024年11月30日)

当中間連結会計期間における我が国経済は、雇用・所得環境の改善に支えられ個人消費にも持ち直しの動きがみられましたが、サービス価格や食料品などの価格上昇や急激な為替変動により、依然として先行きは不透明な状況となっております。

当社グループの主たる事業領域である医療・健康産業においては、少子化による人口減少と団塊ジュニア世代が全員65歳以上に達し、超高齢化社会を迎えることにより直面する2040年問題を抱えております。具体的には、社会保障費の高騰や医療人材の枯渇などが挙げられます。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行により、医療資源の拡充や柔軟な医療体制の必要性が再認識されました。このような背景のもと、令和4年度診療報酬改定によるオンラインでの初診料の引き上げやオンライン服薬指導の実施要件緩和など、医療体制のオンライン化の推進が図られ、社会保障費をはじめとする負担軽減や医療現場の効率性・生産性の改善、患者の利便性向上に向けた取り組みが加速しております。

以上の事業環境の中、当社グループは、「人と社会を健康に美しく」を経営理念に掲げ、事業を推進しております。未病・予防→疾病→未病・予防という人々の「ヘルスケアサイクル」において、「疾病期間」の短縮化・「未病・予防期間」の長期化を通じた、健康寿命の伸長による社会保障費の削減に貢献すべく、「ヘルスケアサイクル」のすべてをカバーするサービスの拡充に取り組んでまいりました。

「疾病期間」の短縮化に向けては、オンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配をワンストップで提供するプラットフォーム「SOKUYAKU」の運営を通じ、医療機関のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化の推進や、ユーザー(患者)や医師・薬剤師の利便性向上に努めております。いつでも・どこでも・誰でも、医師・薬剤師と繋がり、薬が受け取れる社会の実現を目指し、2021年2月にサービスを開始した「SOKUYAKU」は、全国の医療機関・薬局との提携及び医薬品の配送網構築に成功し、ユーザーの登録・利用は順調に拡大しております。

「未病・予防期間」の長期化に向けては、人々の健康増進・生活の質向上に資する自社オリジナル医薬品・健康食品・化粧品の販売といったD2C事業(EC・通販事業)と、クライアント企業のヘルスケア商品の販促支援をはじめとするB2B事業の推進に注力しております。

今後も、人々の「ヘルスケアサイクル」に関連するサービスの強化を通じて、超高齢化社会を迎える日本の深刻な社会課題解決の一助となることで、当社グループの更なる拡大・成長に繋げていく考えです。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は10,843,838千円(前年同期比35.3%増加)、EBITDA(注)は329,191千円(前年同期比は△48,681千円)、営業利益は131,430千円(前年同期は営業損失221,327千円)、経常利益は111,520千円(前年同期は経常損失232,098千円)、親会社株主に帰属する中間純利益は7,850千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失286,515千円)となりました。

(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+無形資産償却費

 

セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

外部顧客への売上高(千円)

セグメントEBITDA(千円)

前中間連結

会計期間

当中間連結

会計期間

増減率

(%)

前中間連結

会計期間

当中間連結

会計期間

増減率

(%)

メディカルケアセールス事業

3,675,578

3,074,821

△16.3

100,517

255,981

154.7

ヘルスケアセールス事業

2,016,127

3,182,747

57.9

99,975

247,327

147.4

ヘルスケアマーケティング事業

2,322,277

4,586,269

97.5

40,225

6,116

△84.8

調整額

△289,399

△180,234

合計

8,013,983

10,843,838

35.3

△48,681

329,191

 

 

 

(メディカルケアセールス事業)

メディカルケアセールス事業では、医薬品のD2C(EC・通販)と、オンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配をワンストップで提供するプラットフォーム「SOKUYAKU」を展開しています。

医薬品のD2C(EC・通販)では、第1類医薬品や、当社主力商品である防風通聖散のほか2024年3月に販売開始をした防已黄耆湯錠SX等の生漢煎®シリーズの漢方(第2類医薬品)の売上が好調に推移しております。また、当期は顧客獲得のための広告効率を注視するとともに、適切な在庫水準の維持やコスト構造の改善等の効率性に重点を置いた事業活動を推進してまいりました。

「SOKUYAKU」においては、2024年6月から、ユーザー(患者)のシステム利用料の値上げに加え、「SOKUYAKU」の利用患者が多い一部の医療機関からシステム利用料を徴収する価格改訂を実施いたしました。価格改訂による顧客の離反はほとんど発生しておらず、利用件数は順調に推移するとともに、利用単価の向上により収益性の改善が進んでおります。さらに、2024年4月にリリースした健康経営を推進する法人向けの福利厚生サービス「SOKUYAKUベネフィット」の拡販による安定収益基盤の強化を進めてまいりました。

一方で、2024年7月1日付で当社の連結子会社であったAIGATEキャリア株式会社の全株式を譲渡したため、同社を第1四半期会計期間より連結の範囲から除外しております。

その結果、セグメント売上高は3,074,821千円(前年同期比16.3%減少)、セグメントEBITDAは255,981千円(前年同期比154.7%増加)となりました。

 

(ヘルスケアセールス事業)

ヘルスケアセールス事業では、前期までグループ全体で推進してきた健康食品・化粧品分野の商品ラインナップの拡充が順調に進んでおり、当期はグループシナジーの深化や既存顧客へのクロスセルの強化等を推進することで売上高及びEBITDAの最大化を図ってまいりました。

その結果、セグメント売上高は3,182,747千円(前年同期比57.9%増加)、セグメントEBITDAは247,327千円(前年同期比147.4%増加)となりました。

 

(ヘルスケアマーケティング事業)

ヘルスケアマーケティング事業におきましては、ヘルスケア関連のD2C事業者に対するブランディング・マーケティング支援に加え、ダイレクトメール(DM)マーケティング、物流業務などのBPO(Business Process Outsourcing)サービスが業績に貢献いたしました。

その結果、セグメント売上高は4,586,269千円(前年同期比97.5%増加)、セグメントEBITDAは6,116千円(前年同期比84.8%減少)となりました。

 

② 財政状態の状況
当連結会計年度(自 2023年6月30日 至 2024年5月31日)

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、7,316,335千円となり、前連結会計年度末に比べ2,644,173千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が164,605千円、売掛金が362,937千円、商品及び製品が1,241,919千円 、前払費用が121,564千円、短期貸付金が270,000千円、その他流動資産が372,264千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、3,397,451千円となり、前連結会計年度末に比べ829,065千円の増加となりました。これは主に、有形固定資産が100,833千円減少した一方、無形固定資産が906,659千円(うち、のれん1,001,851千円)、投資その他の資産が23,239千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、6,111,226千円となり、前連結会計年度末に比べ3,091,404千円の増加となりました。これは主に、買掛金が759,829千円、短期借入金が739,731千円、1年内返済予定の長期借入金が774,953千円、未払金が167,026千円、未払法人税等が193,891千円、前受金が157,415千円、決算訂正関連費用引当金が140,000千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、2,981,661千円となり、前連結会計年度末に比べ1,475,730千円の増加となりました。これは主に、長期借入金が1,471,899千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、1,620,898千円となり、前連結会計年度末に比べ1,093,895千円の減少となりました。これは主に、資本金が351,496千円、資本剰余金が375,856千円、非支配株主持分が229,044千円それぞれ増加し、自己株式が44,794千円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金が2,086,426千円、新株予約権が8,660千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

当中間連結会計期間(自 2024年6月1日 至 2024年11月30日)

(資産の部)
 当中間連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,363,337千円減少し、5,952,998千円となりました。これは主に、売掛金の減少479,211千円、前払費用の減少131,516千円、短期貸付金の減少300,000千円、その他流動資産の減少422,421千円によるものであります。
 当中間連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ208,000千円減少し、3,189,451千円となりました。これは主に、有形固定資産の減少3,727千円、無形固定資産の減少357,564千円、投資その他の資産の増加153,291千円によるものであります。
 
(負債の部)
 当中間連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,144,830千円減少し、4,966,396千円となりました。これは主に、買掛金の減少218,382千円、未払金の減少700,050千円によるものであります。
 当中間連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ478,451千円減少し、2,503,210千円となりました。これは主に、長期借入金の減少445,687千円によるものであります。
 
(純資産の部)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ51,943千円増加し、1,672,842千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加7,850千円、非支配株主持分の増加44,733千円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度(自 2023年6月30日 至 2024年5月31日)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ164,605千円し、1,752,966千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の減少は1,435,744千円(前年同期は1,830,377千円の資金の減少)となりました。

これは主に、売上債権の減少や未収還付消費税等の減少、預り金の増加があったものの、税金等調整前当期純損失の発生や棚卸資産の増加があったことによるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は1,792,539千円(前年同期は1,132,734千円の資金の減少)となりました。

これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出、短期貸付金の純増減額、長期貸付けによる支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の増加は3,390,891千円(前期同期は1,451,117千円の資金の増加)となりました。

これは主に、短期借入金の純増減額や長期借入れによる収入、新株予約権の行使による株式の発行による収入によるものであります。

 

当中間連結会計期間(自 2024年6月1日 至 2024年11月30日)

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ67,751千円増加し、1,820,717千円となりました。 

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の減少は12,768千円(前年同期は970,999千円の資金の減少)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益117,831千円、のれん償却額146,571千円、売上債権の減少300,207千円、預け金の減少400,935千円等により資金が増加した一方で、仕入債務の減少218,382千円、未払金の減少700,536千円等により資金が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動による資金の増加は219,691千円(前年同期は300,338千円の資金の減少)となりました。これは主に、短期貸付金の減少300,000千円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入115,852千円等により資金が増加した一方で、投資有価証券の取得による支出173,555千円等により資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は139,171千円(前年同期は933,186千円の資金の増加)となりました。これは主に、短期借入金の増加373,500千円、長期借入れによる収入110,000千円等により資金が増加した一方で、長期借入金の返済による支出587,042千円、社債の償還による支出35,000千円等により資金が減少したことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度(自 2023年6月30日 至 2024年5月31日)

a.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

メディカルケアセールス事業

3,106,232

84.4

ヘルスケアセールス事業

1,519,397

153.8

ヘルスケアマーケティング事業

3,742,765

83.8

合計

8,368,395

91.6

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

b.生産実績

当社グループは、OEM製造により外部へ製造を委託しており、生産活動を行っていないことから、該当事項はありません。

 

c.受注実績

当社グループは、OEM製造による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

メディカルケアセールス事業

6,837,714

89.1

ヘルスケアセールス事業

4,546,313

110.6

ヘルスケアマーケティング事業

6,330,876

125.2

合計

17,714,904

105.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

当中間連結会計期間

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社SARUCREW

2,250,320

13.35

 

3.最近2連結会計年度及び当中間連結会計期間の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は報告数値と異なる可能性があります。
 当連結会計年度における連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
 また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。
 
(棚卸資産の評価)
 棚卸資産は、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額まで帳簿価額を切り下げていますが、営業循環過程から外れた滞留品については、過去の販売実績や賞味期限等に基づき規則的に帳簿価額を切り下げる方法により、収益性の低下の事実を適切に反映するよう処理しています。その際、当連結会計年度の販売数量に関する趨勢を踏まえた各在庫品目の将来の販売予測数量を重要な仮定として用いております。当該仮定として用いた販売数量に関する趨勢が変動した場合には、翌連結会計年度以降の売上原価に追加の評価損を計上する可能性があります。


(繰延税金資産の回収可能性)
 将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。

 

 

(のれんの減損処理)

のれんについては、投資効果が及ぶ期間にわたり、均等償却しております。のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。
  

② 経営成績の分析
当連結会計年度(自 2023年6月30日 至 2024年5月31日)

 (売上高)

当連結会計年度の売上高につきましては、17,714,904千円となりました。売上高の概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 (売上原価及び売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は9,381,649千円となりました。
 この結果、売上総利益は8,333,255千円となりました。
 

 (販売費及び一般管理費及び営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は8,886,256千円となりました。これは主に、広告宣伝費3,800,844千円、荷造運賃872,028千円の計上によるものであります。その結果、営業損失は553,001千円となりました。

 

 (営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は12,851千円となりました。これは主に、保険解約返戻金6,267千円の計上によるものであります。
 当連結会計年度の営業外費用は102,391千円となりました。これは主に、支払利息27,251千円、資金調達費用30,000千円、貸倒引当金繰入額26,372千円の計上によるものであります。
 この結果、経常損失は642,540千円となりました。
 

 (特別損益及び法人税等合計及び当期純利益)

当連結会計年度の特別損失は1,019,179千円となりました。これは減損損失829,233千円、固定資産除却損7,094千円の計上によるものであります。

法人税、事業税及び事業税(法人税等調整額を含む)は369,540千円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,086,426千円となりました。

 

当中間連結会計期間(自2024年6月1日至2024年11月30日)

(売上高)

当中間連結会計期間の売上高につきましては、10,843,838千円となりました。売上高の概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 (売上原価及び売上総利益)

 当中間連結会計期間の売上原価は5,858,680千円となりました。
 この結果、売上総利益は4,985,157千円となりました。
 

 (販売費及び一般管理費及び営業利益)

当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は4,853,727千円となりました。これは主に、広告宣伝費2,093,906千円、のれん償却額146,571千円の計上によるものであります。その結果、営業利益は131,430千円となりました。

 

 

 (営業外損益及び経常利益)

 当中間連結会計期間の営業外収益は10,632千円となりました。これは主に、受取配当金2,701千円の計上によるものであります。
 当中間連結会計期間の営業外費用は30,542千円となりました。これは主に、支払利息24,347千円の計上によるものであります。
 この結果、経常利益は111,520千円となりました。
 

 (特別損益及び法人税等合計及び当期純利益)

当中間連結会計期間の特別利益は6,310千円となりました。これは主に、関係会社株式売却益5,725千円の計上によるものであります。

法人税、事業税及び事業税(法人税等調整額を含む)は64,903千円となりました。

また、非支配株主に帰属する当期純利益は45,077千円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,850千円となりました。

 

③ 財政状態の分析

 財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ ローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照下さい。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要につきましては、更なる事業拡大に向けて、SOKUYAKU事業やD2C事業(EC・通販事業)における広告宣伝費や人材の確保といった集客体制の強化や商品開発のための投資を行っていく想定であります。これらの資金需要は内部留保で賄うことを原則としながら、中長期における資金需要並びに金利動向等を注視したうえで必要に応じて機動的に資金調達を行い、財務の健全性を維持する方針であります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後更なる成長を遂げるには様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は常に外部環境やその変化に関する情報の入手及び分析を通じ、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

⑧ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、事業を継続的に発展させていくためには、収益力を高め、適正な利益確保を図ることが重要と認識し、客観的な指標として、売上高、EBITDA(注1)を重視しており、その中長期的な向上を図る経営に努めてまいります。また、当社事業モデルを勘案したうえでの重要な経営指標は、未病・予防期間の長期化、疾病期間の短縮化を実現する“SOKUYAKUヘルスケア経済圏”における活動人口を表す「QAU(注2)」、および経済規模を示す「ARR(注3)」としております。

2024年5月期においては、2023年5月期以前より注力していた新規獲得施策やM&A等が寄与したことで、第4四半期にQAUが30万人を超え、ARRが100億円を突破いたしました。また、2024年6月~11月においても、ARR100億円超を維持しております。

 

(注)1.「EBITDA」とは営業利益+減価償却費+のれん償却費+無形資産償却費のことをいいます。

   2.「QAU」とは四半期間でのBtoCサービスのアクティブユニークユーザー数のことをいいます。

   3.「ARR」とは年間経常収益であり、QAUから生じた売上高の年換算額のことをいいます。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)製造委託契約

 当社は、以下のとおり業務委託契約を締結しております。

相手先の名称 

契約の名称 

契約内容 

契約締結日

契約期間 

株式会社東洋新薬

業務委託契約

当社企画商品である酵水素328選の製造委託 

2015年
7月6日

2015年7月6日から

2017年7月5日

(以降1年間の自動更新)

新生薬品工業株式会社

業務委託契約

当社商品である新生防風通聖散顆粒(満量処方)の製造委託

2019年

11月1日

2019年11月1日から

2020年10月31日

(以降1年間の自動更新)

ダンヘルスケア株式会社

業務委託契約

当社商品である防風通聖散錠SS、防已黄耆湯錠SX及び加味逍遙散錠SZの製造委託

2022年

7月1日

2022年7月1日から

2023年6月30日

(以降1年間の自動更新)

 

 

(2)株式譲渡契約

 2024年2月29日付にて株式会社ウェルヴィーナスの株式譲渡について株式譲渡契約を締結し、2024年3月1日に株式を取得しました。

  詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 企業結合等関係」をご参照ください。

 

 2024年7月1日付にて当社の特定子会社でありましたAIGATEキャリア株式会社の全株式を譲渡する株式譲渡契約を締結し、同日付で同社の株式を譲渡しており、その結果、同社は当社の特定子会社に該当しなくなりました。

 

(3)運転資金調達のための借入契約

  当社は、機動的な調達手段を確保することにより、財務基盤の一層の安定を図ることを目的として、2024年1月15日付で、株式会社みずほ銀行と総額15億円の当座貸越契約を締結しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係」をご参照ください。

 

(4)子会社株式取得のための借入契約

  当社は、2024年2月29日開催の取締役会において、以下のとおり資金の借入を行うことを決議し、2024年3月1日付で借入を実行しました。

 

①資金の用途 株式会社ウェルヴィーナスの株式取得

②借入先 株式会社みずほ銀行

③借入金額 1,500,000千円

④借入期間 5年

⑤借入実行日 2024年3月1日

⑥借入金利 基準金利+スプレッド

⑦担保等の有無 本対象会社株式担保、本対象会社特定債務保証

⑧財務制限条項 有

 

(5) 第7回新株予約権(有償ストック・オプション)の発行

  当社は、2024年3月15日開催の取締役会において、会社法第236条、第238条、及び第240条の規定に基づき、当社役員、従業員、当社子会社役員及び外部協力者に対し新株予約権を発行することを決議し、新株予約権を発行しました。

  詳細は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況(2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度(自 2023年6月30日 至 2024年5月31日)

当連結会計年度の研究開発活動は、通販EC事業を通じて当社がこれまでに培った「非対面」ビジネスのノウハウを医療医薬の領域で活用すべく、メディカルケアセールス事業において、オンライン診療・オンライン服薬指導、そして処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供可能な医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」のアプリ版及びWEB版の新機能開発を行いました。今後も同サービスの拡充に向けて鋭意努力をしてまいります。

以上の結果、当連結会計年度に当社が支出した研究開発費の総額は、74,107千円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) メディカルケアセールス事業

メディカルケアセールス事業では、オンライン診療・オンライン服薬指導、そして処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供可能な医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」のアプリ版及びWEB版の新機能開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は52,370千円であります。

 

(2) ヘルスケアセールス事業

ヘルスケアセールス事業では、化粧品分野において新商品開発を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は21,737千円であります。

 

当中間連結会計期間(自 2024年6月1日 至 2024年11月30日)

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は32,627千円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) メディカルケアセールス事業

メディカルケアセールス事業では、主にオンライン診療・オンライン服薬指導、そして処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供可能な医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」のアプリ版の新機能開発を行いました。当中間連結会計年度における研究開発費の金額は24,908千円であります。

 

(2) ヘルスケアセールス事業

ヘルスケアセールス事業では、主に健康食品・化粧品分野において新商品開発を行いました。当中間連結会計年度における研究開発費の金額は7,719千円であります。